老人向けレクリエーションの種類や目的は?実施の流れや注意点も解説

デイサービスや有料老人ホーム等の介護施設では老人向けのレクリエーションが実施されています。

レクリエーションには身体の機能の維持、向上、改善や心のケア等、心身に対しさまざまなメリットがあり目的を持って行われます。

そしてそれをいかに楽しく参加してもらえるかが実施する側の職員、スタッフにとっては重要な課題。

そこで今回の記事では、高齢者向けのレクリエーションの種類とその目的、実施への注意点について解説してまいります。

どうぞ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。

老人向けレクリエーションの種類と主な目的

介護施設などで実施されている高齢の人向けのレクリエーションはいくつかの種類に分けられます。

以下、主なレクリエーションの種類とそれぞれの目的について紹介します。

脳トレ

頭を使う脳トレ系のゲームは、その名前の通り脳の活性化、認知機能の維持、改善の目的があります。

具体的な人気のゲームは文字や数、漢字の穴埋めや計算、間違い探し、連想ゲーム、伝言ゲーム、しりとり、クイズ、パズル等があります。

運動

体を動かすゲームは筋トレや身体機能の維持や向上、リハビリの目的があります。

ラジオ体操や音楽に合わせたリズム体操、柔らかいボールや軽い玉を使った室内で出来るボーリング、風船バレー、新聞紙ちぎり等があります。

音楽

利用者の高齢者は音楽が好きな人が多く、みんなで歌を歌う、簡単な楽器を演奏する、音楽鑑賞する等が人気です。

音楽により感情が動き、精神の安定、癒しといった効果が期待できます。

手遊び

手指や手先を使うと認知症の予防になるとよく言われますよね。実際に手や指を動かすことは脳の活性や日常生活を送る上で必要な手指の機能の維持、向上に効果的で、座ったまま行えるため足や腰が弱い人でも安心して参加出来ます。

折り紙や塗り絵、お手玉、手芸、工作など趣味にもつながるような内容のものが多くあります。

創作

創作系のレクリエーションには、俳句や短歌、絵描き、料理等があります。手や指先を動かす他に想像したり考えながら行うため脳を刺激し活性される効果も期待できます。

回想

昔の記憶を思い出す、という行為は心身に非常に良い影響があると考えられています。

脳の活性化はもちろん、子どもの頃や若い頃の楽しかった思い出、好きな人、友人、家族、頑張ったこと等を思い出すことで不安や孤独感が和らいだり、今の自分に自信を持つことができ生き生きとしてくるでしょう。

写真や映像、音楽など、レクリエーションを通して昔のことを思い出し、それを他の参加者に話し会話することでより効果を高めることが可能です。

外出

普段は施設の中で行われるレクリエーションですが、たまに近隣へ外出し、外でレクリエーションが実施する施設もあります。(要介護度による)

景色や季節の移ろいを見ながら散歩することは運動不足の解消やストレス発散にもなりますし、買い物をすれば生活機能の訓練にもなります。

花見や温泉、コンサート、動物園、水族館に行ったり、近くの幼稚園や保育園、小学校など子どもたちと交流するイベントや、お祭りなど地域の行事に参加するといった例があります。

レクリエーションを実施する前の準備

介護施設でレクリエーションをスムーズに進行するためにはしっかりとした事前の準備が欠かせません。

1.参加者の情報集め

まず、安全にレクリエーションを実施するために、参加する方の健康の状態や介護度、筋力、体力、持病などを調べて把握することが大切です。

合わせてレクリエーションの内容を選ぶ時に役立つ参加者の趣味や得意なこと、好きなもの、過去の職業なども知っておくとよいでしょう。好みを取り入れ内容を決めることでレクリエーションに興味を持ってもらいやすくなったり、開催中に盛り上がる話題作りにもつながります。

他にレクリエーション中に体調不良となった際の対応方法や転倒、参加者同士のトラブルが起こらないよう防止する対策を考えることも重要です。

2.使用する道具の準備

老人向けのレクリエーションは紙やホワイトボード、ペンなど用意する物が少なく簡単なものが多いですが、その場で道具が無かったり足りないといった問題が発生すると盛り上がりに欠けてしまいます。

道具は人数分あるか、予備はあるか、衛生的か、ケガにつながらないかといったことも配慮して道具を確認し揃えておきましょう。

3.進行のシミュレーションと配置決め

実際にどのような流れで進めていくのか、一度スタッフみんなで一連の手順をシミュレーションを行いましょう。

その中で問題点が見つかることもあります。

ルールの説明は分かりやすいか、文字の大きさや見え方、声の大きさや聞こえ方は問題ないか、お題の順番などを確認し、スタッフと参加者の距離やテーブル、椅子の位置も決めておきます。

老人向けレクリエーションを実施する際のポイントと注意すること

1.積極的な声掛けを行う

レクリエーション中は、スタッフから参加者に積極的に声を掛けることを意識し、応援したり褒めていきましょう。

掛け声によりレクリエーションを楽しめますし、参加して良かったという気持ちになり盛り上がります。

また、その時は特定の人だけでなく全員に満遍なく声かけをすることが大切です。

2.接し方やお題に気を付ける

介護施設に限らず、たまに高齢者の方に対して小さな子どもを扱うような言葉使いで話されている方を見かけます。

本人に悪気はないのでしょうが、相手は年上の人生の先輩であり敬意に欠けますし、高齢者の中にはそのような扱いに傷つく方もいらっしゃいます。

また、レクリエーションのゲームやクイズの難易度も、気を遣うあまり易しすぎるものにしてしまうと「馬鹿にされている」と感じられる可能性もあります。

問題のレベルを落とすというよりも、ヒントの出し方を工夫することをおすすめします。

参加者の皆さんの尊厳を守ること、気持ち良くレクを楽しんでもらうように気を付けましょう。

3.開催者側も楽しむ

レクリエーションを盛り上げるコツは、スタッフも一緒に楽しむことです。

自分が楽しんでいなければその雰囲気が現場にいる参加者にも伝わり、結果的に楽しんでもらえない残念なレクになってしまいます。

笑顔を忘れず、声を明るく一緒に楽しんでいることが伝わるよう意識しましょう。

4.失敗しても良い雰囲気作り

参加する方の中には失敗することや人と競うことを嫌がる方も少なくありません。また、緊張している人もいるでしょう。

そこで最初にわざとスタッフが失敗してみせて笑える場を作ってみてはいかがでしょうか?

また、勝ち・負けを強調するようなレクではなく、グループやチームで協力したり、みんなが理解できるような内容、ゆっくり答えが出せるような進行、みんなが楽しめるテーマと雰囲気を提供しサポートすることが一番大切です。

5.無理強いしない

そもそも介護サービスのレクリエーションは強制ではなく任意での参加です。

そのため、多くの人に「参加したい」と思ってもらえる企画や普段のコミュニケーションで思ったことを素直に言ったり悩みを気軽に相談できるような良い関係を作ることが重要になってきます。

それでもレクが苦手な人はいますので、各個人の意思を尊重し、嫌がる利用者の方を無理に参加させることはやめましょう。

まとめ

以上のように、高齢者向けのレクリエーションには、脳、体、心を動かし加齢による機能の低下を防ぐ目的で行われていますが、同じように参加者が少し難しいと感じる程度の挑戦を楽しみながら行えることが大切です。

レクを成功させるためにはいくつか注意しなければならない点があり、参加者の背景や状況、状態、何が好きか等を聞いておき、計画を立てレクの内容を決めること。競い合うよりも出来るだけたくさんの人が飽きずに楽しいと思えるよう雰囲気を作り盛り上げること。難易度は参加者に合わせて適度なレベルで、やり方は簡単なもの。実施中は参加者それぞれの様子を観察し、安全に進行すること。参加者が傷ついたり自信をなくさないよう気を付けること等を意識しましょう。

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