デイサービス等の介護施設では、自立への支援やケアを行う中で機能訓練やレクリエーションの一貫として「体操」を取り入れている施設が多くあります。
老人が体操を行うことには多くのメリットがあり、ぜひ習慣として取り組んでいただきたいところ。
そこで今回の記事では、高齢者が体操を行うことで得られる効果や実施する際の注意点について解説いたします。
どうぞ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。
目次
老人が体操で得られる効果
老人が体操を行うことで得られると言われている効果には以下のようなものがあります。
・身体機能の維持、向上、改善
・運動不足の解消
・認知症の予防
・QOL(生活の質)の向上
・介護予防
・孤立感の解消
等。体操は身体的な効果だけでなく、参加している他の利用者や仲間たちと一緒に行うことによって精神面にも良い影響をもたらします。
また、機能低下を予防することで同居する家族の介護による負担を軽減させることにもつながります。
運動やトレーニング、リハビリをやるとなると億劫に感じてしまう方でも、体操なら気軽に始められそうですよね。
体操のメリット
なぜ、老人に体操を良いと言われているのでしょうか。その理由は上記のさまざまな効果の他にもいくつかあります。
まず、特別な道具を用意しなくても気軽に、そして簡単な方法で実施できる体操がたくさんあること。
もちろんタオルやボールなどの道具を使った体操や椅子や床に座ったまま出来る体操、寝ながら出来る体操もありますので、その人の状態や希望に合わせて強度を変えたりさまざまなバリエーションの中からメニューを組むことが可能な点も大きなメリットと言えます。
老人が体操を行う際の3つの注意点
高齢者の方が楽しく、安全に体操を行えるよういくつか注意したい点を紹介します。
体操の前に健康状態をチェックする
体操は体に良いものの、体調が悪い時に行うと症状を悪化させてしまう恐れがありますので注意が必要です。
そのため、体操を行う前には毎回必ず血圧や体温等、健康状態のチェック(バイタルチェック)を行いましょう。
体操中の変化もチェックする
体操をする前は問題がなくても、始まってから体調を崩したり痛みが出るケースもあります。
そのため体操を行っている間も状態を常に確認し、声かけも行いながら必要に応じて体操の内容を変更したり、場合によっては中止する等の対応を行いましょう。
体操の目的を決める
体操の効果をより高めるためには、それぞれの人の状態や目標に合わせたメニューを組むことが大切です。
体を柔軟にしたい、上半身を鍛えたい、体幹を鍛えたい、下半身を強化したい等、最初に目的を決めることで具体的にどんな体操をするべきか内容を決めやすくなります。
老人におすすめの基本的な体操
それではすぐに始められる高齢者向けの主な基本の体操をいくつか紹介します。ぜひお試しくださいね。
首の体操
椅子に姿勢良く座り手を軽く膝に置く、または立った状態で腰に手をあて、首をゆっくりと前、後ろ、右、左に倒します。
それぞれ10回程度を目安に行いましょう。首を倒す際は、ゆっくり息を吐きながら倒すとよりストレッチ効果が得られます。
首の柔軟性を高めることは肩こりや首こりの解消の他、咀嚼や嚥下機能を改善させる効果が期待できます。
肩の体操
椅子に姿勢良く座り手を軽く膝に置く、または立つ場合は腰に手をあてた状態で息を吸いながら両方の肩を力を込めて上へ上げます。次に息を吐きながら両肩の力を抜いて下にストンと落としましょう。
それぞれ5回程度繰り返します。
肩の体操は上半身の柔軟性を高め、衣服の着脱や風呂で頭や体を洗う動作をスムーズにさせる等の効果が期待できます。
脚の体操
椅子に腰をかけて片足を前に伸ばします。そのまま体を前にゆっくり倒していき、前に出した方の足首、ふくらはぎ、膝裏、太ももの裏の伸びを感じましょう。
心地よく伸ばしたら反対側の脚も同様に行います。
慣れてきたら前に出す足のつま先を天井に向けてみましょう。
この体操は腰痛の予防や姿勢の改善にも効果がありおすすめです。
口腔体操
まずは口を閉じ、そこから「パッ」と声を出して大きく口を開きます。次に舌を上あごにつけ「タッ」と声を出します。次は「カッ」と声を出してのどの動きを感じ、最後に舌を巻いて前歯の裏につけて「ラッ」と言いましょう。
「パタカラ体操」と呼ばれるもので、食べ物を食べる時に必要な筋肉を鍛えたり、表情筋を鍛えることが出来ます。
足指の体操
椅子や床に座って足の指をギュッと丸めグーの状態にします。次に足の親指を上に上げてチョキにします。そして最後は全部の指を思い切り開いてパーにします。
これを5回程繰り返しましょう。
足指の体操はしっかりと歩くために必要な足裏のアーチを保ち、外反母趾や偏平足を防ぎます。
老人向け体操の探し方
高齢者向けの体操は、雑誌やインターネットサイトの他に、Youtubeなどでも多くのコンテンツが紹介されています。新しいものも随時更新されますし、動画だと動きが分かりやすくて良いですよね。
体の仕組みを理解している作業療法士や理学療法士、介護士など専門の知識を持った人がクリエイターや監修を行っているチャンネルを参考にすることをおすすめします。