要介護認定で受け取れる給付金は?判定基準や給付金の内容、認知症の場合についても解説

高齢者や障がい者等の介護が必要となった場合、本人やその家族にとって精神的、身体的なものだけでなく経済的な負担も大きくなります。

そんな時に活用したいのが「介護給付金」という制度。

実は意外と多くの人がこの給付金について正確な情報を知らず受け取れないまま介護生活を送っているようです。

そこで今回の記事では、介護によって受け取ることができる給付金の種類やその概要について解説します。

どうぞ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。

介護で受け取れる給付金とは

介護給付金とは、65歳以上の高齢者や障がいを抱えた人々が安心して日常生活を送るために必要な費用を補助する目的で給付されるお金のことで、サービスや適切なサポートを受けられるよう支援する介護給付制度の一環として行われています。

介護保険の被保険者の負担を軽減し、介護サービスの費用を抑えられるというメリットがあります。

給付金を受け取れる対象は?

給付金は誰でも受け取れるというわけではなく、介護保険の被保険者として認定された人、または要支援、要介護認定を受けた人が対象者となっています。

具体的には介護保険に加入し、要介護1~5、要支援1~2の認定を受けている方です。

実際に給付を受けるには、ケアプランと呼ばれる介護サービス計画を作成する必要があり、ケアマネジャーが作成をします。

ただし給付金によっては年齢、介護保険の加入期間等の条件がそれぞれ決められているものもあります。

詳細な情報については、居住している自治体の窓口や介護保険制度を担当している機関に問合せを行い確認していただくことがおすすめです。

要介護認定で判定される身体状態の目安

それでは要介護認定で判定される介護度別の身体の状態はどのようなものなのか、一覧で紹介します。

<要支援1>

要介護状態とは認められないが、社会的支援を必要とする状態

食事や排せつ等はほとんどひとりでできるが、立ち上がりや片足での立位保持などの動作に何らかの支えを必要とすることがある。入浴や掃除など、日常生活の一部に見守りや手助けが必要な場合がある。

<要支援2・要介護1>

生活の一部について部分的に介護を必要とする状態

食事や排泄などはほとんどひとりでできるが、日常生活に見守りや手助けが必要な場合がある。立ち上がりや歩行などに不安定さがみられることが多い。問題行動や理解の低下がみられることがある。この状態に該当する人のうち、適切な介護予防サービスの利用により、状態の維持や、改善が見込まれる人については要支援2と認定される。

<要介護2>

軽度の介護を必要とする状態

食事や排泄に何らかの介助を必要とすることがある。立ち上がりや片足での立位保持、歩行などに何らかの支えが必要。衣服の着脱は何とかできる。物忘れや直前の行動の理解の一部に低下がみられることがある。

<要介護3>

中等度の介護を必要とする状態

食事や排泄に一部介助が必要。立ち上がりや片足での立位保持などがひとりでできない。入浴や衣服の着脱などに全面的な介助が必要。いくつかの問題行動や理解の低下がみられることがある。

<要介護4>

重度の介護を必要とする状態

食事にときどき介助が必要で、排泄、入浴、衣服の着脱には全面的な介助が必要。立ち上がりや両足での立位保持がひとりではほとんどできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。

<要介護5>

最重度の介護を必要とする状態

食事や排泄がひとりでできないなど、日常生活を遂行する能力は著しく低下している。歩行や両足での立位保持はほとんどできない。意思の伝達がほとんどできない場合が多い。

介護給付金と予防給付金

上記で説明した介護給付金と似たものの中に「予防給付金」という制度があります。

介護給付金は介護が必要な人に対し介護にかかる費用の一部を補助するもので、他に介護サービスや介護用品の提供といったものもあります。

一方、予防給付金はというとその名の通り介護を予防する取り組みや健康を増進するための活動を行う方々に対し、その活動に関連する費用を助成する目的で設置された制度になります。

目的は異なりますが、大きく見ると高齢者や障がい者の方々の生活の質や健康を向上させるという意味で同じ様に重要な役割を持った制度と言えます。

介護給付金はいくらもえるの?

それでは皆様が気になるであろう介護給付金の額について説明していきましょう。

結論から申しますと、介護給付金の給付額は日本の介護保険制度において評価された7つの段階の区分によって異なります。

以下、詳しく紹介していきます。

<要支援1>

給付金は対象外。しかし予防給付等の一部のサービスが提供されるケースも。

<要支援2>

月額1,000~2,000円程度の給付金を支給

<要介護1>

月額5,000円程度の給付金を支給

<要介護2>

月額10,000円程度の給付金を支給

<要介護3>

月額20,000円程度の給付金を支給

<要介護4>

月額30,000円程度の給付金を支給

<要介護5>

月額40,000円程度の給付金を支給

以上の金額はあくまで目安であり、”程度”としているのは都道府県や市町村によって介護保険の条例が異なる場合があるためです。

概ね要介護度が1上がる度に給付金の額は10,000円程度高くなりますね。

介護認定の区分ごとの自己負担額は?

要介護認定で決定された区分ごとに、利用できるサービスに上限が設けられています(支給限度基準額)。

この限度額基準内であれば、利用したサービスに費用の自己負担は1割。それを超えるサービスを利用する場合は介護保険は使用できず全額が自己負担となりますので注意しましょう。

<各介護度区分の限度額>

要支援1:50,320円

要支援2:105,310円

要介護1:167,650円

要介護2:197,050円

要介護3:270,480円

要介護4:309,380円

要介護5:362,170円

自己負担額は所得によっても変わります。所得の合計が160万円未満(年金の収入なら280万円)であれば1割ですが、所得の合計が160万円以上の人は2割負担になります。

また、2018年8月からは更に所得が高額の人に対して3割へと変更されました。

介護給付を利用できるサービスの種類

以上で説明したとおり、介護給付はサービスに対しても支給されます。

給付対象となっている介護サービスには「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3つに分けられます。

それぞれの特徴としては、居宅サービスは自宅で介護を受けている方に向け提供されるサービスで、具体的には訪問介護、訪問入浴介護、通所介護、デイサービス、ショートステイといったものがあります。

施設サービスは介護施設に入所している方が対象で、介護老人福祉施設、介護療養型医療施設、介護医療院、介護付き有料老人ホーム等があります。

そして地域密着型サービスは自宅で暮らしている方も介護施設に入居されている方も対象となり、訪問看護や訪問リハビリテーション、居宅介護支援、地域包括支援センター等、お住まいの地域に密着したサービスのことを指します。

また、サービスによって運営の母体が違います。

<都道府県、政令市、中核市が指定・監督を行う介護サービス>

・居宅介護サービス

特定施設入居者生活介護

福祉用具貸与

・訪問サービス

訪問介護(ホームヘルプサービス)

訪問入浴介護

訪問看護

訪問リハビリテーション

居宅療養管理指導

・通所サービス

通所介護(デイサービス)

通所リハビリテーション(デイケア)

・短期入所サービス

短期入所生活介護(ショートステイ)

短期入所療養介護

・施設サービス

介護老人福祉施設

介護老人保健施設

介護療養型医療施設

介護医療院

<市町村が指定・監督を行う介護サービス>

・地域密着型介護サービス

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

夜間対応型訪問介護

地域密着型通所介護

認知症対応型通所介護

小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

地域密着型特定施設入居者生活介護

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)

 

上記の他に、福祉用具(歩行を補助する歩行器や杖、シルバーカー、特殊寝台など)の購入やレンタル、住宅の改修(スロープや手すりを取り付ける工事など)、介護予防や日常生活支援総合事業もあります。

認知症でもらえる給付金はある?

次に、認知症と診断された場合の給付金や支援制度について紹介していきましょう。

認知症の場合症状の進行に応じ必要な支援の内容は変わってきますので、医師から診断を受けた際は適切なサポートを受けるためにはお住まいの地域にある地域包括支援センターに相談するのが先決です。

そして、認知症になっても出来る限り自分で自立した生活を継続できるよう、さまざまな制度を活用していきましょう。

介護保険サービスでは、上記で紹介したように介護認定を受けた本人の生活の介助や、その家族の休息を設けるためのサービスです。

介護保険料は原則として年金から天引きされますが、40歳~65歳までの人の場合は健康保険料に加算されて徴収されています。

利用する際は市区町村の介護保険を担当する窓口に申請し、主治医による意見書や訪問調査を経て要介護度を判定してもらいます。

また、精神障害者保健福祉手帳を申請し取得することで、公共交通機関や公共施設の利用料金が割引されたり、税金の控除、減免といったサービスを受けることが可能です。

就労が困難となり経済的な困窮の恐れがある場合は生活保護を受けたり、生活福祉資金貸付制度を利用する方法もあります。

その他、特別障害者手当や家族介護慰労金、医療費の支援など、それぞれの要件を満たすことで得られる給付金がありますので、ぜひ自治体の窓口や地域包括支援センターに当てはまる制度はないか確認してみて下さい。

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