高齢者の独り言がうるさいと感じたことはありませんか?
家の中や病院、街の中で老人が誰かと話してるのかな?と思ったら独り言だった、という場面に出会ったことがある人は多いのではないでしょうか。
考えごとをしている時につい口から出てしまう独り言であれば問題ありませんが、明らかにそれとは違う独り言が増えてきたら要注意。認知症のサインかも知れません。
そこで今回の記事では、高齢者の独り言の特徴や原因、対処方法について解説します。
どうぞ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。
目次
老人の独り言の特徴
若い人でも出ることのある独り言とは違い、認知症が原因で起こる老人の独り言にはいくつか特徴が見られます。
その中で主な特徴を3つ、以下に紹介していきましょう。
見えない誰かと会話している
老人の独り言としてよく見られるものに、誰もいない方を向いてまるで誰かと話しているような独り言を発しているケースがあります。
これは認知症の症状としてよく見られる特徴の一つです。
意味をなさない言葉の羅列
意味不明な言葉や単語を並べて話し続けるといった独り言も、認知症の症状で見られます。
時には朝から晩まで一日中続くこともあり、同居する家族や周囲の人は戸惑うかも知れません。
夜間に増える
認知症による独り言は夜に出現したり悪化しやすい傾向にあります。
日中は静かなのに夜になると急に何か一人で言い続ける様子が見られたら、認知症の可能性が考えられます。
老人の独り言の原因
老人の独り言は認知症で脳が変化することにより見られる一般的な症状の一つです。
それでは次に、なぜ認知症で独り言が出てしまうのか、考えられる主な原因について説明してまいります。
レビー小体型認知症
認知症にはいくつかの種類が存在し、その中で「レビー小体型認知症」という種類の認知症には「幻視」の症状がよく現れます。
幻視が起こるといるはずのない人・見えないものが見えることがあり、上記で紹介した”見えない相手と会話している”独り言をすることが多くなります。
せん妄
せん妄は意識が混乱した状態で、認知症の方が疲れやストレスで身体に負担がかかると生じやすくなり、幻覚や妄想、興奮なども引き起こします。
認知症以外にも脱水や感染症など身体的な原因によって現れることもあります。
せん妄が起こると周囲にとっては意味不明なことを話すようになり、特に夜は不安や恐怖が増すためせん妄が悪化する傾向にあります。
老人の独り言の対処法と注意点
以上のような独り言は、本人が好きでしているわけではなく認知症の症状として起こっているため、「うるさい、やめて」と言っても解決することは困難です。
とはいえ、ずっと続く独り言を聞き続ける家族にとっては負担が大きく、何か上手な対処方法はないかと悩んでしまいますよね。
そこで認知症による老人の独り言を和らげるためにどのように対応をすれば良いか、ポイントをお伝えします。ぜひお試しください。
感情的に怒らない
認知症の症状として独り言が出ている時、本人は独り言だと自覚していない場合がほとんどです。そのため、それを止めようと自分でコントロールすることは非常に困難な状況なのです。
そんな時に周りが「うるさい!」と怒ったり、独り言をやめるよう強く要求したり、言っていることの間違いを指摘するようなことをしてしまうと、本人にとって不安が強くなり更に独り言がひどくなってしまう可能性もあるため注意が必要です。
好きで独り言を言っているわけではなく、理由があることを理解することが大切です。
安心できる環境作り
独り言が増えている時は本人が何か不安に感じることがあるのかも知れません。
特に夜の時間などはうるさくて眠れず家族もつらい状況かと思いますが、無理に寝かせようとするよりも手を握ったり体を優しくさすってあげたりして安心させてあげる行動をとった方が独り言が落ち着きやすくなるでしょう。
また、部屋が真っ暗になることを怖がる人も多いため、間接照明などを利用して安心して眠れる環境を整えてあげることもおすすめです。
温かい飲み物や温かい食事
温かいミルクやココアで体を温めてあげることが安心感につながり、独り言が軽減されるされることがあります。
お腹が空いている時にはうどん等の温かい食事も良いでしょう。
薬物療法
現在、認知症を根本的に治療する方法は確立されていません。
その中で、進行を抑えたり症状を少しでも改善するために薬を使った治療が用いられることもあります。
記憶障害や認知機能の低下の進行を遅らせたり、睡眠導入剤や抗不安薬など症状によって処方されます。
ただし、薬が根本的な治療になる訳ではなくあくまで対処療法になりますので、薬だけに頼らず上記の対処法なども合わせて行いながら様子を見る必要があります。
老人のうるさい独り言に疲れたら・・・
「病気だから仕方ない・・・」と理解しつつ、毎日生活を共にする家族は疲れてしまうこともあるでしょう。
我慢して無理を続けると体調を崩してしまったり、精神的に追い詰められてしまう可能性もあります。
そうなる前にできる対策をお伝えします。
相談する
認知症の介護には悩みやストレスがつきものですが、一人で抱え込んでしまう人も少なくありません。
しかし介護者の様子に認知症の方が不安を感じ、独り言が悪化してしまうケースもあるのです。
そこで認知症の方だけでなく自分のためにも医師や自治体の福祉関連の窓口、ケアマネジャー、地域包括支援センター等、専門の知識を持ったスタッフに悩みを打ち明け相談しましょう。
話すだけでも気持ちが軽くなったり、適切な対処法などのアドバイスや役立つ情報をもらえるためおすすめです。
介護サービスの利用
病院を受診し認知症の診断を受け、要介護認定で要介護と判断されていれば介護保険サービスを利用することが可能です。
介護保険サービスの目的には家族の休息も含まれています。
デイサービスやショートステイ、訪問介護など在宅で利用できる介護サービスを上手に使って疲労を溜め込まないようにしましょう。
また、自宅での介護に限界を感じる場合にはグループホーム等の介護施設への入居も検討しましょう。