総務省が毎年行っている情報通信機器・端末の世帯保有率の調査を見ると、2022年の時点でモバイル端末の保有率はなんと97.5%、その内スマートフォンは90.1%を占める結果が出ていました。パソコンの48.5%を大きく上回っています。
現在の日本では老若男女問わずほとんどの人がスマホを持っているということが分かりますが、それでも2024年現在、高齢者の方の中には「スマホは使えない」「スマホは操作が難しそう、自分には無理」と昔ながらのガラケーやそもそも携帯電話を持たない選択をしている方もいます。
しかし、スマホは外出中や緊急時にすぐに連絡やコミュニケーションが取りやすいツールなので、離れて暮らす家族や友人にとってはシニア世代だからこそ持ってもらいたいと思うものでしょう。
そこで今回の記事では、なぜ、老人はスマホを使えないのか。考えられる理由や老人がスマホを使えないことのデメリット、スマホを活用してもらうための対策や注意点について解説します。
ぜひ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。
目次
老人がスマホを使えないのはなぜ?
なぜ高齢者の方は自分がスマホを使えないと思ってしまうのでしょうか。使ってもらうためには、まずその理由を知ることが大切です。
考えられる主な原因を以下、紹介します。
見慣れないもの、新しいものへの拒否反応
高齢者の人に新しい機械やサービスの話や使い方の説明をしようとすると、考える前から「無理!わからない!いらない!」と話を聞こうとすらしなかったり、拒絶された経験はありませんか?
歳を重ねるにつれて新しいものへの興味や好奇心が薄れるとともに、知らないこと、分からないことを覚えること、理解することに抵抗を感じやすくなる傾向があり、それまで触れてこなかったスマホに対しても同様の反応を示している可能性があります。
またテレビや新聞のニュースでスマホやインターネットを使った詐欺や事件、個人情報の流出の問題等を見聞きしていることから、スマホに対する恐怖や警戒する気持ちが強いのかも知れません。
操作に慣れていない
今は昔と違い、ボタンではなく液晶画面へタッチして操作する機械が増えました。
スマホは指先を使ってタップやスワイプ、ピンチイン、ピンチアウトといった、これまでの暮らしではあまりしてこなかった動作をする必要があります。
実際は非常に簡単な動きなのですが、指先の動きが衰えてきたり、指先が乾燥しがちな高齢者の方にとっては、慣れるまで難しいと感じてしまうことが多いようです。
また、キーボードで文字を入力する際のフリック入力などもハードルが高く感じる要因でしょう。
必要なものを探せない
スマホは画面にたくさんのアイコンが並んでいます。
高齢者の方はその中から何をタッチすれば必要なものが表示されるのか、メニューの探し方やさまざまな機能の設定などがまったく分からず、スマホを持ったまま固まってしまう場面がよく見られます。
便利なアプリが無数にあるスマホですが、それ故に高齢者にとっては苦手意識を強めてしまうことがあります。
ログインできない
スマホではネットショッピングやSNS等、さまざまなサービスを利用することができますが、何をするにもIDやパスワードの入力をしてログインしなければ使えないというものがたくさんあります。
最近は指紋や顔認証で簡単にログインできる端末が主流になっていますが、認証がうまくできなかったりパスワードを忘れてしまった場合の対処が高齢者にとっては非常に難しく、ログインできないまま諦めて使わなくなってしまった、という方もとても多いようです。
老人がスマホを使えないデメリット
デジタル社会が進む現代では、スマホを持っていること、使えることを前提にサービスが提供されるといった場面が増えています。
ということは、このままスマホが使えないと何かしら弊害や不便な思いをすることが増えるということです。
連絡がとれにくい
最近は家に固定電話を持たない家庭が増え、連絡は携帯電話を使うという方が主流になっています。
中でもLINE等のメッセージアプリでのコミュニケーションが当たり前となり、友だち登録をしている同士なら通話やビデオ通話も無料でできるため、遠方で暮らす子どもや孫、友人とも特別な用事がなくても気軽に連絡をとることができます。
そのため、スマホがない、LINEが使えないとなると連絡がとれにくく、スマホがある場合と比較して連絡をとる頻度は大きく下がってしまうでしょう。
社会への適応が難しくなる
先ほども書きましたが、世の中のデジタル化が加速している中でスマホが使用できないと生活のあらゆる場面で不便な思いをすることが出てきます。
最近は現金ではなくキャッシュレス決済の利用を前提としたサービスや、飲食店でもLINEで注文する店が増え、生活していく手段としてスマホは必需品とも言える環境へと変わってきています。
今後もスマホを使えないとなると、このような社会の流れに乗れずサービスの提供が満足に受けられない、生活がしにくいと感じる状況は益々増えていくでしょう。
老人でもスマホは使える!おすすめの対策
スマホは以前のガラケーよりも画面や文字も大きく感覚的に操作できるため、実は高齢者の方に向いていると言えます。
「スマホが使えない」と感じているのは、先述したように新しいものを受け入れる気持ちがなかったり、単純に慣れていないだけであることが大きく、誰かが丁寧にサポートさえすれば高齢者の方でも意外と使いこなせてしまうのです。
そのためにはどうしたらよいか、おすすめの対策を紹介します。
スマホ教室に参加する
スマホを使っていない方やこれから使用してみたい、スマホを購入したけれど操作方法が分からない…そんな方を対象に、ドコモやKDDI、Softbank等の通信会社や自治体ではスマートフォンの体験会や相談会、スマホ教室などを開催しています。
特にシニア向けのスマホ教室は各地で開催されており、内容は基本操作以外にもLINEやメール、カメラ、サイトで検索する方法等、人気の機能やアプリの使い方を丁寧に教えてもらうことができるため高い人気を誇っています。
しかもほとんどの場合、無料で受講できるため、気になる方は近くの携帯ショップや役所の窓口で情報を確認し参加されることをおすすめします。
サポート体制が充実したキャリアで契約する
近年、格安スマホ等スマホにも種類が増え、扱う通信会社も多いためどこを選んだら良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
高齢者の方が初めてスマホを契約する場合は、サポートや支援を十分に受けられるキャリアを選ぶことをおすすめします。
困った時にすぐに質問や相談に対応してもらえるよう、近くに店舗があると安心です。
また、文字やアプリが大きく表示され、操作もシンプルなシニア向けの機種もあります。
通話やメール、LINEなど必要最低限の機能に絞られている方が操作を迷わないと思いますので、家族や店員に相談しながら選びましょう。
老人がスマホを使う時の注意点
高齢者の方に限りませんが、スマホを使う時にはいくつか気を付けなくてはならないこともあります。
自身で管理できる状態にない時は家族や介護者が管理してあげるようサポートをお願いします。
詐欺
インターネットに慣れておらず知識が少ないと、ネットを利用して行われる詐欺に引っかかりやすくなるため特に高齢者の方は注意が必要です。
例えばメールでURLをクリックさせて個人情報を盗むフィッシング詐欺や、サイトにアクセスさせて高額な料金を請求する詐欺などがいまだに横行しています。
知らない人や会社からのメール、メッセージは開かないこと、安易にURLをクリックしないこと等を事前によく覚えておいてもらうことが大切です。
代表的な詐欺の手口についても知っておきましょう。
料金
契約プランにもよりますが、スマホの使用には当然料金がかかります。
初めてのさまざまな機能に楽しくなり、つい動画を見すぎたり、有料サービスを利用したり、課金してしまい、気付いたら高額な費用を請求された!というケースも少なくありません。
このようなことを防ぐためにはスマホに使用制限をかけたり、支払い上限の決まっているプランを選ぶなどの対策をしておきましょう。
まとめ
以上のように、老人がスマホを使えないと感じる理由には新しいものへの抵抗感や慣れていないことが多く、丁寧にサポートしてあげることで解消されることがほとんどです。
今回の記事で紹介した注意点に気を付けながら、スマホ教室へ参加するなどしてこれから便利にスマホを活用した生活を送っていただければと思います。