高齢者が日中を過ごすための施設であるデイサービスは、単なる生活支援の場にとどまらず、楽しみや心身の健康をサポートする重要な役割を担っています。その中でも、デイサービスのレクやイベントで行われるゲームは利用者の精神的な充実や身体機能の維持に大きな効果をもたらします。本記事では、高齢者デイサービスにおけるレクリエーションゲームの意義、種類、実施方法について詳しく解説します。ぜひ最後までご覧いただき、高齢者向けのゲーム探しの参考にしていただければと思います。
老人がゲームを行う意義
高齢者がゲームを行うことにはどのような意義があるのでしょうか。主なものを以下、紹介します。
認知機能の維持・向上
高齢者の認知機能の維持は、日常生活の質を保つために重要です。レクリエーションゲームは、脳を活性化し、記憶力や判断力を鍛えるのに役立ちます。例えば、クイズやパズル、クロスワードなど脳トレになるゲームは、認知機能を刺激し、認知症予防も期待できます。
身体機能の改善
身体を動かすゲームは自然とトレーニングやリハビリになり、筋力や柔軟性を維持・向上させるのに役立ちます。特に、高齢者は運動不足になりがちですが、レクリエーションに取り入れることで、軽い運動を楽しみながら身体機能を改善することができます。
社会的な交流の促進
介護施設などで行われるゲームは他の参加者とのコミュニケーションの機会を提供します。競い合ったり協力したりする中で盛り上がると自然な交流が生まれ、孤立感を減らすことができます。これにより、社会的なつながりが強化され、精神的な安定にも寄与します。
精神的なリフレッシュ
楽しくゲームを行うことで不安を軽減しストレスを解消させ、心をリフレッシュする効果があります。達成感や楽しさを感じることで、ポジティブな感情が促進され、生活の質が向上します。
デイサービスで実施するレクリエーションゲームの種類
高齢者向けのゲームにはさまざまなものがありますが、デイサービス等で実際に行われているゲームの中からおすすめのゲームを種類ごとにいくつか紹介します。
知的ゲーム、脳トレ
まず、頭を使うゲームを紹介します。足が悪い人でも座ったままできるゲームが多く、認知症の予防にも非常に効果的です。
パズル
ジグソーパズルやロジックパズルは、認知機能を活性化させるために最適です。ジグソーパズルは、視覚的な記憶力と集中力を鍛える効果があります。ロジックパズルは、論理的思考力を高めるため、認知症予防にもつながります。
クロスワードパズル
クロスワードパズルは、語彙力や記憶力を鍛えるための良い選択です。グループで取り組むことも可能なため、コミュニケーションの機会も増えます。また、難易度を調整することで、多くの利用者が楽しめるように工夫できます。
しりとり
しりとりは誰でもルールを知っており、道具も必要ないため手軽に実施できるゲームです。同じ言葉を言わないように、大きい紙やホワイトボードを置いて職員が書いていくと分かりやすくておすすめです。
連想ゲーム
しりとりと同様、連想ゲームも昔からあるゲームなので知っている方も多いでしょう。テーマごとに連想する言葉から答えを考えるのは非常に頭を使いますし、みんなで答えを出し合うことで盛り上がりやすくおすすめです。また、当てると爽快感を味わえるでしょう。
身体を動かすゲーム
次は体を動かし楽しめるゲームを紹介します。
ボールゲーム
ボールを使ったゲームは、身体を動かす楽しさと運動効果があります。例えば、簡単なボール投げやキャッチは、反射神経を鍛えながら楽しむことができます。また、体力に応じて難易度を調整できます。
体操ゲーム
簡単な体操やストレッチを取り入れたゲームは、筋力や柔軟性を維持するのに役立ちます。音楽に合わせて体を動かすことで、楽しみながら運動を続けることができます。
ボウリング
ペットボトルをピンに見立てることでボウリングも行えます。椅子に座ったまま手の動きだけでボールを転がして遊ぶことも可能なので、足腰が弱い人でも楽しめます。ボールは新聞紙を丸めて代用すると良いでしょう。
風船バレー
風船を手やうちわを使用して打ちポイントを競うバレ^を行う風船バレーも人気です。チームのメンバーに「お願い!」「私が打つよ!」等、声かけが発生するので、交流にもつながるでしょう。
ピンポン
ピンポンと言っても卓球ではなく、テーブルの真ん中に湯呑や紙コップを置いて、順番にピンポン球をバウンドさせながら投球しコップの中に入れるゲームはいかがですか?用意する道具も少なく、座ったまま出来るので老人向けのゲームとしておすすめです。少ない回数で入るほど得点を大きくしたり、投球数を決めるなど工夫しましょう。
社会的な交流を促進するゲーム
ボードゲーム、テーブルゲーム
ボードゲームは運を試したり、頭を使って考える楽しさがあります。将棋や囲碁、人生ゲームなどは、ルールがシンプルで高齢者にも取り組みやすいです。複数の人数で行うため、ゲームを通じて参加者同士の交流もたくさん生まれるでしょう。
カードゲーム
トランプやUNOなどのカードゲームも人気です。簡単なルールで楽しめるため、多くの高齢者が参加しやすいゲームです。ゲームを通じてコミュニケーションの機会が増え、楽しい時間を共有できます。
アウトドアゲーム
高齢者向けのゲームには、室内で行うゲーム以外にも外で行えるものもあります。
ゲートボール
ゲートボールは、軽い運動をしながら楽しめるスポーツです。デイサービスの庭や公園で行うことができ、高齢者でも安全にプレイすることができます。ルールがシンプルで、参加者全員が楽しめます。
ペタンク
ペタンクはまだあまり知られていませんが、金属製のボールを使ったフランスのスポーツで子どもから老人まで幅広い世代の人が楽しんでいます。目標の小さな球に近づけることを目指し点数を競うゲームです。軽い運動と戦略を組み合わせたゲームで、屋外で楽しむのに最適です。1人でもチームでもできるゲームなので、参加する人数に合わせてルールをフレキシブルに変えられることもメリットです。
音楽系のゲーム
音楽を使ったゲームはいつも盛り上がり、高い人気があります。
イントロクイズ
イントロを流して、曲名を当てるゲームです。「何の曲だったかなぁ」「聞いたことあるぞ」「もう少しで思い出しそうなのに」という声であふれ、大変盛り上がるゲームの1つです。
歌詞の穴埋めゲーム
歌詞の一部を空欄にして、入る言葉を当てるゲームです。歌は誰もが知ってる童謡や、参加者が若い頃に聞いていた歌などを選ぶと良いでしょう。当時の記憶を思い出し、懐かしい気分になるでしょう。事前に参加者とコミュニケーションを取りながら、好きな歌を聞き出すことも大切です。最後はカラオケのようにみんなで一緒に歌うと盛り上がりますよ。
演奏
ゲームではありませんが、楽器を演奏するレクもおすすめです。楽器といってもカスタネットやトライアングル等、簡単に演奏できるものなら誰でも参加できるでしょう。簡単な動作でも指を使ったり、音を出すタイミングを図ったり、音を出す部分をしっかり目で見て確認したりと十分機能訓練としての目的を果たします。
一人で行えるゲーム
勝負ごとが苦手な人や参加者が少ない時などに、相手がいなくてもそれぞれのペースでゆっくり楽しめるゲームもあります。
塗り絵
最近は大人向けの塗り絵も多く販売されていますが、インターネットにも無料でダウンロードできる塗り絵がたくさんあります。参加者の好みやレベルに合わせて、楽しめる絵柄を選びましょう。指先を動かし脳への刺激にもなりますし、好きな色でキレイに塗れると達成感を得られ、感性にも良い影響があるでしょう。作品を展示してみんなで感想を言い合うのも楽しみですね。
お手玉
昔ながらのお手玉も脳トレになります。女性だけでなく男性も一緒にチャレンジしてみましょう。やわらかなお手玉は握るだけでも気持ちが落ち着く効果を人に与えます。手先が器用な方や裁縫が得意な方は、一緒にお手玉を作るレクもよいでしょう。
計算
計算といっても難しいものではなく、参加者のレベルに合わせて問題を簡単にしたり難しくしたり調整しましょう。例えば、計算式の一部を空欄にして当てはまる数字を考える方式なら簡単に難易度を変えることができます。
老人向けゲームの実施方法と注意点
それではレクリエーション等でゲームを実施する際の方法と注意したい点について紹介します。
参加者のニーズに応じたゲーム選び
参加する高齢者の興味や身体機能を把握した上で、それぞれに合わせてゲームを選ぶことが成功のコツです。認知機能の状態や身体の能力に応じて適切なゲームを提供することで、参加者全員が楽しめるようにしましょう。また、個別対応やグループ活動を組み合わせることで、多様なニーズに応えることができます。ただし、参加したくないという人を無理に参加させることはやめましょう。
ルールの説明とサポート
ゲームをスムーズに進行するためには、わかりやすいルール説明とサポートが欠かせません。スタッフが親切に説明し困った時にはすぐに助ける体制を整えることで、参加者が安心して楽しむことができます。気軽に質問してもらえる雰囲気や関係性を作ることを日頃から意識しましょう。
定期的なゲームの見直し
高齢者の興味や体調は毎日変化するため、ゲームの内容や形式を定期的に見直すことが重要です。利用者のフィードバックを取り入れたり、新しいゲームを導入したりすることで、常に新鮮で楽しめる環境を提供できます。
安全性の確保
特に身体を動かすゲームを行う際には、安全性に配慮することが重要です。転倒のリスクを減らすために、周囲の環境を整え適切なサポートを行うことで、安全にゲームを楽しむことができます。
自信を失わせない
ゲームに参加して上手くできなかったり、失敗したり、負けたりすることで自信を失ってしまう方もいます。そのため、勝利や敗北を強調するようなことは避け、ゲーム中の参加者の様子は常にチェックして気を配り、様子がおかしいなと感じた場合はすぐにケアするようにして下さい。また、問題の難易度を簡単にし過ぎることで「自分は馬鹿にされている」と感じさせてしまうケースもあります。それぞれの能力を把握し、ゲームを通して前向きな気持ちになってもらうよう配慮しましょう。
まとめ
以上のように、高齢者デイサービスにおけるレクリエーションゲームは、遊びを通して認知機能の維持、身体機能の改善、社会的な交流の促進、精神的なリフレッシュといった多くの効果をもたらします。知的ゲームや身体を動かすゲーム、社会的な交流を促進するゲーム、アウトドアゲームなど、多様なゲームを取り入れることで、利用者のニーズに応じた楽しみを提供することができます。ゲームを通じて、高齢者が健康で充実した日々を送れるよう支援することが、デイサービスの重要な役割です。
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