近年、人生100年時代と言われるようになり、定年後も働き続けることが一般的になりつつあります。高齢者が働く理由は多岐にわたり、生活費の補填、社会とのつながり維持、生きがいを求める等さまざまです。しかし、体力の低下や外出の制約から、定年後は自宅でできる仕事を探す方も増えています。本記事では、高齢者が自宅でできるおすすめの仕事やそのメリット、始め方について詳しく解説します。
目次
高齢者が自宅で働くメリット
まず、自宅で働くことのメリットを確認してみましょう。
時間と体力に合わせた働き方ができる
高齢者の多くは、若いころに比べて体力や集中力が落ちることを感じているかもしれません。自宅で仕事をすることで、体調や生活リズムに合わせた無理のない働き方ができます。通勤時間もないため、体力的な負担が軽減される点も大きなメリットです。
ストレスの少ない環境で働ける
自宅で働くことは、慣れ親しんだ環境でリラックスしながら仕事ができるというメリットがあります。職場の人間関係に悩むことも少なく、ストレスを軽減した状態で働くことができます。特に高齢者にとって、ストレスが少ない環境で働くことは健康面でも重要です。
社会参加と生きがいの維持
退職後は、社会とのつながりが薄れてしまうことを不安に感じる方も多いです。自宅で働くことで、他者とのやり取りや仕事を通じた社会参加が可能になります。これは、心理的な充実感や生きがいを感じるうえでも大きなプラスとなります。
高齢者におすすめの自宅でできる仕事
次に、高齢者に適した自宅でできる仕事をいくつかご紹介します。
在宅ライター・ブログ運営
文章を書くことが得意な方には、在宅ライターやブログ運営がおすすめです。Webライティングや記事作成の仕事は、パソコンとインターネットさえあればどこでもできるため、自宅での仕事に最適です。自分の得意な分野や経験を生かして執筆することができるため、過去の経験がそのまま仕事に結びつくこともあります。
また、ブログを運営することで、広告収入やアフィリエイト収入を得ることも可能です。ブログは時間をかけて育てる必要がありますが、長期的に収益を期待できる副業として人気があります。
シール貼り・袋詰め等の内職
高齢者が自宅で出来る仕事として人気の「内職」には、シール貼りや袋詰めなどの梱包、ガチャガチャのカプセル詰め、ポケットティッシュの広告入れ等があります。
必要な材料は自宅に届けてくれるものがほとんどですし、パソコン等のスキルがなくてもできることがポイントで、1日の中の隙間時間にできるとあって高齢者だけでなく子育て中の女性や主婦の方にも人気の仕事です。
ハンドメイド製品の販売
手先が器用で、ものづくりが好きな方にはハンドメイド製品の販売が向いています。アクセサリーや雑貨、手編みのセーターなど、自分で作った製品をインターネット上で販売することができます。特に「minne」や「Creema」などのハンドメイドマーケットプレイスを活用することで、個人でも簡単に販売を始めることができます。
オンライン講師・家庭教師
これまでのキャリアや趣味を生かして、オンラインで講師や家庭教師をするという選択もあります。例えば、英語や数学の家庭教師、PCスキルの指導、料理や手芸のレッスンなど、自分の得意分野を生かして人に教える仕事は人気です。オンラインでの授業はZoomやSkypeを利用すれば簡単に実施でき、場所を選ばず自宅からでも行うことが可能です。
データ入力・簡単な事務作業
タイピングやパソコン操作が得意な方には、データ入力や事務作業の在宅ワークも適しています。これらの仕事は特別なスキルを必要とせず、比較的簡単に始められるものが多いため、初心者でも取り組みやすいでしょう。クラウドソーシングサイトを活用すれば、案件を見つけることも容易です。
写真やイラストの販売
趣味で写真を撮ったり、イラストを描いたりするのが好きな方には、その作品を販売するという方法もあります。近年では、ストックフォトサイトやイラストの販売プラットフォームが充実しており、自分の作品をアップロードして販売することが可能です。デジタルコンテンツは一度アップロードすれば、繰り返し購入される可能性があるため、効率よく収入を得ることができる副業の一つです。
高齢者が自宅で仕事をする際の雇用形態の選び方
雇用形態は、高齢者が自宅でできる仕事を選ぶ際に重要な要素の一つです。自宅で働く場合、雇用形態にはさまざまな選択肢があります。それぞれの雇用形態にはメリット・デメリットがあるため、自分の生活スタイルや目的に合った形態を選ぶことが大切です。以下では、自宅でできる仕事における代表的な雇用形態の特徴と、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
正社員・契約社員としての在宅勤務
近年では、テレワーク(リモートワーク)が広がり、正社員や契約社員として自宅で働くケースも増えてきました。企業によっては、特定の職務において完全在宅での勤務を許可しているところもあります。特にIT関連や事務系の仕事では、在宅勤務が普及しています。多くの場合、月給制となります。
<メリット>
安定した収入:正社員や契約社員の場合、給与が安定しており、生活設計が立てやすいです。ボーナスや福利厚生も受けられることが多いです。
社会保険の適用:正社員や契約社員であれば、健康保険や厚生年金などの社会保険に加入でき、安心感があります。
<デメリット>
勤務時間の拘束:在宅勤務であっても、決まった時間に働く必要がある場合が多く、自由な時間の使い方が難しくなります。
企業のルールに従う必要:企業の規則や業務の進行に合わせる必要があるため、独立した自由な働き方はしにくいです。
パートタイム・アルバイトとしての在宅勤務
パートタイムやアルバイトで在宅勤務するという形も選択肢の一つです。特に、データ入力やコールセンター業務、軽い事務作業などは、パートタイムとして自宅で行えることが多いです。短時間の仕事が中心で、体力的に負担の少ない働き方を希望する高齢者に向いています。
<メリット>
時間の融通が利く:パートタイムやアルバイトの場合、比較的自由に勤務時間を選べることが多いです。体調や生活リズムに合わせて働けるのは大きな利点です。
気軽に始められる:パートタイムやアルバイトは、未経験でも受け入れやすい職種が多いため、初めて在宅ワークに挑戦する人にとっても敷居が低いです。
<デメリット>
収入が不安定:パートやアルバイトのため、正社員に比べて収入が少なく、場合によっては収入が不安定になることもあります。多くの場合は時給なので、休んだ分、収入が減ってしまいます。
社会保険の適用外:週の労働時間が短い場合、社会保険に加入できないことがあり、年金や医療保険などの補償が手薄になる可能性があります。
フリーランス(個人事業主)
フリーランスとして働くことは、自宅でできる仕事の中でも特に人気のある選択肢です。フリーランスは、企業に属さず、個人でクライアントと契約を結んで仕事をします。ライティング、デザイン、プログラミング、翻訳、コンサルティングなど、多岐にわたる分野でフリーランスとして活動することができます。
<メリット>
自由な働き方:フリーランスは、時間や場所に縛られず、自分のペースで仕事ができるため、自由度が高いです。体調や生活スタイルに合わせた柔軟な働き方が可能です。
高い収益の可能性:自分のスキルや仕事の質によっては、正社員やパートよりも高い報酬を得ることが可能です。案件が多く、スキルが高ければ高収入も狙えます。
<デメリット>
収入が不安定:フリーランスは、案件ごとに報酬を受け取るため、仕事量によって収入が変動します。案件が途切れると収入がなくなるリスクがあります。
社会保険が自己負担:フリーランスは、自営業者として国民健康保険や国民年金に加入する必要があり、社会保険料も自己負担になります。
業務委託契約
業務委託契約は、企業や個人と特定の業務を行う契約を結び、報酬を得る働き方です。フリーランスに似ていますが、特定の企業やクライアントと契約を結ぶため、一定の期間やプロジェクト単位での仕事が多くなります。例えば、ライティングやデザイン、IT関連の仕事などが一般的です。
<メリット>
柔軟な働き方:業務委託契約もフリーランスと同様に、自分のペースで仕事を進めることができるため、柔軟な働き方が可能です。
長期的な契約が可能:クライアントとの信頼関係が築ければ、長期的な契約につながることもあり、収入の安定が期待できます。
<デメリット>
収入が変動する:業務委託契約も案件ベースで報酬が支払われるため、仕事が途切れた場合は収入が途絶えるリスクがあります。
社会保険は自己管理:業務委託の場合もフリーランス同様、社会保険や年金は自己負担で管理する必要があります。
派遣社員
派遣社員は、派遣会社に登録し、その会社を通じて企業に派遣される働き方です。正社員や契約社員と違い、雇用主は派遣会社となり、派遣先企業で業務を行います。高齢者が自宅で働く場合でも、派遣スタッフとして仕事を紹介してもらえることがあり、特にコールセンター業務やデータ入力、事務作業などで在宅勤務を実現するケースがあります。派遣会社からさまざまなサポートを受けられたり、面接が免除されることもあり、自分で仕事を探すことが難しい場合には希望の条件を伝えて探してくれる派遣社員がおすすめです。
<メリット>
柔軟な働き方:派遣社員は、希望する勤務時間や勤務期間に合わせて仕事を選べるため、体力や生活スタイルに合わせた柔軟な働き方が可能です。
サポートが受けられる:派遣会社が間に入るため、業務内容や労働条件に関するサポートが受けられ、困ったときには派遣会社が相談窓口となります。高齢者にとっては、何か問題があった場合に安心できる体制が整っています。
スキルや経験を生かせる:これまでの職務経験やスキルを活かした仕事を選べるため、スムーズに職場に馴染むことができます。事務経験やコールセンター経験がある高齢者には特に適しています。
<デメリット>
契約期間が決まっている:派遣社員の仕事は、基本的に契約期間が定められており、契約終了後は再度派遣先を探す必要があります。安定した長期雇用を希望する場合には、派遣という働き方は不安定に感じることがあります。
正社員よりも福利厚生が少ない:派遣社員は正社員に比べて福利厚生が限られていることが多く、ボーナスや昇給がない場合がほとんどです。また、社会保険や年金の加入条件も派遣先によって異なることがあるため、事前に確認が必要です。
副業・サイドビジネス
高齢者にとって、現役を引退してからも収入を得たいという方には、副業やサイドビジネスも魅力的な選択肢です。自宅でできる副業には、ネットショップの運営、アフィリエイト、株式投資、不動産投資などがあります。副業であれば、時間に余裕を持ちながら自分のペースで取り組むことができます。
<メリット>
自分のペースで取り組める:副業は本業ではないため、プレッシャーを感じずに、趣味や空いた時間を活用して収入を得られる点が魅力です。
長期的な収益を見込める:副業の中には、ブログやYouTubeなど、長期的に収益を得ることが可能なものもあります。
<デメリット>
収入が少額の場合が多い:副業は、初めのうちは収入が少なく、収益化までに時間がかかることが多いです。
収入が不安定:副業による収入は予測が難しく、安定性に欠ける場合があります。
仕事を始めるためのステップ
高齢者が自宅で仕事を始める際には、いくつかのステップを踏むことでスムーズに進めることができます。
興味や得意分野を確認する
まず、自分がどんな仕事に興味があり、何が得意なのかを確認しましょう。これまでのキャリアや趣味を生かせる仕事であれば、スムーズにスタートでき、長続きしやすいです。無理なく続けられることが、自宅での仕事選びにおいて重要なポイントです。
パソコンやインターネットの環境を整える
多くの自宅でできる仕事はパソコンやインターネットを活用します。そのため、まずは作業環境を整えましょう。パソコンの基本操作ができることはもちろん、必要に応じて新しいスキルを習得する意欲も大切です。オンライン講座や書籍を活用して、基礎的なスキルを学ぶと良いでしょう。
勤務条件を考える
高齢者が自宅でできる仕事を選ぶ際、条件は非常に重要です。まず、自分の体力や健康状態に合った勤務時間を選びましょう。体力に自信があるならフルタイム、無理なく働きたいならパートタイムが適しています。また、仕事内容も考慮が必要で、デスクワークや軽作業など体に負担が少ないものを選ぶと良いでしょう。収入を重視する場合は、フルタイム勤務や成果報酬型、出来高制の仕事が理想ですが、社会とのつながりや生きがいを重視するなら、パートタイムや副業を選ぶのも良い選択です。さらに、過去のキャリアや趣味・特技を生かせる仕事であれば、無理なく続けることができます。高齢者にとって、自宅での仕事は体調や生活リズムに合わせた柔軟な勤務条件を選ぶことが、長期的な成功と充実したシニアライフにつながります。
クラウドソーシングサイトを活用する
自宅でできる仕事を探す際には、求人サイトや冊子の求人情報から募集を探すことができますが、クラウドソーシングサイトを活用することがおすすめです。「Lancers」や「クラウドワークス」などのプラットフォームでは、様々な仕事が案件として掲載されており、自分に合った仕事を見つけることができます。初めは簡単な仕事から始めて、徐々に自分に合った案件を増やしていくと良いでしょう。仕事の情報を検索する中で、年齢も50代、60代以上の方もOKとしていたり、高齢者が活躍し歓迎していることを謳っている求人に応募すると良いでしょう。
小さく始めて、徐々に拡大する
新しい仕事を始める際は、無理のない範囲で小さくスタートすることがポイントです。最初は少額の収入かもしれませんが、継続することで仕事量や報酬も増えていくことが期待できます。大きな負担にならないように、楽しみながら取り組むことが成功の鍵です。
高齢者が仕事探しをする上で準備しておくこと
高齢者が仕事探しをする際には、以下の用意が必要です。まず、履歴書や職務経歴書を作成し、これまでの経験やスキルを整理しておきましょう。次に、パソコンスキルを確認し、基本的な操作やオンライン会議ツールに慣れておくことが大切です。また、安定したインターネット環境が必須であるため、事前に整備しておく必要があります。さらに、自宅での業務に集中できるよう、仕事用のスペースを確保し、必要な道具を揃えましょう。健康面でも無理なく働ける状態かを確認し、必要に応じて医師の診断を受けることも重要です。最後に、リモートでのコミュニケーションに備えて、メールやチャットツールの使い方を習得しておくと安心です。これらの準備を整えることで、スムーズに仕事探しが進められ、快適な在宅ワークが実現します。
自宅での仕事で注意すべき点
自宅で働く際にはいくつか注意すべき点もあります。
セルフマネジメントが重要
自宅での仕事は、自己管理が重要です。時間を決めて規則正しく働くことや、計画的に仕事を進めることが求められます。特に自由度が高い仕事の場合、だらだらと過ごしてしまう可能性もあるため、スケジュール管理が重要です。
健康に気を配る
仕事に夢中になるあまり、運動不足や食生活の乱れが生じないように注意が必要です。定期的な運動やバランスの取れた食事を心がけ、健康を維持することが長く働き続けるための基本です。
まとめ
高齢者が自宅でできる仕事は多岐にわたり、ライフスタイルやスキルに合わせて選ぶことができます。働くことは生活費の補填だけでなく、社会とのつながりや生きがいを得るためにも大切です。自分に合ったお仕事を見つけ、無理なく楽しく働き続けることで、充実したシニアライフを送ることができるでしょう。
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