老人が頻繁に「痛い」と言う光景をよく目にしますが、それはなぜでしょうか?そのたびに家族や周囲の人が対応するのは大変で、「うるさい」と感じる時があるのも正直なところ。介護者にとっても「痛い!痛い!」と騒がれるとストレスに感じてしまいますよね。今回の記事では、なぜ高齢者は「痛い」と騒ぐのか、その理由と効果的な対応方法について詳細に解説してまいります。悩みを持つ高齢者の介護者や同居する家族に向け、参考になれば幸いです。
老人が「痛い」と騒ぐ理由
それでは高齢者が痛いと騒ぐ時に考えられる主な理由を紹介します。
身体の慢性的な痛み
加齢とともに関節や筋肉が弱り、日常の小さな動きでも痛みを伴うことが多々あります。 特に、変形性関節症やリウマチ、神経痛などの慢性痛に苦しむ高齢者は少なくありません。痛みが繰り返し襲ってくるため、生活の中で頻繁に「痛い」と感じる場面が多くなります。
精神的・心理的な要因
高齢者の中には、孤独感や不安を抱えている方も多く、これが心理的に影響し、ちょっとした痛みでも強く感じることがあります。また、人は年齢とともに精神的なバランスが崩れることが多く、不安や少しの不調、変化が身体的な症状を悪化させ、実際の痛み以上に「痛い」と感じやすいこともあります。
「痛み」を介したコミュニケーション
高齢者にとって「痛い」と騒ぐことが、ほかの人とのコミュニケーションをとる手段となっている場合もあります。「痛い!」と言っても痛みを何とかしたいという目的ではなく、実は誰か話す相手を求める心理が潜んでいることがあるのです。
認知症による影響
病院で認知症と診断されている高齢者の中には、認知機能の低下から痛みを正確に言葉で伝えられなかったり、原因となった出来事を忘れていたり、痛みの感覚が過敏になったりする場合があります。症状が悪化すると、痛みの原因や部位をうまく説明できず、「痛い」と騒ぐ頻度が増えることもあります。実際に痛みがあるのか、他の不快な感覚があるのかを区別できず、周囲からは 「痛いと騒いでいる」と思われがちです。
周囲が「うるさい」と感じてしまう原因
生活のリズムが崩れる
高齢者に「痛い」と言われる度に反応し対応していると、日常生活のリズムが乱れ一日のスケジュールが進まなかったり、身体的、精神的な負荷がかかってしまうことで「うるさい」と感じてしまうことがあります。
どうしたら良いのか分からない
高齢者の「痛い」に対して、どう反応すれば良いのかわからない、あるいは効果的な対処ができないと、家族や介護者はストレスを感じやすくなります。上手く対応できない、その無力感から「うるさい」と感じるケースもあります。
騒がれることへのイラだち
高齢者の中には「痛い!痛い!」と大声で騒ぐ人もいます。その声の大きさや、何度も繰り返される訴えが聞こえる度にイライラし「うるさい」と感じることも多いです。
高齢者の「痛い」に対する具体的な対応方法
痛みを感じている原因を特定する
以上のように「痛い」と言う高齢者は、身体的な痛みと心理的な不安が関係している可能性があるため、まずは痛いと訴えている原因を特定することが重要です。また、定期健診を受けることにより、本人や家族にとっても安心することができ、体や健康に対する不安が軽減されて痛みを感じることが減る可能性もあったり、病気や体質を早めに把握することで効果的なケアもしやすくなります。
一定の「聞き流し」を心がける
高齢者が「痛い」と頻繁に言う度にすべてに反応するのではなく、軽い痛みであれば時には「聞き流す」ことも必要です。心の余裕がないと優しく対応することは難しいので、状況や状態に応じて無理に反応せず、対応できる時に穏やかに接することもおすすめの方法です。
聞き手としての接する
老人が「痛い」という原因には、前述のように心理的な不安が含まれていることも多くあります。そのため、その先の話を遮らずに聞いてあげる姿勢を持つことで、本人も安心しやすくなります。「そうなんだね」「つらいよね」といった共感の言葉をかけたり、優しくさすってあげることも効果的です。
リラックスできる時間を持つ
痛みが出る頻度が多い場合には、家族や介護者にとっても身体的、精神的な負担が大きいため、定期的に休養を取ったり、気分転換やリラックスできる時間を持つように心がけましょう。自分の時間を大切にしたり、周囲にサポートを頼ったりすることで、心身のバランスを保つことができます。
安心できる環境作り
高齢者が「痛い」と言う場合には、痛み止めの薬の使用やケアだけでなく、安心感を与えられるような環境づくりも有効です。好きな色、好きな雑貨、好きな寝具など気持ちが落ち着ける場所を確保し整えることで、より穏やかに対応できるようになるでしょう。
高齢者向けの施設を利用する
要介護認定を受けていれば、デイサービスやショートステイ等、介護保険サービスを利用することも考えると良いでしょう。
食事や入浴もできますし、施設の職員や他の利用者と一緒に施設で行っているレクリエーション等のイベントに参加したり機能訓練を受け続けることで、身体機能の向上や脳の活性化、そして精神的にも良い影響が期待できます。また、施設に行っている間に家族は休養したり自分の時間を使えるため、介護の負担が軽減するというメリットもあります。
高齢者との共生において心がけたいこと
高齢者が「痛い」と頻繁に痛いと訴える状況に対応する際には、聞く側にとって以下のような心の持ち方が大切です。
感情的にならない
「うるさい」と感じても感情的にならず、冷静に対応することが重要です。
他の家族とサポートを連携して分担する
一人で全てを背負うのではなく、他の家族や介護者、専門家、支援者などに相談し連携することで、心の余裕が生まれます。
専門家のアドバイスを取り入れる
痛みが慢性化している場合、医療など専門的なアドバイスをもとに対応することで、効果的な対処が可能です。例えば、リハビリの方法や痛みを緩和する生活習慣、治療など、プロからのアドバイスを活用しましょう。
まとめ
高齢者の「痛い」という訴えが増えてくると、本人だけでなく家族や介護者にとってもストレスの原因となり、「うるさい」と感じることもあります。「痛い」理由には、痛みそのものだけでなく、心理的な不安や孤独感などさまざまな事柄が影響して起こることも多いため、丁寧にヒアリングしながら原因を特定し、適切な対応を行うことが大切です。
また、家族や介護者も自分自身の心と体の健康を大切にしながら、休憩の時間を持つなど負担を分散する工夫が重要です。みんないつかは歳をとりますから、思いやりの心を忘れず、支え合って生活していけると良いですね。
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