リハビリで人気の物理療法。デイサービスでの提供は可能?

最近はデイサービスなどの介護施設で機能訓練の需要が高まっていることから物療機を取り入れたリハビリを行う施設も増え、実際に利用者の方からの評価も高いようです。しかし「物理療法」をデイサービスで提供するのは問題ないのか、といった疑問もよく聞かれます。そこで今回の記事では、物理療法の概要や目的、デイサービスにおける物理療法について紹介致します。ぜひ最後までご覧ください。

主な物理療法の種類と目的

病院や整骨院等で体験したことのある方も多いかと思いますが、物理療法とは熱や電気、超音波等のエネルギーを利用した機器(物療機)を使って治療することを言います。具体的にどのような目的で行われるのか、種類別にご紹介します。

温熱療法

身体を温めて血行を促すことで、筋肉の緊張を和らげたり疼痛を軽減さたり、心身をリラックスさせる効果が期待できます。

主な温熱療法としては、「ホットパック」「赤外線」「マイクロ波」などがあります。

超音波

人の耳には聞こえない周波数である超音波を使って微細振動を起こし炎症の治癒を促進したり、むくみを軽減させたり、温熱療法と同様に血流や疼痛の改善、筋肉のコリや疲れを取る、疲労回復などの効果を目的として行います。

電気刺激

人の体の細胞は電気を帯びており、外部からの電気刺激に対して敏感に反応するという性質があります。それを活用して行われるのが電気治療です。

EMS(神経筋電気刺激療法)は主に筋収縮を起こし筋力増強や筋萎縮の予防、痙縮の改善を目的としており、リハビリ治療にも多く用いられます。

TENS(経皮的電気刺激療法)は疼痛のある場所や知覚神経に電流を流すことで神経ブロック効果があり、痛みを軽減させます。一般的に低周波治療とも呼ばれます。

マイクロカレント療法(微弱電流療法)は人の体に流れている電流と同様の微弱電流を使い、痛みや怪我の回復を早める目的で使われます。

レーザー(光線)療法

レーザーの照射により筋肉や関節の痛みを和らげたり、血流の改善や抗炎症作用などといった効果が期待できます。

レーザーの照射といっても痛みは感じません。肩こりや腰痛、関節痛、リウマチといった症状によく使用される物理療法です。

牽引療法

頸椎や腰椎などの椎間板ヘルニアや脊椎症に用いられ、神経根の除圧を行い痛みを和らげたり、マッサージ効果によって循環改善、促進を目的としています。

古くからある治療法ですが、運動が禁忌となる部位への使用や急性の障害、炎症がある場合には使用に注意が必要です。

デイサービスでの物理療法

日常の生活での動作に対する補助や身体機能の維持、向上を目的としているデイサービスで物理療法を提供することは可能なのでしょうか?

デイサービスで”医療行為”は行えない

デイサービスに限ったことではありませんが、”医療行為”は医師または歯科医師以外に行うことは出来ません。

ただ、何が医療行為であって何がそうでないのか、ということは非常に分かりにくいですよね。そこで厚生労働省より、以下の5つの内容については医療行為ではないとの通知が出されました。

1.体温測定

2.血圧測定

3.脈拍測定

4.軽微な怪我の処置

5.軟膏の塗布、湿布の貼付、点眼、座薬挿入など

※それぞれ細かい条件あり

この他にも、デイサービスなどにおいて介護職のスタッフが行う爪切りや口腔内の清掃etc…医行為ではないとされるものはあります。

デイサービスにおいて看護師が配置されている場合は医行為は可能ではないか?という声もよく耳にしますが、実は法律上看護師が自らの判断で医療行為そのものを行えるという記述はありません。対応が必要な場合は医師の指示書の提出などが必要となってしまいます。

物理療法は”理学療法”

デイサービスには理学療法士が在籍している事業所も多くあります。

理学療法士が行う理学療法には、体操やウォーキングなど身体を動かすことで機能回復を促す「運動療法」と、上記でお伝えした「物理療法」に分けられます。

理学療法士は医師の指示を受けて機能回復や向上、維持を目的とした理学療法を行えることから、物理療法に関しては医学的な技術や判断を必要とする”絶対的医行為”にはあたりません。

物理療法の名前や商品名には”治療”という言葉が使われていますが、あくまでも名目上であり、ケアプランに物療機を使用した疼痛緩和などの計画を作成し、デイサービスの施設や自宅での訪問介護において介護保険を使用した物理療法を実施することは可能です。

リハビリ特化型デイサービス

一般的なデイサービスは、食事、入浴、集団でのレクリエーション、機能訓練といった日常生活動作における支援や健康維持、認知症の予防や改善が主に提供されるサービスになります。

一方で機能訓練や身体機能の改善を主な目的として行われる「リハ特化」とも呼ばれるデイサービスがあります。

リハビリ特化型デイサービスでは、個人に合わせた個別機能訓練プログラムの計画が作成され、マシンなどを使ったトレーニングや運動療法、物理療法によるリハビリテーションに重点を置き、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった専門の職員が在籍しています。

一般的なデイサービスのような介護サービスはほとんどないため、昼食のない短時間の利用や要介護度が低い状態の利用者の方が多いですが、体力や筋力の機能低下を予防する為に機能訓練やリハビリに集中したいという方は、担当のケアマネージャーに相談していただき、このようなリハビリ特化型のデイサービスを利用してみることをおすすめ致します。

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