デイサービスでは利用者に対し、施設のスタッフあるいは福祉のボランティアの方による支援で本や絵本の朗読会や読み聞かせのサービスをレクリエーションやイベントの一環として実施している施設は多いかと思います。
そこで今回の記事では、デイサービスで朗読を行う効果を読み聞かせと音読、それぞれに分けてご紹介していきたいと思います。
目次
デイサービスで朗読を行う効果~読み聞かせ~
認知機能の向上
本の話の内容を聞いて空想や想像をしたり、自分の過去のことを回想したりしますよね。
これは回想法といって認知機能を向上させたり、認知症の予防につながる心理療法の一つなのです。
本の朗読や読み聞かせは、この回想法の効果が期待できます。
朗読後は感想や思い出した自分の体験を他の利用者や職員と語ることで、より高い効果を得ることが出来ます。
笑顔が増える
面白くて笑えるストーリーの本の読み聞かせをすると、利用者の方の笑い声をたくさん聞くことが出来ます。
笑うことは皆さんご存知の通り健康効果が抜群!
脳の活性化はもちろん、免疫力があがったりストレスが軽減したりとたくさんの効果があるのです。
なかなか笑う機会がない日々の中で、思い切り笑う時間を作ることはとても大切です。
コミュニケーションが増える
上記でご紹介したように、朗読を通して他の人と語り合ったり笑いあったりすることでコミュニケーションの機会が増えます。
楽しいコミュニケーションは生きることや生活をすることに対して前向きな気持ちを起こさせ、デイサービスに通うことが楽しみになります。
ぜひ朗読をきっかけとして人との交流の場を作っていただきたいと思います。
デイサービスで朗読を行う効果~音読~
口腔機能の改善
高齢者に限りませんが、日常生活の中で人と会話をすることが少なくなると、食べ物を噛む力、飲み込む力といった口腔機能の低下につながり、滑舌も悪くなっていきます。
音読は必然的に唇や舌をたくさん動かしますので、このような口腔機能を改善する効果が認められています。
機能が改善することによって滑舌も良くなり人と会話をすることも楽しめるようになりますし、咀嚼する力もついて食事を楽しく美味しく感じられるようになりますね。
脳の活性化
70歳以上の音読をを行った人と行わなかった人とでは、半年間で認知機能に大きな変化が出ているそうです。
音読は文字を読むだけでなく声に出し、更にその声を耳から聞くという処理を体(脳)が行っています。
音読をすると脳の血流が増え、記憶や学習、思考、感情を司る前頭前野が活性化されることも実験で分かっています。
ストレス解消
声を出す、更に普段の会話よりも大きな声を出すと気分がすっきりする感覚になったことはありませんか?
デイサービスで他の利用者に向けて朗読を行う場合、いつもより大きく声を出すことになります。
するとストレスホルモンが減少して気持ちが落ち着いたり、やる気が出てきたりといった精神面への大きな効果も期待できるのです。
デイサービスで朗読を行う際の注意点
本の選択はよく考えて
デイサービスで本の読み聞かせを行う際、作品によっては「子ども扱いをされている」と感じてしまう利用者の方もいらっしゃいます。
小さな子どもに読んであげるような本ではなく、大人や高齢者が楽しめる、興味を持てる作品選びを行いましょう。
利用者の方にどのようなお話の本が読みたいのか相談やヒアリングをしてみるのも良いかも知れません。
例えば民話(昔話)や神話、季節に合った話、最近では介護用に制作された紙芝居も作成されており、多くの高齢者の方に喜ばれています。
高齢者向けの本の情報を紹介しているサイトもありますので、本を選ぶ際の参考にされても良いかも知れません。
読み方にも工夫を
大型本や紙芝居であればしっかりと絵が見えるため、読み手の声だけでなく視覚の刺激からも利用者が楽しむことが出来るのですが、そうではない本の場合は参加者の聴覚のみを頼りにしなくてはなりません。
ですので、読み手の方はできるだけ大きな声ではっきりと読み、内容が伝わるように抑揚や感情をたっぷり込めて読むことが大切になります。