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夜まで居られるデイサービスとは?
デイサービスというのは要介護の認定を受けた高齢者が通常、朝から夕方まで日中の時間帯に介護保険サービスを提供する通所介護の施設です。
しかしここ数年、夜まで延長したり夕方の17時頃から夜までの時間帯にサービスを実施する施設が増えているのをご存知ですか?
提供されるサービスの内容は日中とほぼ変わりはありません。
そこで今回の記事では、「延長サービス」「ナイトデイサービス」「トワイライトデイサービス」等といった名称で呼ばれているこれらのサービスについて、夜間に対応する目的や実際に利用した高齢者の方、その家族の方の声をご紹介してまいります。
このサービスを普及させるために必要な課題についても記載していますので、是非最後までご覧くださいませ。
デイサービスを夜まで行う目的は?
家族の負担を軽減させるため
普段自宅で高齢者の介護を行っている家族にも様々な事情があります。
中には小さなお子さんを育てながら介護を行っているママや、会社で忙しく働きながら帰宅後や休日に介護を行っている方もいらっしゃいます。
すると当然、子どもが夜、発熱や体調不良を起こして病院に行かなくてはならなくなったり、仕事でトラブルが発生して急遽残業が必要になったりすることも出てきます。夜に用事が出来て外出しなければならない時もあるでしょう。
そんな時、自宅に高齢者の家族を一人で残したり、日中のデイサービスから帰宅する際に家で迎えられないといった状況に対して不安に思われる事かと思います。特に認知症の方の場合は夜間の徘徊もあり一人で残していく場合かなり注意が必要です。
それだけではなく、仕事と家庭と介護を両立していることで体力が限界に来ているというご家族も少なくありません。
夜までデイサービスを利用することが可能になると、そんな介護側の負担を少しでも軽減させる事ができるでしょう。
利用者の孤独感を軽減させるため
介護をしている家族だけではなく、実はデイサービスを利用されているご本人、特に一人暮らしをされている高齢者の方の声にも切実なものがあります。
普段暮らしている自宅以外の環境で日中の長い時間を過ごすと、いくら送迎はあるとは言え、居宅に帰宅後は疲れてしまい夜の食事を用意したり余暇を楽しむ気力や体力が出ないという声や、デイサービスの施設で他の職員や利用者と過ごした後に一人の自宅に戻ると孤独を強く感じるという声が少なくないのです。
夜というのは高齢者に限らず若い人でも孤独を感じやすい時間帯ですから、その不安や寂しさはよく理解できます。
そこで夜までのデイサービスを利用することで、みんなで夕食を食べたり、夜間に入浴の介助を受けたりして楽しく温かな環境の中で安心して夜を過ごすことができ、生活のしやすさや身体の快適さはもちろん、それ以上に心のケアとなる事でしょう。
デイサービスを夜まで利用した人の感想
離れて暮らしているご家族に勧められて夜までのデイサービスを利用されている高齢者の方は、これまで日中のデイサービスを利用していた頃は夕食を一人で外食でとるしかなかったとのこと。
夜までのデイサービスを利用するようになってからは”他の人たちと楽しく食事をし、お風呂やトイレ、歯磨きも済ませて家に帰ったら寝るだけ”と、とても快適に安心して過ごせる上に家族の心配や負担を減らすことも出来て大変満足されているそうです。
また、ご家族にとっても安心して残業が出来る、自分に何かあっても施設で遅くまで支援してもらえる、栄養バランスの良い夕食をしっかり食べてきてくれる等といった喜びの声が多数聞かれます。
まとめ:デイサービスの夜間サービスの普及に必要なこと
共働きの夫婦が増えている中、1日仕事をしながら自宅で介護も行うのは本当に大変なことです。
日中のデイサービスでは帰宅する時間に間に合わなかったり、急な用事や他の家族が病気になることもありますので、家族と介護を受ける高齢者、双方にとって負担は募ります。
そのため、今回ご紹介したような夜間のデイサービスの需要は非常に高まっているのですが、夜間は看護師が不在になったり利用者の体調に変化が起こるケースも多く、実際に夜までのサービスを実施する事業者の数はまだまだ足りていないのが現状です。
短期間施設に入所することができるショートステイと併用することも一つの手ではありますが、夜間のデイサービスを普及させるには、日中のデイサービスを利用している高齢者が在宅で生活している時の様子や、ご家族の仕事と介護を両立させた生活の中で、どのような苦労や負担があり何に困っているのかということを、社会や介護事業者に広めより一層理解していただくことが必要かと思います。
そのために当事者や周囲が声をあげることも非常に大切です。介護に関する質問や相談、サービスの希望があれば気軽にお住まいの市区町村の福祉課やケアマネジャー等にご連絡いただき、夜間のデイサービスの必要性を認知させていくことが出来ればと思います。