デイサービスで提供される介護保険サービスには、事業所の車で送迎してもらいながら食事や排せつ等の日常生活に必要な介助や、機能訓練、レクリエーションといった健康の維持、向上、改善、介護予防のためのリハビリのようなサービスがあります。
その中には、高齢になると動作が難しいと感じることが多くなる「入浴」のサポートもあり、デイサービスにおける重要な介護サービスの一つとなっています。
そこで今回の記事では、デイサービスでの「入浴」について、介助を行う目的や入浴の流れ、入浴のメリット、更には入浴特化型と呼ばれるデイサービスについても解説します。どうぞ最後までご覧ください。
目次
デイサービスの入浴介助の目的
デイサービスにおける入浴の介助とは、自分1人で入浴をすることが難しい利用者に対し、安全に入浴が行えるようにサポートするものです。
機能や意欲の低下により、お風呂に入ることが嫌い、面倒くさいと感じる高齢者の方は少なくなく、転倒などの危険もあります。しかし、汗をかいたまま放置してしまうと臭いなど衛生面でトラブルを招いたり、感染症などのリスクを引き起こす可能性があります。
そこで利用者の体を清潔に保つために、デイサービスでは入浴介助が行われます。
しかし全てを介助するのではなく、「本人が行うことが出来ない動作を支援する」といったスタンスが取られ、個別に身体の機能や動作の程度に応じ介助は行われます。これは高齢者の方が可能な限り自立した生活が送れるようにするための対応です。
デイサービスの入浴の内容と流れ
デイサービスの入浴は、前後の健康状態のチェックや声かけなどを行い、利用者が安全に入浴ができるよう注意しながら実施されます。
以下、デイサービスの施設で行われる主な入浴の流れを紹介します。
1.入浴前の健康チェック
デイサービスでの入浴を開始する前には、必ず利用者の健康状態のチェックを行います。
施設の看護師が体温、血圧、脈拍、顔色、体調などを確認し、問題がなければ入浴が可能です。体調が悪い時は無理に入浴することはやめて、代わりに足浴や清拭を行うことをおすすめします。
2.浴室の気温を調整する
特に冬場の寒い時期における入浴では、脱衣所と浴室の急な温度差によるヒートショックが懸念されます。
そこで入浴前に介護スタッフや職員がシャワーのお湯や浴室暖房などを利用して浴室内を温めたり、ヒーター等で脱衣所を温め、温度差を少なくするよう配慮します。
3.体を洗う
介護スタッフがシャワーの温度を確認して利用者さんに適温であるか確かめたら、体や髪を洗います。
その後、浴槽に入りますが、体への負担が大きくならないようお湯の温度は38~40度と低めに設定し徐々に慣れてもらいます。また、心臓に負荷がかからないよう半身浴が基本となります。
入浴中もスタッフは利用者から目を離さず、声かけや様子を見守りながら体調に変化がないかどうか観察を続けます。
4.入浴後のサポート
入浴が終わったら、湯冷めしないようバスタオルですぐに体を拭き、血圧お変動でめまいを起こさないよう椅子に座ったままゆっくり着衣をサポートします。また、水分補給のためのお茶や水の摂取も促します。
爪が伸びている場合は、このタイミングで爪切りのサポートが行われることもあります。
デイサービスで入浴するメリットは?
デイサービスで入浴する場合、体調次第では断られてしまう等のデメリットはありますが、それ以上にメリットがたくさんあります。下記、主なものを紹介していきましょう。
入浴を介助してもらえる
先述したように、1人での入浴が困難であったり不安を抱える利用者に対し、デイサービスでは安全に気持ち良く入浴できるよう介助を行います。
特に車椅子や寝たきり等の方は自宅の一般的な浴室の設備では安全に入浴することは非常に困難かと思いますが、デイサービスは介護施設ですから浴室や脱衣所には手すりがついていたり、事業所によっては座ったまま、あるいは寝たまま入浴ができるようチェアー浴やリフト浴、ストレッチャー浴といった特別な仕様の浴槽が設けられていることもポイントです。
施設によって入浴の設備が異なりますので、事前に必ず確認して下さい。
体調のチェックができる
「入浴の流れ」の中でも記載しましたが、デイサービスでは入浴の前後に必ず看護師による体調のチェックが行われます。
デイサービスでは医療ケアは行えませんが、検温や脈拍、血圧などの健康状態が確認でき、介護福祉士も把握してくれるため安心して通所できる安心感と、入浴と同時に健康管理を行えるというメリットもあります。
家族の負担の軽減
入浴の介助はかなりの力が必要で肉体的にも精神的にも負担が大きく、日頃介護を行っている家族などの介護者は非常に大変な思いをされています。
そこでデイサービスに定期的に通い入浴を済ませてくることで、介護者にとっても負担が軽減され、自由に休養してもらうことができるというメリットがあります。
また、家族にとっても介護の資格を持った専門のプロにお願いできる環境ということで、安心して任せることが出来るでしょう。
デイサービスには「入浴特化型」施設がある
デイサービスを利用するには条件があり、介護認定で要介護1~5の認定を受けた高齢者の方を対象に、1日を通して過ごし、さまざまな介護サービスを受けることが出来る事業となっています。
しかし長い時間過ごすと疲れてしまったり、料金的に1日の利用が難しい方、入浴のみを希望する方もいらっしゃいます。
そんな方に向けおすすめなのが、「半日型」「入浴特化型」と呼ばれる種類のデイサービス施設です。
半日型とは、午前か午後の半日をつかって入浴やレクリエーション、機能訓練等を行い、食事はつきません。
そして入浴特化型はその名の通り入浴サービスのみを提供するデイサービスで、レクリエーションや機能訓練などの必要がない、もしくは人と交流することが苦手、入浴だけして短時間で帰りたいという方におすすめの施設となっています。
デイサービスをお探しの際は、申し込み方法やサービスの概要、費用などについて、お住まいの地域の窓口や担当のケアマネジャー、または各施設に問合せ、ご相談下さい。