生活保護でもデイサービスを利用できる?利用する場合の自己負担額についても解説します

デイサービスを利用したいけれど、生活保護を受給していても通えるの?」

生活保護を受けていても介護保険サービスを利用することができるのか、利用する場合は負担額はいくら請求されるのか、と心配や不安を抱えている高齢者の方もいらっしゃると思います。

超高齢化社会である現在の日本では様々な状況の高齢者が暮らしており、介護サービスを必要としている生活保護受給者の方ももちろんいらっしゃるでしょう。

そこで今回の記事では、生活保護の受給者でもデイサービスや介護サービスを利用することは可能か、介護保険料はどれくらいなのか等、生活保護に関連する情報について解説いたします。

ぜひ最後までご覧いただき、参考にしていただければ幸いです。

生活保護制度について

まずは生活保護の制度と目的について簡単に説明します。

生活保護とは、さまざまな理由により経済的に生活することが難しい、お金に困窮している方に対し、最低限の健康で文化的な生活が送れるよう支援を行っている国の制度です。

支給される生活費は程度によって変わり、生活保護法に定められています。

生活保護で扶助されるものは、主に「生活扶助・住宅扶助・教育扶助・医療扶助・介護扶助・生業扶助・出産扶助・葬祭扶助」の8種類となっており、この他に災害等をによって生じた修繕費などに対しても扶助を受けることが可能です。

ちなみに生活扶助には「食料費・被服費・燃料費・水道料・家具什器費」などの一般生活費が含まれます。

日本の高齢者の生活保護事情

日本の生活保護の現状として厚生労働省が記載しているデータを見てみると、2022年時点で生活保護を受けている高齢者は全体の世帯の内55.8%を占めており、半分を超える割合となっています。

その理由として、年金が支給される年齢の引き上げや、給付の基準が低下していることは大きいでしょう。かつての日本とは異なり、年金だけで生活をすることが難しい現実を表しています。

そのため再就職をしようと探してみても、高齢であることで就労の機会は減り、収入を得たくても働くことができないというやむを得ない事情を抱えてしまいます。

生活保護受給者はデイサービスを利用できるのか?

それでは本題である「生活保護を受けていてもデイサービスなどの介護サービスを利用することは可能なのか?」ですが、答えは「利用可能」です。

一般的に40歳以上の方は介護保険料を納める義務があり、それにより介護サービスを受けることが出来るため生活保護の受給は問題になりません。

その介護保険料については生活保護の中の「生活扶助」から賄われており、介護保険サービスを受けた際にかかる自己負担額については「介護扶助」から賄われます。

※利用する介護サービスの内容によっては、自己負担額の一部を利用者ご自身で支払う必要があるケースもあります。

生活保護受給者の自己負担額について

介護サービスを利用した時の自己負担額は基本的に1割(所得が高い場合は1~3割)ですが、生活保護受給者で支払いが困難な場合には「介護扶助」によって賄われます。

しかしその場合、利用できるサービスは市区町村の生活保護課によって設けられた要件を元に必要と認められた介護保険サービスに限定されるので、その点は注意しましょう。

希望するサービスをすべて自己負担なしに利用できる訳ではなく、デイサービスの利用を希望した際にケアマネージャーにより作成されたケアプランの内容の分の自己負担額が免除される仕組みです。

生活保護受給者の年齢別自己負担額の違い

介護サービス費や介護保険料は、年齢と生活保護の受給有無、地域に応じ異なります。

生活保護を受けている65歳以上であれば、介護保険は「生活扶助」から納付され、「介護扶助」で自己負担分の1割が賄われます。

また、生活保護を受けている40~64歳の方は「みなし2号」となり、「介護扶助」にて全額が賄われます。40歳~64歳で生活保護を受給すると国民健康保険から抜けることになり、被保険者ではなくなります。そして実際に病気やケガなどで治療が発生した時には医療保険ではなく「医療扶助」から全額賄ってもらえるのです。

このように、生活保護を受けている方は自分で介護保険料を支払わなくても介護サービスを受けることが出来るのです。

生活保護受給者がデイサービスを利用する方法

デイサービス(通所介護)は、要支援、要介護認定を受けた65歳以上の高齢者が、在宅しながら施設の送迎を利用して日中日帰りで施設に通い、施設の職員から食事や入浴などの日常生活に必要なサポートや、レクリエーションの実施、機能訓練やリハビリなどを通して認知症の予防として認知機能の維持、向上や、自立した生活を送れるよう介護予防を受けられるサービスです。

利用時間や方針、提供されるサービスの内容は事業所ごとに異なるので、利用の申請をする前に確認や見学を行うようにしましょう。

生活保護受給者のデイサービス利用料金

デイサービスの利用料は、要介護度と利用時間によって適用が区分されており、相場として1割の自己負担の場合は1日あたり1,500円前後の金額となっています。

生活保護受給者の場合はこの費用が生活扶助から賄われるわけです。

生活保護で入居できる介護施設

生活保護を受給していてもデイサービスの利用は可能であるとお伝えしましたが、それでは老人ホームのように入居するタイプの介護施設はどうなのでしょうか。

答えとしては、「条件によって入居することは可能」です。

生活保護でも入居できる老人ホームは、主に「特別養護老人ホーム(特養)」と「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」と呼ばれる施設です。

それぞれの特徴を紹介します。

特別養護老人ホーム(特養)

特養は各自治体や社会福祉法人が運営している公的施設となっており、介護度が高い方や生活困窮者を対象としています。

費用が安く非常に人気が高いので、多くの場合入居を希望しても待機となるケースがほとんどでしょう。そのため、希望する場合は早めに申し込みの手続きをすることがおすすめです。

有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

有料老人ホームやサ高住は民間企業が運営する施設で、特養と比較して費用が高くなります。しかしその分、サービス内容や設備が充実していることが特徴です。

費用が高いとなると生活保護では入居できないのではと思われがちですが、家賃や食費、医療費、雑費などについてはそれぞれ生活保護費の中から賄える場合が多いのです。

ただし生活保護者の受け入れ数に限りがある施設が多いので、空きがあるのか確認する必要があります。

いずれにせよ入居を希望するなら費用や本人の健康面の状態の確認、各種手続き等がありますので、担当のケアマネジャーやケースワーカーに相談をしてから入所を決定するようにして下さい。

まとめ

上記のように、生活保護を受けていてもデイサービスの利用や介護施設への入居は可能ですが、利用内容や受入数には限度がありますのでこれらのサービスの利用を希望する際にはケアマネジャーやケースワーカーに相談し検討するようにして下さい。

また、利用可能な施設を探す際や申し込みの流れなどについても同じく担当の窓口で確認し、サポートを受けましょう。

おそらくご自身や家族の老後の心配をされている方は多いかと思います。今は大丈夫でも、この先どうなるか誰も分かりません。

もし、将来自分も生活保護を受給しなければならない状況になった時には、生活保護費で介護サービスを利用できることを知っておくと心強いのではないでしょうか。

生活保護を受けていることでそのようなサービスを受けることに躊躇しやすく、相談しずらいという声もありますが、必要な制度として行われているわけですから是非活用して少しでも健康に生活を送れるようにしましょう。

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