「最近、高齢の親の独り言が多くなった」「老人がずっと独り言を言っているのはなぜ?」
と感じることはありませんか。
「たかが独り言、特に気にしていない」という方も多いかと思いますが、もしかしたらその独り言、認知症が原因かも知れません。
そこで今回の記事では、認知症の症状としての独り言、その原因や対策、注意したい点について解説いたします。
どうぞ最後までご覧いただき、皆様の参考になれば幸いです。
老人の独り言が認知症の症状と言われる原因
認知症というと、認知機能の低下により食事、人を記憶できず物忘れをよくする、集中力や理解力が低下する、徘徊の他、性格の変化といった症状がテレビ等でも紹介されよく知られているかと思います。
これらの症状はすべての認知症患者に現れるわけではなく、本人の性格や置かれている環境などが影響し人によって症状の種類や度合いには違いがありますが、以前は自分で出来ていたことが出来なくなっていること気付いたり、家族や周囲からの対応によって自尊心やプライドが傷ついたり、強い不安を感じるようになることが少なくありません。
すると結果として認知症の周辺症状の一つである「せん妄」を発症することがあります。
せん妄とは、見当識障害により幻覚や妄想を引き起こされ、支離滅裂な行動をとったり『独り言』が多くなるといった症状があるため、独り言が多くなった=認知症の可能性があると考えられているのです。
認知症の症状としての独り言の特徴
同じ独り言でもただの独り言なのか認知症の症状なのかを判別するために、認知症でよく見られる主な独り言の特徴を以下に紹介しましょう。
見えない人と話している
「あなたは誰?」まるで隣に人がいるかのように見えない相手と話しをしたり笑っている老人を見かけ怖いと感じた経験はありませんか?
このような見えない誰かと会話しているような独り言は、レビー小体型認知症と呼ばれる認知症によく見られる症状です。
レビー小体型認知症とは、異常なたんぱく質が脳の神経細胞に蓄積されることで発症する、アルツハイマー型認知症に次いで二番目に多い認知症です。
認知機能が良い時と悪い時の波がありますが、悪い時には幻視や異常行動、抑うつ症状、手足の震えや筋肉のこわばりといったパーキンソン症状などが出ます。
この中で独り言は幻視の症状が出ることによって引き起こされます。
状況に合わないことを話している
先述したように、認知症の周辺症状として「せん妄」を合併している場合、独り言の内容が今の状況と合っておらず、周りの人にとっては意味のわからないことを言い始めたり、状況を勘違いして興奮したり怒ったりして大きな声を出すことがあります。
一般的な独り言とは明らかに状態が違うため、認知症による独り言であると判断しやすいでしょう。
老人の独り言への対応方法と注意点
以上のことから、「独り言が増えたな」と気になった際は、まずは医療機関を受診することをおすすめします。
適切な薬の処方で症状が随分落ち着くことも少なくありません。
また認知症と診断されたら、独り言の原因となっている理由を考えます。
多くの場合、何かに対して強く不安を抱えていることが原因となっているケースが多いので、どんなことに不安や心配を感じているのか本人に丁寧に聞く、そして本人が言う言葉を否定せずに受け止めることが大切です。
独り言の症状が出ている時の対応としては、部屋を明るくしたり、優しく「大丈夫だよ」と声をかけ手を握ってあげる等をして安心させてあげると良いでしょう。
また、日頃から不安を取り除いてあげられるような環境や状況作りを行い、孤独感や不安感を感じさせないようコミュニケーションを取ることが症状を緩和させるのに効果的です。
とはいえ家で一緒に暮らしながら高齢者の介護をしている家族のみんなにとっては悩みやストレス、疲れが蓄積しやすく気持ちも体も大変でしょう。
そんな時は一人で問題を抱え込まず、自治体の窓口や福祉サービスに悩みを相談をしたり、介護サービスを利用して認知症の専門家に毎日のケアやサポートを受けることも重要です。
思っていることを吐き出し、話を聞いてもらうことで気持ちが前を向けたり、必要な情報を得られるといったことが期待できます。
デイサービスやショートステイ等の施設に通所したり、自宅に訪問介護を呼んだりして、無理せず自分を休ませ、美味しいものを食べたり、お出かけをしたり、体調を整える時間も重要であることを理解して下さいね。