「愛犬と一緒にデイサービスに通いたい…。」そんな声を耳にすることがあります。また、事情によって飼えないけれど、犬や猫など動物が好きで触れ合いたいという高齢者の方も少なくありません。
そんな声に応えて、愛犬や動物と一緒に過ごせる「わおん」のようなデイサービスも存在していました。
この記事では、ペットがもたらす健康効果やデイサービスでの動物の取り扱いについて等をご紹介していきます。
目次
ペットが高齢者にもたらす様々な健康効果とは?
それでは実際に高齢者の方に対してペットや動物たちはどのような効果をもたらすのでしょうか?
癒し効果
幸せホルモン「オキシトシン」という名前を聞いたことがありますか?
人は脳内でこのオキシトシンが分泌されると、幸せや癒しを感じるのですが、実は犬や猫などのペットを撫でたり抱いたり触れ合うことで「オキシトシン」が分泌されることが科学的にも証明されています。
確かにペットや動物に触ったり、彼らの表情を見ているとなんだか心がポカポカするのを感じますよね。
何かを「愛しい」と思う感情は、人を幸せにするのだと思います。
運動効果
特に犬の飼い主さんの場合ですが、ペットを飼っていると散歩をしたり一緒に遊んだりと運動量が増えます。
そのため、運動不足が問題となりがちな高齢の方にとっては、毎日の運動のきっかけとなり、それが身体の機能を維持したり向上させたりする効果につながります。
決して無理は禁物ですが、適度な運動は人にもペットにも必要です。一緒に健康で長生きするんだ!という気持ちで散歩を楽しみましょう。
認知症予防効果
ペット(特に犬)には認知症の予防や改善にも効果があると言われています。
人と話すことが少なくなってしまいがちな認知症の方にとって、毎日ペットに話しかけることで発語する機会が増えます。ペットの話題をすることで、他の人との会話も生まれますよね。
また、普段は介護やお世話をされる側だと感じている方は、自分がペットをお世話することで「役に立っている」「必要とされている」という自信につながります。
他にも、ペットと過ごすことで孤独感が解消されたり、うつ症状が改善されたりといった効果が確認されています。
高齢者施設でのペットの取り扱いは?
家庭だけではなく、医療の現場でもペットは活躍しています。しかし、デイサービスや介護、福祉の施設ではどうなのでしょうか?
基本的にデイサービスにペットは連れて行けない
介護保険法では、特にペットの同伴禁止といった定めはありません。
しかしデイサービスは様々な高齢者の方が利用する通所サービス施設ですので、事業所ごとにペット等の動物の持ち込みを禁止しているところがほとんどです。
中には愛犬と一緒じゃなければ外出したくない、といった方もいらっしゃるかと思います。
どのような対応になるかは当該施設でないと分かりませんが、そういった場合には可能かどうか、良い方法はないかデイサービスや市区町村の窓口に相談してみましょう。
もし可能な場合は全員が安全に施設を利用できるよう、施設側でしっかり利用規約を作ることも重要です。
かつては愛犬を連れて通えるデイサービスも
愛犬と一緒に通える高齢者デイサービス「わおん」をご存じでしょうか?
動物看護師によるペットシッター、動物介護サービスを全国で展開している言わば動物のプロである株式会社ケアペッツが運営していたデイサービスです。
「デイサービスに通う間ペットを自宅に一人で置いていきたくない。」
「犬が好きで飼いたいけれど、お世話や環境による事情で飼えない。」
といった高齢者の方の希望を叶えたサービスで、わおんには看護師2名と理学療法士1名が常駐しており、介護度の高い方であっても安心して利用することができました。
機能維持、向上を目的としてスタッフと一緒に愛犬とお散歩に行くことはもちろん、飼い主である利用者が入浴している時にスタッフが愛犬のケアや入浴をしてくれるサービスも提供しており、愛犬のいる高齢者には非常に嬉しい施設でしたが、残念ながら現在は閉業しているようです。
今後またこのようなデイサービスが開設するといいですよね。
ペットと同居できる介護施設もある
動物が苦手な人や、衛生面や設備の問題、万一の事故などの懸念から、ペット同伴や同居ができる介護施設はデイサービスを含めてなかなか数は多くありません。
しかしまったく無い訳ではなく、ペット可の介護付き有料老人ホームや動物とのふれあいイベントを実施している介護施設も全国に存在しています。
また、先ほどご紹介した株式会社ケアペッツでは、自身が高齢でペットの散歩や食事などのお世話が難しくなった場合に動物看護師の資格を持ったスタッフがペットを訪問介護してくれるペットシッターサービスを現在も引き続き行っています。
高齢になったから、介護が必要になったからと言ってペットと一緒に過ごすことをすぐに諦める必要はないと思います。
利用可能なエリアにこのようなサービスを行っている施設がないか等、情報を検索してもらえばすぐに分かりますので、そういったサービスを利用しながらペットと一緒に楽しく生活をして健康の維持に役立てましょう。