デイサービスは老人福祉法に基づく届出が必要?老人居宅生活支援事業の開始等必要な届出について紹介します

デイサービスは介護保険法に定められた介護保険サービスであることはよく知られていますが、実は老人福祉法に基づいた届出も行わなくてはなりません。

本文では、老人福祉法とは何か?届出に必要な内容は?といった疑問に簡単にお答えしてまいります。

老人福祉法とは?

そもそも老人福祉法とはどのような法なのでしょうか?まずは施行の背景と目的についてご紹介していきましょう。

老人福祉法の背景

老人福祉法の施行年月は1963年7月です。2000年に施行された介護保険法と比べると、かなり古くからある法律です。

老人福祉法の施行以前は、高齢者に関しては生活保護法等によって対応がなされてきました。

しかし戦後、日本が高度経済成長期を迎えると、人口が都市部に流れ「核家族化」が一気に進みます。これまでは家族内で扶養し対応していた高齢者が取り残され、その様々な問題に対応するために老人福祉法は施行されることとなりました。

老人福祉法の目的

介護保険法と違い、老人福祉法は介護を目的としていません。

老人福祉法第一条には、

「老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする。」

と定められています。

高齢者の健康保持やくらし、生活の安定に必要な措置として、デイサービス等、老人福祉施設や事業、社会福祉に関してのルールも整備し定める必要があるという訳です。

老人福祉法に基づく届出とは?

デイサービスが老人福祉法に係るサービスであることは分かりました。それでは老人福祉法に基づく届出とは一体どのようなものなのでしょうか?届出の提出が必要な事業と合わせてご紹介します。

届出が必要な事業

老人福祉法では、以下の老人居宅の生活支援を行う事業者について老人福祉法に基づく届出が必要であると定められています。

・老人居宅介護等事業(ヘルパーステーション、訪問介護ステーション)

・老人デイサービスセンター(デイサービス、認知症デイサービス、通所介護)

・老人短期入所施設(ショートステイ事業)

・小規模多機能型居宅介護

・認知症対応型老人共同生活援助事業

・複合型サービス福祉事業(看護小規模多機能型居宅介護、カンタキ)

また、デイサービスや短期入所施設以外の下記の老人福祉施設においても、事業所の所在地となる都道府県、市町村の高齢福祉課等が窓口となり届出が必要となります。

・養護老人ホーム

・特別養護老人ホーム

・軽費老人ホーム

・有料老人ホーム

・都市型軽費老人ホーム

・老人介護支援センター(在宅介護支援センター)

・老人福祉センター

他にも、認知症の高齢者や中~重度の要介護である高齢者等が、可能な限り住み慣れた地域で生活を送れるよう市区町村が指定する事業者が地域の住民に向けて提供するサービスを提供する”地域密着型サービス”に関しても届出が必要となります。

それぞれ介護予防、生活介護を目的とした場合も同様です。

・定期巡回

・随時対応型訪問介護看護

・認知症対応型通所介護

・地域密着型通所介護

・夜間対応型訪問介護

・認知症対応型共同生活介護

・第1号訪問事業

・第1号通所事業

届出の内容

上記であげた事業を開始したり変更したりする場合、届出の提出が必要となります。

その内容は主に以下となります。

1.事業の種類、内容

2.経営者の氏名、住所(事業所名、所在地)

3.条例、定款等の基本約款

4.職員の定数、職務内容

5.主な職員の氏名、経歴

6.事業を行おうとする区域

7.自治体からの委託を受けて事業を行う場合、その地域の名称

8.事業開始(変更)の予定年月日

事業廃止(休止)の場合

1.廃止、休止の予定年月日

2.廃止、休止の理由

3.便宜を受けている者に対しての措置

4.休止の場合はその予定期間

老人福祉法に基づく届出に係る注意点

それでは最後に老人福祉法に基づく様々な届出を提出する際に留意すべき点をご紹介します。

自治体によって窓口や提出方法が異なる

届出を提出する窓口や届出の流れは、施設を設置する地域によって異なります。

届出が必要となった際はスムーズに進むよう、あらかじめ所在する区域の役所のホームページや総合窓口、代表の電話番号に電話をして該当の課を確認し、各種必要な書類や指定された様式、届出の流れ等の情報を得ましょう。

不明な点があれば、担当の職員に相談しながら進めていきましょう。

介護保険法に基づく届出と同時に提出すると便利

介護保険法に基づく申請や届出は済ませて老人福祉法に基づく届出は忘れてしまった、ということを防止したり、別々に申請することでまた別途同じ必要な書類を揃える手間を省くためにも、介護保険法、老人福祉法の届出は同時に提出することをおすすめします。

自治体によって確認が必要ですが、基本的に同時に提出することによってそれぞれに必要な書類を省略することが可能になります。

複数の法や制度と改正に留意

高齢者をめぐる社会、環境など状況の変化に合わせ、老人福祉法も施行からこれまで数々の改正を行ってきました。

そこには新たな形の福祉施設の新設以外にも、老人保健法や介護保険法も関連してきます。

現在では、老人福祉法で規定されている福祉施設やサービスを利用する場合、原則として介護保険制度が適用されます。

しかし、緊急で特別な事情が発生した際は(家庭で虐待を受けていることが分かり、緊急で入所が必要となった場合等)老人福祉法に基づく市区町村の権限が行使され、必要な対応が行われます。

老人福祉施設を開設したり新たなサービスを行う際には、都度老人福祉法に係る最新の情報を確認しましょう。

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