高齢化社会の進む日本では、現在、一人暮らしをする老人が増えています。
結婚せず独身のままであった人、配偶者と死別した人、子どもや家族はいるが離れて暮らしている等状況はさまざまですが、厚生労働省の令和2年に実施された調査によれば、高齢者のうち1人暮らしをしている人の割合は19%を占めるとの高い統計が出ています。
今後もさらに増加することが予想されていますので、自分の親や自分自身もそうなる可能性があり他人事ではありません。
そこで気になるは、老人の一人暮らしに生活費はいくら必要なのかということ。
今回の記事ではそんな不安にお応えするため、一般的な生活費の目安や今から準備しておきたいことについて解説します。
どうぞ最後までご覧いただき、老後の備えの参考にしていただければと思います。
老人の一人暮らしでかかる生活費の平均
一般的な高齢者の一人暮らしでかかる生活費は、月額で約15万円と言われています。
もちろん、ここにはそれぞれの健康の状態や仕事や収入の有無、持ち家か賃貸か等によって必要な生活費は異なります。住まいが賃貸である場合は暮らしている地域にもよりますが、更におよそ3万円~5万円プラスされると考えましょう。
また、ここには突然の病気やケガによる病院での医療費や介護費、交際費などの費用は含まれていません。
最低でも15万円、余裕をもって20万円程度見積もる必要がありそうです。
<高齢単身無職世帯の生活費の内訳(総務省家計調査報告 2019年の平均結果)>
食費:35,883円
住居費:12,916円
水道・光熱:13,055円
家具・家事用品:5,681円
被服及び履物:3,659円
保健・医療:8,445円
交通・通信:13,117円
教育:47円
教養・娯楽:16,547円
諸雑費などその他:30,389円
税金・社会保険料:12,061円
合計 151,800円
老人の一人暮らしで年金はいくらもらえる?
日本の公的な年金には国民年金と厚生年金がありますが、国民保険に加入している場合の平均支給額は55,615円、厚生年金の場合は147,051円(男性:165,668円、女性:103,026円)となっています。
となると、年金だけでは老後の生活費を賄おうとするのは厳しく、安心して過ごすためには年金以外に貯蓄をしておく必要があることが分かります。
老後の一人暮らしで必要な生活費の計算方法
以上で紹介してきた額はあくまで平均的なものですが、自分の場合はどうなるのかより具体的に知るためには以下の項目の内容を考えます。
1.家賃(ローン)
2.自分の生活で想定される生活費
3.自分が加入している年金で受け取れる金額
4.平均余命
平均余命は一般的に定年退職する65歳から残りどれだけ生きることが出来るのかを考えます。
2023年に発表された2022年分の平均寿命は男性で81.05歳、女性で87.09歳となっていることから、老後は男性なら約20年間、女性は約25年間分の生活費が必要となってきます。
平均で見ると女性の方が老後の資金が多く必要になるというわけです。
老後の生活費は早めに準備を始めましょう
65歳を過ぎて生活費が不足してしまうことがないよう、老後の一人暮らしの生活費のための貯蓄は早めに準備を進めることがおすすめです。
そのための対策をいくつか紹介します。
<公的年金の任意加入>
国民年金の場合、60歳までの保険料の納付済期間が480ヶ月に満たないと満額もらうことが出来ません。
そのため、60歳を超えても480ヶ月を上限に加入し払い続けることで満額になるよう調整が可能です。
厚生年金の場合も任意で加入することができます。
また、現在年金の受給は65歳からとなっていますが、60歳まで1ヶ月単位で受給年齢を繰り下げることが可能です。ただし1ヶ月につき受給額が0.5%減額となりますので注意しましょう。
<個人年金保険に加入>
公的年金とは別に私的の個人年金保険に加入することで老後の生活にゆとりが生まれます。
個人年金保険の場合、支払った金額が生命保険料控除の対象にもなりますし、自由にお金をおろせず確実に貯蓄することが出来ます。
ただし、途中解約してしまうと支払った額よりも少ない額しか返金されない場合が多いので気を付けましょう。
<FPに相談する>
お金の専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することで、将来受け取れる年金や必要な生活費などのシミュレーションを行ってもらえ、どうすれば良いのか具体的にアドバイスをもらうことが出来ます。
また、資産や毎月の収支を洗い出して現状の家計を把握し、考えられるリスクや家計の支出、加入している保険のプランの見直し等も行えます。
無料の相談会や最近話題のNISAやIDECO等の勉強会等、サービスやイベントが全国で開催されていますので活用し、興味がある方は早いうちに一度相談をしてみてはいかがでしょうか。