高齢者の方は穏やかで優しいというイメージがある一方で、いつも怒っていたり愚痴や文句、悪口ばかりの老人もたくさんいらっしゃいます。
実家の高齢になった親が最近やたらとイライラしたり口うるさくなったな、と感じる人も多いのではないでしょうか?
家族や周囲へ不平不満を言うことが増えたのは、実は病気が隠れている可能性もあります。
そこで今回の記事では、老人が悪口ばかり言うようになる原因や対処法、接する時の注意点について解説します。
ぜひ最後までご覧いただき、高齢者とのコミュニケーションに悩まれている皆様に向け参考にしていただければと思います。
目次
老人が文句や悪口ばかり言う理由
なぜ高齢者の中にいつも文句や悪口ばかり言う人がいるのでしょうか。
考えられる主な原因や特徴について以下、紹介してまいります。
プライドが高い
若い頃からプライドが高かった等、元々の性格という人もいらっしゃいますが、現役時代に会社の管理職や役員など上の立場にいた方などのなかには定年退職や引退後もその頃の立場を引きずって、自分が偉いと思ってしまっている人もいます。
また、自分が年上であるということで若者に対してすぐに文句をつけたり横柄な態度をとってしまうケースもあります。
自分に対する苛立ち
年齢を重ねることにより物忘れや覚えられない、言ってることがわからない、上手に体を動かせない等で苛立ちを感じ、どうしようもなく人に八つ当たりしてしまうことがあります。
心の中に溜まっているストレスを自分で受け止められず、誰かのせいにして吐き出してしまいたいという欲求からきているのかも知れません。
孤独を感じている
高齢になると友人や人付き合いが減っていく傾向にあり、孤独感を感じている老人も多くいます。
仕事もしておらず家族と離れて暮らしているといった状況では、尚更人と交流する機会がなく、気持ちが塞いだり不満を溜め込みやすくなってしまいます。
そんな中で人から相手にされないと相手や介護者に文句や悪口ばかり言ってしまうということも少なくありません。
この場合、本当は仲良くしたい、愛されたい、必要とされたいという気持ちの裏返しであることが多いです。
被害妄想が強い
・被害妄想が強い
記憶障害により被害妄想が強くなる人もいます。
何かちょっとしたことでも問題やトラブルが起こると、自分の責任だとは思わずすぐに誰か他人のせいにしてしまうのです。
お金や物を盗まれたと思い込む「物盗られ妄想」や、逆に誰かに悪口を言われていると感じたりすることもよくあります。
老人が悪口ばかり言うのは認知症の可能性がある
認知症の初期症状の中には、今までできていたことができなくなったり、記憶力、判断力、理解力が低下することで感情が不安定になり怒りっぽくなるという性格の変化があります。
認知症の症状には中核症状と行動、BPSD(心理症状、周辺症状とも言われます)に分かれ、この内のBPSDによる影響で暴言や暴力等の攻撃行動などが起こります。
上記の被害妄想もその中の一つで、すぐ人から物やお金を盗まれたと思い込んでしまう「物盗られ妄想」が起こったり、逆に誰かが自分の悪口を言っていると感じてしまったりします。
他に認知症の薬の副作用として症状が現れているケースも考えられます。
悪口ばかりの老人の対応方法
悪口ばかり聞かされるのは嫌な気分になりますし、どう応じれば良いか困ってしまうと思います。
しかし対応を誤ると更に悪化してしまう可能性があるため、あくまで一例ですがおすすめの対応方法について紹介します。
感情的に怒らない、責めない
認知症を罹患していると幻覚や幻聴があり事実ではないことに怒っている可能性もあります。
悪口に対して周囲が否定してしまうと、自分のことを否定されたかのように不安になったり深く傷ついてしまうため、理解はできなくても共感の姿勢をとり、まずはしっかりと本人の訴えを聞くことが重要です。
そこで誤りや失敗に気付いても決して責めず、大丈夫だよと優しく伝えることで落ち着いてもらいましょう。
子ども扱いをしない
悪口の有無にかかわらず、高齢者とコミュニケーションをとる時に親しみやすさを伝えようとして、まるで小さな子どもに対するような言葉遣いや話し方をする人がいますが、この対応でプライドを傷つけられたと感じる高齢者の方は実は意外と多いんです。
相手を尊重し配慮する気持ちは大切ですが、人生の先輩であることを意識して会話をすること、高齢者の方が聞き取りやすいようはっきりと大きな声でゆっくり話すよう心がけましょう。
安心できる場所作り
上記のように安心できる声かけはもちろんですが、生活する環境を安心できるものに変えてあげる、整えることも必要です。
具体的には、家族や介護者が頻繁に声をかけたり、本人の居心地の良いように模様替えをしたり、好きなインテリアを取り入れたり好きな物を置いたり等。
そこに居ると安心する、落ち着く空間を作るようにしてみましょう。
また、温度や湿度、明るさも調整したり、安全に生活できるようバリアフリー化する等も検討することをおすすめします。
医療機関に相談
対応が難しい場合や認知症の検査、診断などを行ったことがない場合は、一度かかりつけ医や専門の病院を受診してみることもおすすめです。
もしかしたら何か身体的な病気が原因である可能性もあります。
また、悪口ばかり言ってしまうイライラした気持ちを軽減するための薬もありますから、医師に相談しながら適切な対処や治療を受けるようにしましょう。
悪口ばかりの老人を介護する中で気を付けたいこと
悪口ばかりの老人を相手にしていると、介護する側や一緒にいる家族も精神的に追い込まれてしまいます。
そうならないためにも、このような状態の高齢者を介護する上で注意したいこと、対応策について紹介します。
一人で抱え込まないこと
介護や対応する上で溜まったストレスや悩みを一人で背負ってしまってはいませんか?
その状態を続けてしまうと健康に影響したり鬱などにつながり、倒れてしまう可能性もあります。
それを防ぐためにも兄弟や姉妹、他の家族と協力したり、地域のサポートも受けながら「一人ではなくみんなで介護する」という気持ちで取り組みましょう。
介護サービスを活用する
疲れた時には無理せず介護サービスを利用しませんか?
デイサービスは日中の時間、介護施設に通所するタイプの介護サービスで、食事や入浴の介助のほか、機能訓練やレクリエーション、イベントへの参加もあり、車で施設と自宅の送迎も行ってくれます。
知識のある専門家の元で安心して任せられますし、その間に家族は休息や用事を済ませることが可能です。
また、外出の予定や少しまとめて休みたい時には短期入所生活介護(ショートステイ)というサービスもあり、1泊から入所することができます。
介護保険を使ったサービスになりますので要介護認定を受ける必要がありますが、利用を希望される際にはお住まいの地域の役所窓口や地域包括支援センター、担当のケアマネジャーなどに問合せてみて下さい。
症状がひどい場合は老人ホームへの入居も検討しましょう
たまに悪口を言う程度であれば大丈夫だと思いますが、あまりに毎日続いたり認知症の症状が進むことで自宅での介護に限界を感じ始めた場合は介護施設や老人ホームへ入居してもらうことも検討しましょう。
介護は介護する家族のプライベートや仕事への影響も大きいため、共倒れしてしまうと大変です。
体は至って元気という場合でも入居できる老人ホームはたくさんあります。
同じ老人ホームという名前でも施設ごとに入居の条件や特徴は違います。全国の施設の中から情報を集め、本人の状態や家族の希望に合わせ比較・検討して施設を選びましょう。
まとめ
以上のように、老人が悪口ばかり言う場合にはさまざまな理由が考えられますが、認知症の初期症状として出ている可能性もあります。
悪口ばかりを聞かされるのは辛いですが、そのことを知っておくだけでも対応する際の気持ちが少し変わるでしょう。
とはいえ、一人で背負うことは禁物です。他の家族に協力をお願いしたり、行政や介護サービスを上手に使って負担を軽減させることはとても重要です。
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