老人が食欲不振になる原因は?リスクや対策も紹介

高齢になると食が細くなり体重が減少してしまう人が少なくありません。

加齢により仕方のないこと、当たり前のこととして本人も周囲の家族も何となく受け入れてしまいますが、その原因や引き起こす恐れのある問題を理解しておく必要があります。

そこで今回の記事では、老人が食欲不振になる原因とそこから考えられる疾患、対策について解説してまいります。

どうぞ最後までご覧いただき、高齢者の健康のための参考にしていただければと思います。

老人が食欲不振になる原因は?

それでは早速、高齢者が食欲不振となってしまう主な原因を紹介します。

1.加齢によるもの

老人の食欲不振でまず考えられる原因は加齢です。

人は歳をとることで身体の機能が低下していきます。その中で内蔵の機能、胃や腸などの消化器官の衰えにより、食事をした後に食べ物が胃の中に長い時間残り空腹を感じなくなったり、唾液の分泌が減り口の中が不快になったり、咀嚼力(噛む力)や嚥下(飲み込む力)が上手く出来なくなり食べる意欲がなくなってしまうようになるのです。

加齢によるこのような変化は誰にでも訪れる自然現象であり特別な病気というわけではありませんが、食は健康に直結する重要な要素ですのでさまざまな工夫をして食事が出来るよう対策をすることが大切です。

また、次にご紹介しますが病気が潜んでいる可能性もありますので、食欲低下を感じるようならまずは病院を受診するようにしましょう。

2.病気によるもの

病気が要因で食欲不振となっている可能性もあります。

代表的な疾患には、胃がん、膵がん、胃・十二指腸潰瘍、慢性膵炎、肝硬変等の器質的な疾患です。

若いと腹痛などの症状が現れますが、高齢になると知覚の衰えにより痛みに気付きにくくなることがあり、自覚症状が出た時点でかなり病気が進行してしまっているケースもあります。

他にも認知症になると脳の機能が低下し食事が困難になることもあります。

そのため、食欲がないけど他の症状がないから大丈夫だろうと思わず、早めに検査を受け、適切な治療を受けることをおすすめします。

3.環境によるもの

日本では核家族化が進み、一人暮らしをしている高齢者が増えています。

年齢関係なく独りで食事をするのは味気なく楽しいと感じられない人は多いですし、自分が食べるだけのために調理や食事の準備をするのは負担が大きいと感じ、食事の内容が適当になってしまう

ことも少なくありません。

そのため、毎日ではなくても出来るだけ家族や友人と一緒にご飯を食べたり、あるいは外に出かけて外食をする等、環境を変える機会を作ることも大切です。

4.ストレスによるもの

何か精神的にストレスを抱えていて食欲不振となってしまっていることも考えられます。

介護を受けている方だと食事の介助をしてもらうことに気を遣ったり、食べ物をこぼしたりむせてしまうことにストレスを感じ、食事の時間が嫌になってしまうことも多いのです。

一人で心の中に溜め込み外に出せない人もいらっしゃいますので、周りの人は何か悩みや不安を持っていないか日々の様子を見ながら対応する必要があります。

老人の食欲不振が引き起こすリスク

それでは実際に食欲不振となり食べる量が減ってしまうとどのようなリスクを引き起こしてしまうのでしょうか。

低栄養

食欲不振が原因で低栄養となるリスクが高まります。

エネルギーやたんぱく質、ビタミン等、健康を維持するために必要な栄養素が不足すると、筋肉量が減って歩いたり立ったりといった日常生活に必要な動作や運動能力が低下し、活動量が減ってお腹が空かないというループに陥ります。

また、骨が弱くなって骨折しやすくなったり寝たきりや要介護の状態になってしまう可能性もあるため注意が必要です。

低血糖

最近、生活習慣病の予防やダイエットでも話題になる「血糖値」ですが、血糖値は食事によって上昇します。

低血糖とは、この血糖値が正常の範囲以下に下がり、眠気やめまい、疲労といった症状を引き起こし、それが慢性的に続くことで「フレイル」と呼ばれる健康障害が起こりやすい状態になるのです。

脱水

食欲不振により食事の量が減った高齢者の方は、食物に含まれる水分を体に吸収することができないため、脱水症状を引き起こしやすくなります。

脱水は心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる大きな病気の引き金になることがあるため、例え食事がとれなくても水分だけはしっかり摂取するように気を付けなければなりません。

薬の副作用

服薬している薬によっては食欲不振の副作用が現れることがあります。

服薬の中止や減量、他の薬へ変更してもらうことで改善されることがありますので、医師に相談しましょう。

老人の食欲不振への対策

高齢者の方が食欲不振となっている時は、無理に食べさせるのではなく食べられるような、食べたくなるような工夫をしてあげることが大切です。そこでいくつかおすすめの方法を紹介します。

盛り付けの工夫

食欲不振の時は見るだけでお腹いっぱい、という気持ちになり食欲がなくなる可能性があるため、盛り付ける際に完食できるくらい少なめ、品数も減らしてあげると良いでしょう。

全部食べなければというプレッシャーを感じずに済むこと、完食できた時に自信につながること等の効果が期待できます。もっと食べたいという時に追加していきましょう。

また、食欲を高めるような彩りになるよう見た目にも工夫するとよいでしょう。

環境づくりの工夫

食べる時の環境は食欲に影響します。

一人暮らしの高齢者の場合は、家族や友人と食事を食べる約束をしたり、外出して行ってみたいお店に食べに行ってみたり、デイサービス等の介護施設を利用して他の利用者と一緒に食事を摂るなど環境を変えてみると食欲が高まるかも知れません。

好きな物を食べる

高齢者の方が食欲がなくても好きなものなら食べられるかも知れません。

好きな食べ物なら楽しみながら食べられますし、もっと食べたいと意欲が沸いてくる可能性もあります。

とはいえ、毎食好きな物ばかりだと栄養のバランスが偏ってしまうこと、味覚が鈍くなって味が濃いめ、特に塩分が多くなりがちなので気を付けましょう。

タイミングの工夫

朝・昼・晩、決まった時間に食べることは生活リズムを整える上で大切なことではありますが、お腹が空いていないのに食事の時間だからと無理に食事の席につかせることは止めましょう。

お腹が空いていなければ少し体を動かしたり、本人が食べたいなと思ったタイミングに合わせて食事が出来るよう配慮すると前向きに楽しむことが出来ると思います。

生活改善

食欲を回復させるには、食生活だけでなく規則正しい生活や生活習慣の改善をさせることも重要です。

高齢になり運動量が減って運動不足になっている場合は、お散歩や家事などで毎日軽くでも体を動かすよう心がけると空腹を感じたり、リフレッシュにもなって精神にも良い影響あるでしょう。

また、十分に睡眠が摂れていない場合、疲労が蓄積して体調不良の原因になることがあります。特に高齢者は眠りが浅くなったりトイレが近く夜中に起きてしまう等の理由で睡眠不足になることもありますので気を付けましょう。

高齢者向け宅配弁当サービスを利用する

一人暮らし等で食事の用意が大変な高齢者の方には、高齢者の健康を考え、高齢者に必要な栄養やバランスを考え、食べやすいよう工夫されたお弁当や介護食を自宅まで配達してくれるサービスを利用することもおすすめです。

サイトで検索するとたくさんの業者の情報が出てきますので、配達エリアを確認しお試ししてみてはいかがでしょうか?

定期的な配達を契約すると安否確認としても活用することが出来ます。

老人の食欲がない時におすすめのメニュー

高齢者の方が食欲不振でも食べやすい食材や献立を紹介します。

まず、食欲がない時は冷たい物が比較的食べやすいとされています。そこでゼリーやプリン、ヨーグルトやアイスクリームは冷たいだけでなく柔らかくて食べやすいためおすすめです。ただし、糖分を摂り過ぎないよう気を付けましょう。

温かいものがほしい時はスープや味噌汁、もう少し食べられそうな時は、お粥やうどん、茶碗蒸しは胃腸に優しくエネルギー以外に水分補給も期待できます。

まとめ

老人の食欲不振は加齢による自然な現象でもあるため、本当は病気や精神的なストレス等の原因が隠れていても気付かれにくいことがあります。

放置するとさまざまなリスクを引き起こすことがあるため、最近食事の量が減ったな、食事を楽しんでいないなと感じたら病院を受診したり、何か心配なことはないか声をかけ心のケアをすることが大切です。

また、盛り付けや環境、タイミングやメニュー等を工夫することもポイントです。

本サイトでは他にも高齢者の生活や介護に関連する情報を発信しています。

ぜひ合わせてご覧いただき、皆様に役立ちますと幸いです。

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