目次
生活介護は障害者を対象とした福祉サービス
要介護認定を受けた高齢者の自立支援、生活支援を目的とした介護保険サービスであるデイサービスと違い、生活介護は障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの中の自立支援給付(介護給付)によるサービスの一つであるという点が大きく異なります。
デイサービスと違い、「障害支援区分認定」を受ける必要があり、市区町村に申請を行います。
「障害支援区分認定」とは、必要な支援の程度を段階的に示した指標であり、低い方から区分1~区分6の6段階に分けられます。(非該当もあります。)
これはその人の障害の特性や心身の状態に関する調査をし、その結果に応じて認定されます。申請から決定まで約2か月かかることもありますので、それを踏まえ余裕を持って申請しましょう。
介護給付の支給の流れは、区分の認定がおり、本人または指定特定相談支援事業者が「サービス等利用計画案」を作成し、居住する市町村に提出することで個別に決定されます。
デイサービスの場合は本人による計画の作成は困難な場合が多く、知識が豊富なケアマネジャーがケアプランを作成することがほとんどなので、この点でも違いがありますね。
生活介護の目的は?
生活介護は、常時介護を必要とする状態の障害者が障害者支援施設等に自宅や入所している施設から通所しサービスを受けることができ、デイサービスと同様に送迎もあります。
しかし介護予防、自立支援などを目的としたデイサービスとは異なり、生活介護の場合は障害者の社会参加や自立の促進、生活の改善、身体機能の回復、維持や向上等を目的としています。
生活介護の対象者は?
生活介護は身体障害、知的障害、精神障害、難病患者等で、地域や施設において安定した生活を営むために介護等のサポートが常時必要な方で、通常、以下に該当する方が対象となります。
・50歳未満 障害支援区分3以上(施設入所支援を併用する場合は区分4以上)
・50歳以上 障害支援区分2以上(施設入所支援を併用する場合は区分3以上)
ただし、市区町村から必要性を認められた場合は上記の区分に満たしていなくても利用が可能となるケースも有ります。
また、状況にもよりますが病院に入院していたり施設に入所していても利用できます。
生活介護で提供されるサービスの内容は?
生活介護は障害者支援施設や生活介護事業所等で日中の時間に以下のようなサービスが提供されます。
<生活介護の主な内容一覧>
・入浴、排泄および食事等の身体介助
・調理、洗濯および掃除等の家事援助
・生活等に関する相談及び助言、指導
・その他の必要な日常生活上の支援
・創作的活動または生産活動の機会の提供
・その他の身体機能または生活能力の向上のために必要な援助
日中以外の夜間や休日は「施設入所支援」にあたりますので、生活介護と組み合わせて利用されます。
デイサービスでも生活に必要な介助や相談、レクリエーションに参加して創作活動や利用者同士の交流、身体機能訓練といった共通する内容がありますが、家事援助などより幅広いサポートが生活介護では受けられる事がポイントです。
生活介護施設で就労する人
生活介護を行う施設に配置され主な職員は、生活支援員、サービス管理責任者、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの職種の方が活躍しています。
中でも中心となるのが生活支援員です。
生活支援員は利用する障がい者の方の日常生活や機能訓練だけではなく、創作活動や生産活動の支援や相談といった全般的なサポートを担い対応します。
その他、関連する関係各所と連絡をとったり、利用者やその家族の話を聞き、必要としていることや課題の分析なども行って、より良いサービス提供に向けマネジメントを行うことも大切な仕事です。
デイサービスで中心となるのは「介護士」ですので、この点にも違いがありますね。
生活支援員になるには必要な資格はなく経験がなくてもなれますが、採用情報を見ますと実績や経験を求められる場合が多く為、福祉系の大学を卒業後、社会福祉主事任用資格等を取得したり、一般の大学で教育免許や心理学、教育学、社会学の学位を取得したり、福祉人材センターで採用試験に合格したりした方が就職しやすいでしょう。
介護福祉士や社会福祉士としてデイサービスで働いた方が、その経験を生かして生活支援員に転職するということもあります。
障害者向けのサービスや施設を探す
介護施設には様々な種類がありますが、障害者支援施設や生活介護事業所の他にも障害者の方を対象とした在宅したまま受けられる居宅サービスや入所施設もあります。
障害者の認知症の方向けのグループホーム、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、介護老人保健施設、短期入所(ショートステイ)、小規模多機能型居宅介護事業、訪問介護、訪問看護etc…
それぞれ施設によって方針や特徴、メリット、デメリット、利用の条件は異なりますので、希望に合う気になる施設が見つかったら、資料やサイトの案内だけではなく見学や体験を実施している施設がほとんどなので予約をして、幾つかの施設を比べて選択をすることをおすすめします。
実際に見ることで不明な事を直接質問することができ、入所する前に施設の雰囲気や設備、立地エリア等について確認できる事で持っていた強い不安を解消してもらう事もできます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事では、生活介護とデイサービスの違いについて簡単に解説させていただきました。
サポートが必要な障害をお持ちの方は、障害支援区分認定を受けることで少ない負担で必要な支援を受けることができます。
ご紹介した内容が役立ちますと幸いです。
障害福祉サービスについての概要や詳しい情報は、下記の厚生労働省のホームページに掲載されていますので合わせてご覧ください。