「親が年を取ってから怒りやすくなった」「突然怒りだす老人がいて怖い」など感じたことはありませんか?
おじいちゃんおばあちゃんというと穏やかなイメージがあったり、年を取ると性格がまるくなるという言葉もよく聞かれる一方で、高齢者=怒りやすいという真逆な印象を感じることも少なくありません。
家族の中に怒りやすくなった高齢者がいたり、介護でそのような方と接する機会が多い人にとっては大きな問題に発展したり、誰かに被害が及んだりする可能性もあり不安でしょう。
そこで今回の記事では、老人が怒りやすい理由、そして怒りやすい老人への対策についての情報を解説してまいります。
どうぞ最後までご覧いただき、高齢者の方とのコミュニケーションに役立てていただければと思います。
目次
老人が怒りやすいのはなぜ?
そもそも老人になると本当に怒りやすくなるのでしょうか?
実は答えはノー。
怒りやすい老人というのはそもそも性格的に怒りやすい人であり、年を取ったから怒りっぽくなったというわけではありません。
ではなぜ老人が怒りやすいと感じるのかというと、やはり一般的に高齢者というのは「穏やか・か弱い」といったイメージを持たれています。その中で感情的になり暴言を吐いたり、暴力をふるうような怒りっぽい一部の老人は非常に目立つ存在であり、その様子を見た人にとって強烈に印象に残るからでしょう。
とはいえ、高齢になることで怒りを感じる場面もいくつか考えられます。
以下に代表的なものを説明していきましょう。
周囲から年寄りまたは子どものように扱われる
高齢者に対してたまに小さな子どもに対する口調で会話をする人を見かけます。
本人は良かれと思ってやっている行為でしょうが、高齢者の方の中にはそれを不快だと感じる人がいるのはおかしなことではないでしょう。
自尊心が傷つけられ、結果的に怒りにつながる原因となってしまいます。
高齢者の皆さんは人生の先輩です。もし高齢者に対しそのような対応をしている場合には、「優しく対応したのに老人に急に怒られた!」と相手を非難する前に、言葉遣いや態度に失礼がなかったかどうか、今一度自分の行動を改めて見つめ考えることが必要であり、怒りの予防にもつながります。
聴覚機能の変化によるもの
高齢になると耳が遠くなり少々うるさくしても聞こえないだろう、と思われるかも知れません。
実際に聴覚機能が低下し音が聞こえにくくなってはいきますが、実は高音域の中で一定の域を超えると非常にうるさく感じるようになるのです。
そのため、老人が公共の場で急に静かにしろ!と怒鳴った場合は、このような理由から怒っている可能性が高いでしょう。
同じように、高齢者とまではいかなくても30代、40代と大人になるにつれて、10代の若者が騒ぐ声が耳に響くようになったり、聞いていることが苦痛に感じやすくなったという体験はありませんか?
このように、年を取るにつれて体の機能は変化していくということを理解すると、急に怒る理由がわかってきます。
生活習慣によるもの
怒りっぽさは生活習慣の変化によっても起こります。
高齢になると眠りが浅くなる人が増え、睡眠不足によって脳がきちんと覚醒できていない状態のまま暮らしているケースもあります。
そういった状態ではきちんとした判断や人から言われた内容の理解ができずイライラしてしやすくなってしまいます。
また、食事で栄養が十分にとれていないこと、運動不足といった原因で脳の動きが低下し怒りっぽくなるということも考えられます。
認知症の症状
認知症の初期症状の一つに、「怒りやすくなる」というものがあります。
感情のコントロールが出来なくなる他、認知機能が低下することで状況の理解や把握、判断することが難しくなり、イライラしたり怒りやすくなるといった症状が現れるのです。
また、物忘れや失敗してしまうことで自信を失ったり、周囲から指摘や否定をされることでストレスとなったり、攻撃されていると思い込み更に怒りの感情が沸きやすくなる場合も多くあります。
性格なのか認知症なのかの違いは、やはり元々怒りっぽい人だったのか、それとも急に性格が変わり別人のような感じがするか、といったことである程度判断ができます。
怒りやすい老人とうまくコミュニケーションを取る方法は?
以上のように、老人の怒りにはさまざまな要因が考えられ、単純に「年を取ったから怒りやすくなった」とは言えないことがお分かりになったかと思います。
これらの知識を持っておくと、突然怒ったり怒鳴ったりする老人に遭遇した時に少しは落ち着いて対応できるかと思います。
高齢者に限らずですが、”相手を敬う気持ちを忘れずに接する”ということは、人とコミュニケーションを取る上で最も大切なことです。
「高齢だからわからないだろう」「病気だからわからないだろう」等と決めつけて子ども扱いをしたりするのではなく、年上の方と接する礼儀を忘れないようにして下さい。
耳の聞こえが悪かったり、理解が追いつかない様子を見せている場合には、ゆっくりと丁寧に話すことを心がけるだけでも意思疎通がしやすくなり、相手の気持ちもおさまってくる可能性が高いでしょう。
しかしそれだけでは対応が難しく、何が原因なのかわからなかったり、あなたに危険が及びそうな場合は、自分で何とかしようとせず医療や福祉の窓口へ相談し、専門家の手を借りて適切なケアを受けるようにして下さい。