良いデイサービスの選び方のポイントとは?

デイサービスとは、要介護認定を受けて要介護1~5に認定された65歳以上の高齢者の方を対象に、食事や入浴、排せつといった日常生活に必要な動作の介助やサポートを受けたり、身体機能の維持、向上、回復を目的とした機能訓練、他の利用者と交流しながら行う体操やレクリエーションといったサービスを介護保険を利用して提供してもらえる介護施設です。

そして家族に対してもデイサービスに行っている間、休息や自分の用事を済ませられ日々の介護の負担を軽減してもらうという大きな役割も担っています。

しかしそれぞれの施設が持つ雰囲気や設備、特徴などは異なりますので、「どのデイサービスを利用しても同じ」というわけではありません。

そこで今回の記事では、利用者本人、そして家族にとって良いデイサービスを選ぶために何を意識したら良いのか、選ぶポイントや気を付けたい点について解説してまいります。

どうぞ最後までご覧いただき、デイサービス探しをされている方に向け役立ちますと幸いです。

良いデイサービスを選ぶには目的を明確にすることが大切

「デイサービス」と一言で言っても、施設や運営する事業者によって実施しているサービスの内容や食事、設備、介護スタッフや利用者、規模や人数、費用などは違います。

半日程度の短い時間、食事は無しで専門の職員を配置し機械も揃えてリハビリに力を入れているデイケアのような施設もあれば、認知症に特化した種類の施設、夜まで居ることが出来る施設、俳句や将棋など趣味や娯楽を充実させている施設等・・・

自宅から事業所までの送迎の範囲内にあるデイサービスには限られるものの、施設が複数ある場合、その中から本人に合ったデイサービスを選ぶにはどうしたら良いのか迷われるかと思います。

そこでまず考えることは、デイサービスを利用する目的は何なのかを具体的にはっきりさせておくこと。そうすることで何を優先するべきかが分かり、施設を選びやすくなります。

デイサービスは訪問介護や入居型の老人ホーム等とは違い、日帰りの通所介護であり、基本は自宅で自立して暮らしていくため、そして在宅介護を支えるために必要な支援を行う役割を担っています。

そのため、例えば「これからも自分で自宅のお風呂に入れるようにしたい。」「介護をする中で食事の面だけ心配がある。食事の介助や栄養の改善をお願いしたい。」「外出や人とコミュニケーションをとる機会が減り引きこもりがちになっているので、もう一度生きる楽しみや意欲を取り戻して欲しい。」等、自宅で生活していく上で本人または家族が持っているさまざまな希望があるかと思います。

良いデイサービスを選ぶためには、これらの不安や心配、希望を補ってくれるサービスを提供してくれる施設を選ぶことが一番の優先事項となります。

良いデイサービスは様々な問題や課題に向き合ってくれる施設

実際に利用を開始してから「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを防ぐためには、パンフレットやサイトに書かれている条件や説明だけで決めるのではなく、入所する前にいくつかの施設の見学や無料の一日体験に参加し直接チェックして比較、検討してから選ぶことが非常に重要です。

ほかの人は良いと思っても自分には合わない、ということもよくありますし、食事のメニューや味付け、現場で仕事をする職員の対応の感じや介護のやり方なども実際に受けてみないと本人との相性は分かりませんよね。

ご本人にとっても初めての場所より一度行った場所、一日の流れを経験したサービスということで不安が軽減し安心できるメリットもあります。

とはいえ1日だけですべてが分かるわけではありませんが、良いデイサービスを見極めるコツとして、見学や一日体験の当日にスタッフにぜひ質問や相談をしてみて下さい。

その時、親身に答えてくれるのか、応じてくれるのか、その様子を確認していただきたいと思います。

もし対応が難しいことや答えが分からない場合に「うちでは無理です。」「分かりません。」と冷たく突っぱねるような反応をされたら、いくら目的にかなっていても別のデイサービスを探すことをおすすめします。

良いデイサービスであれば、可能な限り利用者の方の要望や課題に向き合い応じようとする姿勢を見せたり、無理であっても丁寧な印象を与える対応や配慮、別の提案を行ってくれるはずです。

特に抱えている問題や課題が大きい状況の場合は、このように個別の状態に合わせ親身に寄り添ってケアをしてくれる施設を選ぶようにしましょう。

良いデイサービスを選ぶ権利があるということを忘れずに

デイサービスに通われている中で何か不満や問題があっても、普段面倒を見てもらっているからとか、預かってもらっているからという理由で我慢してしまうケースが多いです。

しかし、利用者やそのご家族にはデイサービスを選ぶ権利があるということを忘れないでいただきたいと思います。

何か不満や改善してもらいことがあった際には、我慢せずに施設に伝える、言いにくい場合には担当のケアマネジャーに相談し伝えてもらいましょう。

施設側で問題を把握することも、良いデイサービスを作っていくために必要なことです。

それでも改善が見られなかったり納得できない場合には、他のデイサービスに変えるという方法も1つの手です。

実際に契約した後デイサービス選びを失敗した!という場合も、妥協したまま通い続けるのではなく他のデイサービスの情報を調べたり、ケアマネジャーに相談しながら利用者により合う最適な施設を探すことも何ら悪いことではありません。

「本来の目的を実現させるためにデイサービスを活用するんだ」という意識を忘れず、利用者の方にとって良いデイサービスを見つけていただきたいと思います。

まとめ

紹介しましたように、デイサービスは一般的に行われる主な介護サービスの他にも施設によって異なる特徴があり、実際に行ってみないと分からない部分は多くあります。

受けるサービス内容については介護に関連した高い知識を持ったケアマネジャーが作成したケアプランをもとに行いますが、実際の介助のやり方や雰囲気といったもののミスマッチを防ぐ対策として事前にほとんどの施設で行われている見学や一日体験に行き、必ず直接確認するよう注意しましょう。

利用者に合った良いデイサービスを選ぶことで、心身の健康に大きく役立つはずです。

認知症の方が食べ物に執着する原因は?効果的な対処法も紹介します

「認知症の母の過食がひどい」「冷蔵庫に入れていた料理の作り置きを全部食べられてしまった」

認知症にはアルツハイマー型、レビー小体型、血管性型、前頭側頭型と4つの種類がありますが、そのさまざまな症状の中に「食べ物への異常な執着」があることことをご存知でしょうか。

認知症の方が登場するドラマ等でも、ご飯を食べたばかりなのに「夕ご飯はまだか?」と家族に尋ねる声を聞いたことがあるかと思います。

一般的に「単純にご飯を食べたことを忘れてしまったのかな?」と思われるかも知れませんが、冷静に考えると高齢者の方が普通にご飯を食べてお腹がいっぱいなはずなのにまだ食欲があるというのは不思議ですよね。

そこで今回の記事では、認知症の食べ物への執着はなぜ起こるのか、その原因や具体的な症状、対応の方法や注意点について解説します。

最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。

認知症が食べ物へ執着する原因

認知症の人が食べ物へ執着し「過食」症状を起こす原因としては、もちろん食べた行為自体を忘れてしまうということがありますが、そもそもは記憶障害により「食べられない」ということに対して強い不安があることが考えられます。

「食べることは生きること」ですよね。つまり、食べ物へ執着するということは生への執着と言い換えることができると思います。

また、認知症になってしまうと満腹中枢の機能が低下するため、食事をしても満腹感が得られず空腹を感じて、余計に「食事をしていない」と思い込みやすい傾向にあります。

認知症の人すべてが過食の症状を持っているわけではありませんが、介護を行っている施設の職員や自宅で同居している家族の方は対応が難しいと困ってしまう場面が多いでしょう。

認知症の食べ物への執着、主な症状と特徴

それでは次に認知症の方の「食べ物への執着」に関連する具体的な症状や特徴について紹介していきましょう。

食事をしたことを忘れる

認知症の代表的な症状である記憶力の低下は、一部を忘れる”物忘れ”とは違い、体験したことを丸ごと忘れてしまうという特徴があります。

そのため、認知症の方は「食事をした」という体験を忘れてしまい、しっかり食べた後であっても食べ物を要求します。

食欲が異常にある

認知症を発症すると高齢者とは思えないほど食欲が旺盛になる場合があります。

認知機能の低下により満腹中枢への刺激が弱まり、食事をしても満足できずに過食へとつながってしまうのです。

夜中に起きて冷蔵庫や家にある食べ物を漁り、好き嫌い関係なく全部食べつくしてしまうという行動を起こすケースも少なくありません。

一時的な症状である

認知症による食べ物への執着(過食)の症状は、薬を使ったり特別な治療などをしなくても多くの場合一過性の症状であると言われています。

上記のような旺盛な食欲も一時は見られますが、段々と落ち着いてきて最終的には元に戻ります。

とはいえ症状の程度や期間は人によって異なるため、そのうち元に戻るからと放置せず症状が治まるまではしっかりと見守ることが必要です。

認知症が見せる食べ物への執着への対処法

認知症による過食が一過性だとしても、ある程度の期間続くと糖尿病や肥満などを引き起こすもとになる可能性が高くなります。

そのため、適切な対処を行い疾患の予防や防止に取り組む必要があります。

すぐに食器を片付けない

食べたあとすぐに食器を片付けてしまうと、食事をした形跡がなくなり食事の記憶も消えてしまいやすくなり、この状態で食事を要求され「もう食べたでしょ」と言っても、「騙されている!」「食事を与えてもらっていない」と思い込み、結果として更に食べ物への執着が悪化してしまうようになります。

そこで食べ終わったお皿やコップなどの食器をしばらく食卓に残してもらうことで「ご飯を食べた」という意識が残り過食を防止する効果へとつながります。

「お腹空いた」「食事はまだか」と言われても、目の前の食器を見せることで食事をしたことを納得させやすくなりますし、家族もすぐに席を立って片付けを始めるよりも、少しみんなで食後の団らんとして会話をする時間を持つことでより食事をした体験の記憶が残りやすくなるためおすすめです。

目に見える、手の届く場所に食べ物を置かないよう管理する

食べ物へ執着している状態の認知症の方は、食べ物が目に入ると食べることが我慢できなくなってしまい、備蓄用の缶詰などでも見つかると食べつくしてしまうといった問題を起こしてしまいます。

そのため家族が仕事や外出をする際は特に認知症の方の目につく場所、手に届く場所に食べ物を置かないよう気を付けましょう。

中が見えないような容器に入れたり、食べ物を保管している戸棚に鍵をかける方法もあります。

注意したいのは、隠していることを本人に気付かれると怒りにつながってしまったり、食べ物を我慢させ過ぎるとストレスが強くになり部屋の中のどこかに食品がないか探して荒らしてしまう可能性があります。

そのため、どうしても欲しがる際やおやつなどの時間にはおにぎりや果物、健康に良さそうなお菓子などを用意し、目につく場所に置いてあげると安心につながるでしょう。

また、飲み物は温かい物を用意してあげると空腹が落ち着きます。

あまりきっちりと決めるのではなく、本人の状況を見ながら対応していきましょう。

食事の量を減らし回数を増やす

認知症の過食による肥満や病気を防ぐために、1食の量を減らして食事の回数を5回や6回に増やすこともおすすめです。

1日3食にしてプラスおやつや間食をするよりも、1日の食事量を小分けにすることで総カロリーを抑えることが出来ますし、認知症の過食は空腹というよりも食べたいという気持ちを満たすことが重要なので、回数を増やすことで満足感を得られやすくなります。

本人の気晴らしを促す

何もしていないゆっくりとした時間があると、食べ物のことを考えてしまいやすくなります。

そのため、食後は簡単な家事のお手伝いをお願いしたりゲーム等をして食べ物から気をそらす時間を作ると良いでしょう。

専門家に相談する

食べ物の執着に限らず、親や家族、周囲の人などの認知症に関する心配やわからないことがある時は、地域包括支援センターや医療機関など専門の知識を持ったプロへ相談することも大切です。

認知症の介護は非常に負担が大きく、1人で抱え込むのは危険です。

認知症に関する電話相談もありますから、このようなサービスを利用して理解してくれる人に話をすることで心が楽になったり、有益な情報を得ることが出来ます。

まとめ

認知症の方の「食べ物の執着」は脳の認知機能がうまく機能しなかったり記憶力の低下によるものであり、多くの場合一過性の症状ですが、過食を続けることで別の疾患が起こり健康に悪い影響を及ぼす可能性がありますので、適切な対処やケアを行うことも大切です。

とはいえ自宅で介護をされている場合、家族に大きな負担がかかり生活に支障が出てしまうこともあります。

そんな時はデイサービスを活用いただくのもおすすめです。

デイサービスは要介護認定を受けて要介護と認定された高齢者の方に向け、入浴や食事、トイレ等の日常生活に必要な介護やサポートや機能訓練、簡単な運動やゲームを取り入れたレクリエーションといった介護サービスが提供される介護施設で、入居ではなく事業者の車で自宅と施設を送迎し日中の時間に利用します。

そして同じデイサービスでも通常とは違う認知症に特化した認知用対応型通所介護(認知症デイサービス)という、認知症の症状に対する高い知識と経験を持った専門のスタッフが介護やサポートを行う施設があります。

家族も安心して送り出すことができ負担軽減や健康管理などメリットが多く人気です。

認知症の場合知らない環境に行くことを拒否するケースも多いのですが、事前に見学や一日体験受けてもらえれば、実際のサービスの内容や進行の流れ、職員やスタッフ、他の入居者の雰囲気、食事のメニューなどを知っておくことができ入ってからの不安を軽減することができたり、施設側も受け入れや対応の準備をしておくことが出来ます。

不安な点や分かりにくいことがあれば確認し、納得した上でサービスを使うことがおすすめです。

施設を探す際は担当のケアマネジャーや地域包括支援センターなどでご相談いただければ希望の条件に合った周辺の施設を紹介してもらえますので、ぜひ相談に行ってみて下さいね。

年金で費用を賄える介護施設はあるの?

自宅での介護が難しく親を老人ホームに入居させたいといった場合、やはり一番の不安は費用の負担ではないでしょうか。できれば年金で賄える介護施設を探したいですよね。

そこで今回の記事では、老人ホームを中心とした高齢者向けの介護施設にかかる費用の相場と年金で入居できる施設、更に費用を軽減させるための方法について解説します。

どうぞ最後までご覧いただき、皆様に役立ちますと幸いです。

介護施設にかかる費用の相場

介護施設には大きく分けて公的機関が運営している施設と民間の会社が運営している施設の2種類があります。

基本的に公的施設の方が費用が安く初期費用もかかりませんが、サービス内容や受け入れ対象の幅広さは民間施設の方が充実している傾向にあります。

月額費用には家賃、管理費、食費、サービス加算、上乗せ介護費、施設介護サービス自己負担額、介護保険外のサービス費、日常生活費、必要な方は医療費といったものが含まれます。

以下はそれぞれの主な施設の月々支払う額と対象者についてまとめたものですが、あくまで目安であり地域や施設ごとに異なりますので、詳細な条件については自治体の窓口やケアマネジャー、各施設にお問合せの上ご確認ください。

対象の基準となる要介護度の段階を知るためには、要介護認定を受けて認定される必要があります。

公的施設

・特別養護老人ホーム(特養)

月額:5万円~22万円

対象:要介護3~5

特徴:24時間体制の介護、生活介助(食事、排せつ、入浴など)、看取り利用が可能。人気が高くすぐに入れるとは限らない。数年入居待ちになるケースも多い。

・介護老人保健施設(老健)

月額:8万円〜20万円

対象:要介護1~5

特徴:退院後の在宅復帰を目指す施設で原則3ヶ月までの短期入所となります。

・介護医療院

月額:8万円~20万円

対象:要介護1~5

特徴:医師や看護師が常駐し、長期の医療ケア、生活介助、リハビリなどを受けられる新しい施設です。

・ケアハウス(軽費老人ホーム)

月額:8万円~15万円

対象:自立~要介護3程度(家族からの支援が難しい60歳以上の方)

特徴:自立型と介護型があり収入が低い人に向けた施設なので、それぞれの収入に応じて月額の費用が決まります。

民間施設

・介護付き有料老人ホーム

月額:15万円~30万円

対象:自立~要介護5

特徴:24時間体制で手厚いサポートが提供され、イベントやレクリエーションなど入居者が楽しみながら生活を送ることが可能な施設です。

・住宅型有料老人ホーム

月額:10万円〜30万円

対象:自立~要介護5

特徴:生活支援がメイン。介護サービスを受ける場合は外部のサービスと契約する必要がある。

・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

月額:10万円〜30万円

対象:自立~要介護5

特徴:生活相談や安否確認等のサービスがある賃貸住宅。

・グループホーム

月額:10万円~20万円

対象:要支援2~要介護5で認知症の診断を受けた方

特徴:暮らし慣れた地域で少人数で共同生活を送り、家事などできるだけ自分たちで行います。

介護施設を利用するために年金額を知る

介護施設の費用を年金で賄いたいと思ったら、まずは実際に給付される年金がいくらなのかを知ることが大切です。

皆さんご存知の通り、年金の給付額というのは納めた保険料、そして厚生年金保険なのか国民年金保険なのかによって変わります。

月額の平均は厚生年金で約145,000円、国民年金で約56,000円となっていますので、同じ年金とはいえ結構な違いがありますね。自営業や主婦の方は国民年金で支払われている方が多い傾向にあります。

また、給付は毎月ではなく2ヶ月に1度ですので振込口座から確認する時には注意しましょう。

これから年金をもらうという人は、日本年金機構のホームページで将来支給される見込み額を計算し参考にしてみましょう。

年金だけでは介護施設の費用が足りない場合の対処法

上記で説明したように国民年金の場合などは給付額が少ないため、公的施設であっても年金だけで賄うのは厳しいかも知れません。

そんな時にできるだけ負担する費用を抑えるための方法をいくつか紹介します。

生活保護を利用する

年金を受給していると生活保護は利用できないと思われている方が多いのですが、受給額が低く生活していくことが困難な状況にある際には生活保護を受けられる場合があります。

また、生活保護法に指定を受けている施設もありますので、生活保護で入居を希望する場合には市区町村の窓口や担当のケアマネジャー、ケースワーカーなどに相談することをおすすめします。

助成制度を利用する

介護保険サービスには、申請することで所得に応じた軽減制度を受けることができる他、独自の助成制度を実施している自治体もあります。

市区町村の窓口やサイトを検索して確認し、利用できる制度がないかどうか情報を探すと良いでしょう。

多床室に入居する

基本的に老人ホームは個室ですが、特別養護老人ホームには他の人と一緒に部屋で暮らす多床室(相部屋)があり、個室と比べて家賃が安くなっています。

プライベートな空間を必要としている方には難しいかもしれませんが、他の人との生活が気にならない場合は検討してみることをおすすめします。

利用者負担軽減措置を利用する

一部の介護施設では家賃や食費の利用費用の一部を軽減する制度が設けられています。

低所得かつ一定の条件を満たした方が対象です。

<条件一覧>

・年間収入が単身世帯で150万円、世帯員が1人増えるごとに50万円を加算した額以下であること。

・預貯金等の額が単身世帯で350万円、世帯員が1人増えるごとに100万円を加算した額以下であること。

・世帯がその居住の用に供する家屋その他日常生活のために必要な資産以外に利用し得る資産を所有していないこと。

・負担能力のある親族等に扶養されていないこと。

・介護保険料を滞納していないこと。

利用者負担軽減措置を実施している介護施設については、自治体の窓口に問合せて確認をしてみて下さい。

在宅介護を活用する

入居するタイプの介護施設はどうしても高い料金がかかります。

もし在宅しながら家族などのサポートを受けることが出来るようであれば、デイサービス(通所介護)や訪問介護、ショートステイ(短期入所)などの介護サービスを活用することで介護にかかる費用を抑えることが可能となります。

現在は小規模多機能型居宅介護と呼ばれる在宅介護を組み合わせて支援を受けられるサービスもありますので、選択肢の1つとして考えるのも良いかと思います。

まとめ:年金で費用を賄いたいなら公的な介護施設を選ぶ&制度を活用しよう

年金だけで介護施設に入居するポイントとしては、その中でも比較的費用の安い公的機関が運営会社となっている介護施設を選び、各自治体や国の事業として行っている助成や減免制度なを活用することが大切です。

しかしそれでも実際は預貯金を崩す必要が出てくる可能性は高いですので、介護施設に入る必要が出てくる前に、やはりある程度は年金とは別に老後に備えてお金を貯めておくと安心です。

民間施設の場合は充実したサービスが提供される分費用が高額となる点がデメリットですので、年金で賄いたい場合にはおすすめできません。

介護施設でかかる費用は医療費控除の対象になる?具体的な対象の範囲は?詳しく解説します

「病気や介護でかかった費用、年間で考えると結構な高額になる・・・。」

医療や介護を利用していると気になる医療費控除ですが、実は介護施設でかかる費用も医療費控除の対象となることをご存知ですか?

そこで今回の記事では、医療費控除の概要と介護施設における医療費控除について具体的に解説いたします。

少しでもお金の負担を軽減するためにぜひ覚えておきたい知識ですので、最後までご覧いただき参考にしていただければと思います。

医療費控除とは

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所定の手続きを経て所得控除(課税所得の中から一定の所得を差し引いて)を受けることが出来る仕組みのことを言います。

医療費は個人ではなく生計を共にする家族、親族全員の合計額でも構いません。

医療費控除を受けるためには確定申告を行うことが必要です。控除を受けることで税金が還付されたり納税額が低くなる場合があるので、対象となる方は忘れないように注意しましょう。また、確定申告では医療費控除の明細書を用意しなくてはなりませんので、国税庁のホームページから様式をダウンロードして作成しましょう。

控除額と還付金の計算方法は以下のようになっています。

【実際に支払った医療費の合計】ー【保険金などで補填された金額】ー【10万円】

※保険金とは、生命保険や出産育児一時金、入院費給付金など

※所得の合計が200万円未満の人は総所得額の5%を引きます。また、医療費が10万円以下であっても所得額によっては医療費控除の対象となるケースもあります。

医療費控除の対象となる費用の種類

医療費とひと言で言っても、その種類や用途にはさまざまなものがあります。

その中で具体的に医療費控除の対象となるものとならないものについてご紹介します。

<医療費控除の対象になるもの>

・医師、歯科医師による診療や治療の対価

・治療のためのあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などによる施術の対価

・助産師による分娩介助の対価

・医師等による一定の特定保健指導の対価

・介護福祉士などによる喀痰吸引等の対価

・保健師や看護師、准看護師による療養上の世話の対価

・治療や療養に必要な医薬品の購入の対価

・病院、診療所又は助産所などへ収容されるための人的役務の提供対価

・医療機関への通院にかかる公共交通機関を利用した際の交通費

<医療費控除の対象にならないもの(例)>

・医療目的ではなく美容目的などによる整形手術の費用

・健康診断の費用

・タクシー代(公共交通機関が利用できない場合を除く)

・自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車料金

・治療に直接必要のない近視や遠視のための眼鏡、補聴器等の購入費用

・親族に支払う療養上の世話の対価

・疾病の予防又は健康増進のために提供されるものの購入費用(予防接種やサプリメント購入費用等)

・親族などから人的役務の提供を受けたことに対して支払う謝礼

など

医療費控除の対象、非対称になるものの区別について詳しく確認したい場合は、国税庁の医療費控除の対象となる医療費に関する案内ページをご参照ください。

介護施設で医療費控除の対象となるものは?

介護保険制度における施設でのサービスの対価にかかる医療費控除はどうなっているのでしょうか。

介護保険法において、介護保険サービスは医療との連携を十分に配慮して行わなければならないと定められており、日常介護や支援の他に医療的管理も含まれています。

入所をして介護保険サービスを受ける介護施設は、その種類によって医療費控除の対象となる施設、そして全額控除となるのか半分の控除となるかが違います。

これらの施設が発行する領収書には医療費控除の対象となる金額が記載されていますので、チェックすることをおすすめします。

「全額」医療費控除対象となる介護施設

ここからご紹介する施設は、いずれも介護費、食費、居住費を含めた月額利用料が医療費控除の対象となります。日常生活費やサービス費用は対象外となりますので注意しましょう。

介護老人保健施設

病院から退院後、在宅復帰を目指して主に機能訓練や機能の向上のためのリハビリを行う介護施設です。

医師や看護師が常勤し安心して過ごすことが出来ますが、原則3ヶ月までしか利用することが出来ません。

利用の対象者は要介護1以上に認定されている65歳の高齢者の方ですが、40歳から64歳の特定疾病で要介護認定を受けている方も利用可能です。

介護療養型医療施設

比較的介護度の重い要介護者を対象としており、リハビリテーションや医療ケアで手厚いサポートを受けることが出来ますが、機能の維持や回復を目的としているため看取りは対応していません。

こちらの施設は2024年度2024年3月末に廃止されることが決定しており、次に紹介する介護医療院がその役割を引き継ぐ形となっています。

介護医療院

2018年4月に設立された比較的新しい介護施設で、医療的ケアが手厚く看取りの対応も可能な施設です。また、食事や入浴、排せつなどの生活介助やリハビリ、健康管理など自立した生活を送るためのサポートや介護サービスを受けることも出来ます。

対象となるのは要介護認定で要介護1~5の認定を受けた高齢者の方です。

「1/2」医療費控除対象となる介護施設

介護費、食費、居住費を含めた月額利用料の1/2が控除の対象となる施設です。日常生活費や、サービス費用は対象外となりますので注意しましょう。

特別養護老人ホーム

24時間体制で介護を受けられるのが特徴で、看取りにも対応している老人ホームです。全国どこの地域にお住まいの方でも申し込むことができます。

あくまで生活の場であり、リハビリには注力していません。

対象者は要介護3以上の認定を受けた高齢者の方ですが、状況や状態によっては要介護1、2の方も入居可能な場合がありますので、入居を希望の場合は確認してみましょう。

地域密着型特別養護老人ホーム

上記の特別養護老人ホームとほぼ同じですが、施設と同じ市区町村に住民票がある方を対象としており定員も29名以下となっています。

住み慣れた地域でアットホームな雰囲気の中で生活をすることが出来ることがメリットです。

介護施設以外の医療費控除対象となる介護サービス

入居型の介護施設ではなく自宅で暮らしながら受けられる居宅サービスでも医療費控除の対象となるサービスは多くあり、以下がその一覧となります。

・訪問看護

・介護予防訪問看護

・訪問リハビリテーション

・介護予防訪問リハビリテーション

・居宅療養管理指導

・介護予防居宅療養管理指導

・通所リハビリテーション

・介護予防通所リハビリテーション

・短期入所療養介護(ショートステイ)

・介護予防短期入所療養介護

・定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用する場合に限ります。)

・看護・小規模多機能型居宅介護(上記の居宅サービスを含む組合せにより提供されるもの(生活援助中心型の訪問介護の部分を除く。)に限る。)

また、上記サービスと併用することで医療費控除の対象となるサービスは以下となります。

・訪問介護(生活援助中心型を除く)

・夜間対応型訪問介護

・訪問入浴介護

・介護予防訪問入浴介護

・通所介護(デイサービス)

・地域密着型通所介護

・認知症対応型通所介護

・小規模多機能型居宅介護

・介護予防認知症対応型通所介護

・介護予防小規模多機能型居宅介護

・介護予防短期入所生活介護

・定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用しない場合および連携型事業所に限る。)

・看護・小規模多機能型居宅介護(上記の居宅サービスを含まない組合せにより提供されるもの(生活援助中心型の訪問介護の部分を除く。)に限る。)

・地域支援事業の訪問型サービス(生活援助中心のサービスを除く)

・地域支援事業の通所型サービス(生活援助中心のサービスを除く)

生活援助中心の訪問介護や認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、有料老人ホーム等は対象外となるので注意しましょう。

介護施設やサービスには多くの種類があり、医療費控除の範囲についても内容が複雑なため、不安な方は自治体の窓口や税務署、ケアマネージャーなどに相談いただくことをおすすめします。

また、これらの介護老人保健施設や指定介護老人福祉施設などへ通う交通費についても、医療費控除の対象となります。

介護施設で医療費控除の対象となる範囲と注意点

介護施設でかかる費用の全てが医療費控除の対象となるわけではなく、「介護費」「居住費」「食費」でかかった自己負担額分が対象となります。

歯ブラシやシャンプー等の日用品に使う日常生活費や、理美容などの特別なサービス費についてかかった分は含まれませんので注意しましょう。

なお、おむつに関しては6ヶ月以上寝たきりで医師の治療を受けているという条件を満たした場合、医療控除の対象となりますので、医師に「おむつ使用証明書」を発行してもらい確定申告を申請する時に提出して下さい。

最後までご覧いただきありがとうございました。

高齢者向け介護施設の選び方

現在超高齢化社会である日本では、高齢者向け介護施設の需要が高まっています。

しかし介護施設とひと言で言っても実は多くの種類があり、それぞれの施設によって利用できる条件や費用、特徴などが大きく異なる場合があります。

一般的にその違いについて知っている人というのは少なく、いざ介護施設を探そうとする際、どう選べば良いのかわからないと困ってしまうケースが多いようです。

そこで今回の記事では、老人ホームを中心とした介護施設の種類やその特徴、選び方、選ぶ時の注意点について解説します。

ぜひ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。

介護施設(高齢者向け福祉施設を含む)の種類

介護施設の選び方として、まずはどのような種類の介護施設があるのかを知っておく必要があります。

介護施設には公的な機関が運営する「公的施設」と民間企業が運営する「民間施設」の2つがあり、それぞれに該当する施設を以下、紹介します。

公的施設

地方自治体や社会法人、医療法人などが主体となり国の補助金を受けて設置している介護施設でデイサービスを含む介護保険施設もこちらに含まれます。

公的な介護施設は低所得者の保護や介護度の重い方の支援を重視し、民間よりも費用が安く抑えられるというメリットがあり非常に人気が高いことから、長い入居待ちとなっている施設が多いという点がデメリットです。

公的施設には以下のような介護施設があります。

・特別養護老人ホーム(特養)

要介護3以上。居宅での介護が困難な状況で常時介護が必要な高齢者が対象です。

・介護老人保健施設(老健)

要介護1以上。病院を退院した後、在宅での復帰を目指して医療ケア(リハビリや介護、看護など)や生活サービスを受けるための施設で、入所できる期間は原則3ヶ月までとなっています。

・養護老人ホーム

経済的な理由や身寄りがない等の環境的な理由で自宅での生活が難しい65歳以上の高齢者が対象ですが、”介護施設ではない”ので要介護となってしまうと利用が出来なくなります。

・介護医療院

要介護1以上。療養型(Ⅰ型)と医療型(Ⅱ型)があり、看取りにも対応しています。医師や看護師が常駐しているので安心して利用することが可能です。

・軽費老人ホーム(ケアハウス)

要支援1以上。介護施設ではなく”福祉施設”で、自宅で生活することが困難な高齢者が低額で食事や生活相談といったサービスを受けることが出来る施設です。

民間施設

営利目的で民間の企業が運営している介護施設で、公的施設よりもサービスが充実しており、利用者の状態やニーズに合わせたきめ細やかな対応がされ快適に生活できる分、費用が高くなるという特徴があります。

民間施設には以下のような介護施設があります。

・介護付き有料老人ホーム

要支援1以上。24時間体制で介護保険サービスを受けることが可能です。介護状態が重度の方や看取りの受け入れが可能な施設もあります。

・住宅型有料老人ホーム

60歳以上の元気な方が対象となり、介護サービスを受ける際は外部の事業者と契約することになります。趣味を楽しみながら生きがいを見つけたりできる機会が豊富で、外出レクリエーションも行っているところが多いです。

自立型と健康型があり、健康型は要介護となると退去しなければなりません。

・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

60歳以上の方に向けた賃貸住宅で、バリアフリー、見守り、生活相談の他に食事や生活支援のサービスを提供している施設もあります。

・グループホーム

要支援2以上。認知症の高齢者の方が対象で、少人数で共同生活を送る施設です。入居者はできる範囲で家事を分担し、介助を受けることも可能です。

・シニア向け分譲マンション

その名の通り高齢者を対象として分譲マンションですが、温泉やレストラン、ジムなどの設備が充実しており家事の援助を受けることも可能です。介護サービスを受ける際は外部の事業者と契約することになります。要介護度が重度にならなければ充実した環境の中で最期まで暮らすことが出来ます。

介護施設の選び方の手順

1.利用する目的を明確にする

2.入居時期や入居タイミングはいつにするか

3.希望条件を優先付けする

4.費用や予算の確認(現在の資産だけではなく将来の収入も考慮)

5.施設の入居条件と入居期間の確認

6.資料・パンフレットの請求、問合せ

7.見学、一日体験の申し込み

8.比較検討し施設を決め契約

9.入居

介護施設の選び方の相談先

介護施設の選び方に迷ったり情報収集をしたい方は介護施設に関して詳しい知識を持った専門家やプロに相談することがおすすめです。

主な相談窓口としてはケアマネジャー、地域包括支援センター、民間の紹介窓口があります。

既に要介護認定を受けて介護保険のサービスを利用している場合は担当のケアマネジャーに、認定を受けていなければ地域包括支援センターに相談すると無料で情報の提供やアドバイスを受けることが出来ますが、最近は民間でも介護施設の紹介や相談、サポートをしてくれるところも増え、より多くの情報を得たい方は活用してみるのもおすすめです。

介護施設の見学・体験時のチェックポイント

介護施設の選び方として、契約を決める前に必ずしていただきたいのが見学や一日体験です。

施設のサイトや資料だけではわからないことも多く、直接行って感じることもあるためとても大切です。

ほとんどの施設において無料で実施されていますので、気になる施設があれば事前にすべて申し込むことをおすすめします。

実際に介護サービスや食事の試食も出来る場合が多く、不明なことがあればその場で質問ができるので安心です。

またその際、チェックしていただきたいポイントをお伝えします。

・施設の雰囲気はどうか

・職員やスタッフの対応はどうか

・施設や部屋の設備

・医療や介護、リハビリ体制

・生活支援サービスの有無や内容

・食事の提供有無とメニューや味付け等の内容

・レクリエーションやイベントの内容

・費用(入居一時金、月額利用料など)

・持ち込み可能な私物

・ペットとの入居可否

介護施設を選ぶ際の注意点

介護施設へ長く入居する場合、利用者の要介護度が上がったり施設側の事情で利用料や賃料といった料金の値上がりが発生することも少なくありません。

また、今後ますます少子高齢化が進むことが予想されている日本では、介護保険や医療保険での自己負担額の値上がりも考えられます。

そのため、ある程度予算に余裕を持って先々でも無理なく支払いが可能な施設を選ぶようにしましょう。

また、本来は必要のないサービスの提供も含まれているとその分の利用料も高く設定されますので、よく内容を確認することも必要です。

不安な場合は本人と家族だけでなく、暮らしているエリアの自治体やケアマネジャーにも相談すると良いでしょう。

要介護の人がデイサービスを利用するメリット・デメリットは?デイの概要や特徴についても解説します

デイサービスは要介護の認定を受けた方が利用することのできる通所介護事業所です。

今回の記事では、デイサービスで受けられるサービスや要介護認定を受けるための方法、要介護の方がデイサービスを利用するメリット、デメリット、負担する費用の目安について紹介します。

ぜひ最後までご覧いただき、皆様に役立ちますと幸いです。

デイサービス(通所介護)とは

デイサービスは要介護認定を受け要介護1~5の認定を受けた65歳以上の高齢者の方を対象とした介護保険サービスであり、要支援1~2の方は通常のデイサービスでに通うことは出来ません。(※介護予防デイサービスの利用は可能です。)

普段は自宅で家族等から在宅介護を受けている方が利用されているケースが多く、事業所の車で自宅と施設の送迎をしてもらい、日中の時間帯に日帰りでサービスを受けます。

主な提供されるサービス内容は健康状態のチェック、食事(昼食、おやつ)や入浴、排せつといった日常生活で必要な動作の介助、身体機能の維持や向上、改善を目的とした機能訓練、他の利用者と一緒に参加して脳トレやゲームを楽しみながら認知機能や身体機能の向上を目指すレクリエーションがあります。

老人ホームのような入居するタイプの介護施設ではありません。

また、料理内容や趣味を楽しめるレク、最新の設備などを売りにした施設や、リハビリテーション、認知症に特化した施設など、施設ごとにさまざまな特徴を持った事業所も増えています。

デイサービスの利用条件である「要介護」とは?

デイサービスは利用者本人の生活をサポート、孤立の解消、ケアしながらQOLを上げ、少しでも自立した生活を送れることを目指し支援するためのものですが、同時に自宅で介護を行う家族の身体的、精神的な負担を軽減させるという大きな役割も担っています。

そのため誰でもデイサービスを利用できるわけではないのです。

デイサービスの利用条件となる「要介護認定」とは、その人に必要な介護の度合を分かりやすく数値化したもので、要支援1~2、要介護1~5の7段階に区分されています。

要介護認定を受けるには、お住まいの市区町村の窓口へ必要な書類を持って申請し、訪問調査や医師の意見書などの一次審査、二次審査を経て、その後認定結果の通知が郵送で自宅へ届くという流れになっています。

申請してから通知が届くまで、約1ヶ月かかります。

要介護認定を受けたら、担当のケアマネジャーと相談しながらケアプランを作成してもらい、通所が可能なエリアにある事業所に見学や無料の一日体験を申し込んで比較、検討して施設を選び契約を結んでようやくデイサービスの利用が開始となります。

ちなみに要介護認定を受けた高齢者以外にも、40歳以上65歳未満で特定疾病を抱えている方も要介護認定およびデイサービスの利用を申請することが可能です。

デイサービスの利用料は要介護の度合いによって異なる

先述した通り、デイサービスを介護保険を利用したサービスとなっており、要介護の認定を受けることでデイサービスの利用料に介護保険が適用されるようになります。

所得によって違いはありますが一般的に自己負担額は1割。要介護の度合と利用する時間によって料金が設定されています。地域によっても多少違うのですが、目安は下記のようになっています。

<デイサービス利用者の自己負担・1割の場合>

・要介護1

3~4時間:364円、4~5時間:382円、5~6時間:561円、6~7時間:575円、7~8時間:648円、8~9時間:659円

・要介護2

3~4時間:417円、4~5時間:438円、5~6時間:663円、6~7時間:679円、7~8時間:765円、8~9時間:779円

・要介護3

3~4時間:472円、4~5時間:495円、5~6時間:765円、6~7時間:784円、7~8時間:887円、8~9時間:902円

・要介護4

3~4時間:525円、4~5時間:551円、5~6時間:867円、6~7時間:888円、7~8時間:1,008円、8~9時間:1,026円

・要介護5

3~4時間:579円、4~5時間:608円、5~6時間:969円、6~7時間:993円、7~8時間:1,130円、8~9時間:1,150円

 出典:厚生労働省「令和元年度介護報酬改定について」

以上のように、要介護度が低いほど1回あたりの料金は安くなります。また、施設の規模が小規模よりも大きいほど利用料金が安くなる傾向にあるようです。

この他に口腔機能向上、栄養改善、入浴介助といった追加で必要なサービスを受けると加算される仕組みがあります。

食費や施設で使用した日用品に関しては全額自己負担となり、これも施設によって異なりますが食費はだいたい500円前後が相場です。日用品はなるべく家から持参することで負担軽減につながります。

6時間から8時間利用する人が多いことを考えると、1日あたり1,500円程度が自己負担となるかと思います。

ちなみにデイサービスの利用料金は「単位」で計算され、1単位はおよそ10円で換算されます。

要介護者がデイサービスに通うメリット・デメリット

要介護となった方がデイサービスを利用するメリットはたくさんあります。

中でも日常動作を介護してもらえること、低下した筋力や体力を改善するために体操や軽い運動をする機会が持てること、他の職員やスタッフ、利用者と交流することで新たな人間関係が生まれ生活に楽しみが出来ること、栄養バランスの取れた食事を取れること、家に閉じこもりがちだった方にとっては外に出るきっかけにもなり、心身に対するさまざまな良い効果が期待できます。

一方でデメリットとして考えられることを説明しますと、人や施設と合わない所を選んでしまうと通うことでストレスを感じてしまったり、費用の負担があること、重度の介護度の方にとっては利用料金も高く、続けることが経済的に大変である点です。

そのような理由ににより通い続けることが難しい場合には施設の窓口やケアマネジャーに相談して別の事業所を探す、条件を満たしていれば訪問介護やデイケア等、別の介護サービスへの変更を検討してみることをおすすめします。

また、行ってみて合わなかったという状況を防ぐためにも、契約する前に必ず見学や一日体験に参加して環境や雰囲気、職員の対応、サービス提供の内容、食事のメニュー等を確認し、自分の希望に合うかどうか、また質問があれば直接何でも聞いておくことが大切です。

サイトの情報だけではやはりこれらのことは分からないからです。

また、実際に見ておくことでいざ通う際の不安が軽減する効果もあります。

デイサービスで働く職員

要介護の方が安心、安全に利用できるよう、デイサービスには様々な専門職の職員が配置されています。

事業所の管理を行う管理者、介護士、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格、看護師、機能訓練指導員(作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師)生活相談員など、施設の定員などによってそれぞれ配置する人数が決められています。

デイサービスの対象者は?基本情報や利用手順も合わせて解説

デイサービスに通いたいけど、対象者ってどんな人なの?」といった疑問の声が聞かれます。

今回の記事では、デイサービスの基本情報と種類、それぞれの対象者、利用するための手順について、わかりやすくまとめました。

最後までご覧いただき、デイサービスを利用を検討している方に向け役立ちますと幸いです。

デイサービス(通所介護)とは

デイサービスとは、事業所の車で自宅から施設までの送迎を利用しながら日帰りで介護施設へ通い、介護や機能訓練といった介護サービスを受ける場所です。

食事、入浴、排泄の介助、栄養管理された昼食やおやつの提供、機能訓練、レクリエーションへの参加といった日常生活における支援が受けられます。

デイサービスは、高齢者の孤立感の解消や心身機能の維持、向上だけでなく、ご家族の負担を軽減することも目的としています。

高齢者が在宅で長く生活を送れるための環境を整え、自立支援を行うこともデイサービスの大きな役割の1つとなっています。

デイサービスの種類と対象者

デイサービスは目的や対象者によって大きく分けて4つの種類に分けられます。

<通常のデイサービス>

一般的なデイサービスは、1日あたり利用できる定員の人数が25名以上の大規模デイサービスと1日あたり19名以上の中規模(通常規模)デイサービス、そして1日あたり18名以下の小規模デイサービス(地域密着型通所介護)に分けられ、日中の7時間~8時間の間、日々の健康状態のチェックや、食事・入浴・排せつといった日常生活に必要な動作の介助、機能訓練、レクリエーション(運動、体操、脳トレ、趣味、ゲーム等による他の利用者の交流)等が提供され、利用者本人の心身機能の維持や回復、改善の他に、家族の肉体的、精神的負担軽減という目的もあります。

<認知症対応型デイサービス>

その名の通り認知症の方に特化したデイサービスで、対象者は要介護認定に加えて認知症の診断を受けた方に限り、利用できるデイサービスです。

サービス内容は一般的なデイサービスと同じですが、認知症に関する専門的な知識を持った職員、スタッフによるケアが行われるため、認知症でも安心して通うことが出来る点が特徴です。

<リハビリ特化型デイサービス>

デイサービスの中でも機能訓練やリハビリを重点的に行い、生活動作への支援は行われない場合が多いです。

そのため利用時間は午前中または午後のみの半日単位で短い時間となり、少ない費用で利用することが可能です。身体的な介護はまだ不要であったり、基礎体力の低下の予防や介護予防を目指している方に人気のデイサービスとなっています。

<療養型デイサービス>

看護スタッフによる観察を必要とする難病をお持ちの方や、脳血管疾患後遺症といった要介護者の中でも重度な方、末期がん患者など、医療ケアを必要とする方を対象としたデイサービスです。

日常生活に必要なサポートの他に、生活機能訓練も受けることが可能です。

デイサービスを利用できる対象者

デイサービスの対象者は、基本的に要介護認定を受けて要介護1~5の認定を受けた高齢者の方となっていますが、40歳以上64歳以下の特定疾病の診断を受けた方もデイサービスを利用することが可能です。特定疾病とは下記のものを指します。

<厚生労働省に指定された特定疾病一覧>

・がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)※

・関節リウマチ※

・筋萎縮性側索硬化症

・後縦靱帯骨化症

・骨折を伴う骨粗鬆症

・初老期における認知症

・進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病※

【パーキンソン病関連疾患】

・脊髄小脳変性症

・脊柱管狭窄症

・早老症

・多系統萎縮症

・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症

・脳血管疾患

・閉塞性動脈硬化症

・慢性閉塞性肺疾患

・両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

また、要支援1~2の認定を受けた方に対しては介護保険サービスではなく介護予防を目的とした地域支援事業として利用することが可能です。

デイケアの対象者との違いは?

デイサービスとよく混同されやすいデイケアですが、デイケア(通所リハビリテーション)を利用する条件は医師からリハビリが必要だと判断され、要介護認定において要支援1~2、要介護1~5の認定を受けている全ての人が対象者となっています。64歳以下で特定疾病を抱えている方も対象です。

要支援の方の場合はやはり介護予防を目的とした介護予防通所リハビリテーションを利用することになります。

デイケアで受けられる機能訓練やリハビリは、デイサービスとは異なり必ずリハビリの専門職(作業療法士、言語聴覚士、理学療法士など)の資格を持った職員が指導員として個別で一人ひとりに合わせたプログラムを組み、指導やサポートを行うという特色があります。

デイサービスを利用する流れ

デイサービスの対象者に当てはまるのかどうかを確認するための流れをご紹介します。

1.要介護認定の申請

まずは住民登録をしている市区町村の窓口に要介護認定を受けるための申請を行います。その後、担当者が自宅に訪問して聞き取りや調査をし、主治医意見書をもとに1次判定が行われます。

その結果が出たら次に「介護認定審査会」で2次判定が行われ、要介護度の判定がなされます。

申請から認定まで目安として30日かかるため注意しましょう。

2.介護保険被保険証の交付

要介護認定にて要介護認定を受けたら、介護保険サービスを受けるための保険証の交付を受けます。

65歳以上の高齢者の場合は「第一号被保険者」、40歳以上65歳未満の特定疾病による認定の場合は「第二号被保険者」として受給することになります。

デイサービスを利用する料金は、利用する時間や回数によって異なるのですが、介護保険を適用することで1割(所得によっては~3割)の自己負担で利用することが可能です。(食費や事業所で使用した日用品は実費となります。)

3.ケアプランを作成

本人や家族の状況、希望を確認しながら、担当のケアマネジャーがケアプラン(介護サービス計画)を作成します。

この時、日常の困りごとや解決したい悩みがあれば相談しながら介護サービスの内容や週に何回、何時間利用するかといった頻度を決めていきますので是非お話ください。

要支援の方は地域包括支援センターで介護予防ケアマネジメントを行ってもらいます。

4.見学、一日無料体験に申し込む

契約する事業所を探す際はいくつか候補の事業所を選び、見学や無料の一日体験に申し込みましょう。

資料やホームページの情報だけでは分からないことが多く、実際に施設を見て肌で感じることはとても重要です。

職員や他の利用者の雰囲気、食事のメニュー、設備などをしっかりチェックして、疑問があったら前もって質問をし解消しておくといざ通う際に不安が軽減されるためおすすめです。

そして比較・検討して一番合っていると感じる事業所が決まったら、ケアマネジャーを通して契約の手続きを進めます。

認知症でもデイサービスは利用できる?認知症に特化した「認知症デイサービス」について解説します

デイサービスで提供される介護サービスは、その目的の中に認知機能の向上といった認知症の予防に対する取り組みも含まれています。

既に認知症を発症されている高齢者の方でも利用できるデイサービスもありますが、病状が進行していたり、BPSDと呼ばれる行動や心理症状が見られる場合には外出や人と会うことを嫌がったり、デイサービスへの通所が難しくなるケースもよく見られます。

しかし在宅で認知症の介護を行う家族にとっても身体や精神的な負担は大きく、出来れば日中の時間だけでもデイサービス等の介護施設へ通ってくれたら安心でしょう。

そこで今回の記事では、そんな認知症の方におすすめの認知症対応型通所介護である「認知症デイサービス」について解説します。

どうぞ最後までご覧ください。

認知症対応型通所介護「認知症デイサービス」とは?

認知症デイサービスとは、その名の通り認知症の患者さんを対象としたデイサービスのことで、認知症の症状がある要介護状態の高齢者の方に対し、日常生活のサポートや機能訓練を行います。

このような取り組みは、デイサービスの他に施設に入居して共同生活をするグループホームでも行われています。

一般的なデイサービスとの違いとしては、認知症の専門的なケアが受けられるという点でしょう。デイサービスの中には認知症に対応できない施設もあるため、このような認知症専門の施設があることはご家族にとっても心強いですよね。

認知症デイサービスの内容

サービスの内容は一般的なデイサービスとほぼ同じで、自宅と施設を事業所の車で送迎し、食事や入浴といった生活に必要な動作の介助、身体機能の維持、向上、改善を目指す機能訓練、職員やスタッフ、他の利用者と交流を通して心身へのさまざまな効果が期待できるレクリエーション等の活動が実施されます。

それに加えて認知症の方に特化した作業療法や体操、運動などを取り入れ、様々な介護サポートを提供します。

また、2006年に地域密着型サービスの中に位置付けられたことにより、地域と連携したサービスが提供されることも特徴となっています。

認知症の場合は特に新しい環境を拒絶する傾向が高いため、慣れ親しんだ地域で介護サービスを受けられることは大きなメリットと言えます。

認知症デイサービスの利用条件

認知症デイサービスの対象となる条件は、要介護認定において要介護1以上に認定され、認知症と診断されている方、更に通所する事業所が所在する市区町村に住んでいることです。

ただし自治体によっては、他の地区に住んでいる方も対象としている場合がありますので、希望の施設がある場合には確認をしてみて下さい。

要介護認定で要支援の認定となった場合には、「介護予防サービス」を利用することが可能で、その場合は「介護予防認知症対応通所介護」を実施しているデイサービスをご利用下さい。

認知症デイサービスの施設は3種類に分けられる

認知症デイサービスでは介護保険法により定員が”12名以下”と定められており、少人数制のためスタッフの目がよく行き届きコミュニケーションが取りやすい体制になっています。

また、施設には併設型、単独型、共用型という3種類に分けられ、それぞれの特徴は以下となります。人数や設備、雰囲気も異なりますので、利用者に合った施設を探す際の参考にされてみて下さい。

<併設型>

病院や特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などに併設されている施設

<単独型>

認知症デイサービス専用の施設

<共用型>

グループホーム内など共用スペースで介護が提供される

認知症デイサービスの職員

認知症デイサービスは認知症について精通したスタッフが揃っており、高度な知識を持った専門性の高いケアを受けることが出来ます。

特に管理者に関しては、都道府県が実施している「認知症対応型サービス事業管理者研修」を修了した者であることが義務付けられています。

通常のデイサービスではトラブルが発生してしまうような状況においても、認知症への理解が深く、利用者1人ひとりの状態や感情に合わせた適切な対応をしてもらえるため、本人はもちろん家族にとっても安心です。

認知症デイサービスの利用料金

皆様からの質問が多い認知症デイサービスの料金について紹介します。

認知症デイサービスは介護保険を利用した介護サービスになりますので、一般のデイサービスと同様に自己負担額は1割(所得によっては~3割)となっています。

また、こちらも同様に食費やおむつなど事業所の日用品を使用した場合、その費用は全額自己負担となります。

食費についてはだいたい一食あたり500円前後のところが多いですが、運営する事業所により異なりますので確認しましょう。

また、先にお伝えした認知症デイサービスの種類によっても料金は異なり、共用型ー併設型ー単独型の順番で料金が高くなる傾向にあります。

認知症デイサービスを選ぶポイント

認知症デイサービスを利用したいと思った時に、資料やホームページの案内だけで決めてしまうと、後から思っていたのと違ったと後悔する可能性もあります。

本人とご家族が納得して通うことが出来る施設を見つけるために、認知症デイサービスの選び方の流れを順に紹介していきす。

1.情報収集

インターネットや担当のケアマネジャーに相談し、通えるエリアにある認知症デイサービスの情報を集めましょう。

2.見学・一日体験に参加する

ほとんどのデイサービスでは見学や無料の一日体験を実施していますので、必ず参加しましょう。

実際に施設に行って、直接目で見て感じないと分からないことはたくさんあります。スタッフや他の利用者の雰囲気、対応、言葉遣い、衛生面、設備、食事のメニューなど、直接チェックすることが大切です。

3.比較して決める

出来れば複数の施設を見学または一日体験し、比較検討して決めることをおすすめします。

そこで決めた事業所とケアマネジャーを通して契約し、利用を開始することとなります。

不安なことや不明な点がある時は、遠慮なく事業者の窓口やケアマネジャーに相談するようにして下さいね。

この情報が皆様の介護サービス利用に役立ちますと幸いです。

デイサービスは何歳から利用可能?

デイサービスというと”介護が必要な高齢者の方が利用できる施設”というイメージが強いかと思いますが、具体的に何歳から利用が可能なのでしょうか。

そこで今回の記事では、デイサービスの利用にあたり設けられている様々な条件と、デイサービスを利用するために必要なこと、流れについて解説します。

最後までご覧いただき、利用を検討されている皆様に役立ちますと幸いです。

デイサービスの利用条件の基本は65歳以上の要介護者

「デイサービスは何歳から利用できるのか?」

その答えは、基本的に”65歳以上の高齢者”となってします。

65歳以上なら誰でも利用できるわけではなく、要介護認定を受けて要介護1~5の判定となった方がサービスの対象となっています。

また要支援1~2の認定を受けた方も、介護予防を目的としたサービスを受けることが出来るデイサービスの施設もあります。

要件を満たせば64歳以下でもデイサービスの利用は可能

以上のように、基本的にはデイサービスは65歳から利用することが可能ですが、特定疾病をお持ちの場合、40歳~64歳であっても利用することが出来ます。

特定疾病とは

特定疾病とは、心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病であって次のいずれの要件をも満たすものについて総合的に勘案し、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病である。

1.65歳以上の高齢者に多く発生しているが、40歳以上65歳未満の年齢層においても発生が認められる等、罹患率や有病率(類似の指標を含む。)等について加齢との関係が認められる疾病であって、その医学的概念を明確に定義できるもの。

2. 3~6ヶ月以上継続して要介護状態又は要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病。

<特定疾病の範囲>

特定疾病については、その範囲を明確にするとともに、介護保険制度における要介護認定の際の運用を容易にする観点から、個別疾病名を列記している。(介護保険法施行令第二条)

・がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)※

・関節リウマチ※

・筋萎縮性側索硬化症

・後縦靱帯骨化症

・骨折を伴う骨粗鬆症

・初老期における認知症

・進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病※

【パーキンソン病関連疾患】

・脊髄小脳変性症

・脊柱管狭窄症

・早老症

・多系統萎縮症※

・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症

・脳血管疾患

・閉塞性動脈硬化症

・慢性閉塞性肺疾患

・両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

(※印は平成18年4月に追加、見直しがなされたもの)

厚生労働省ホームページより引用)

デイサービスを利用する方法

デイサービスとは介護保険サービスの1つになります。

そのため、介護保険サービスを利用するための方法と主な流れについて紹介していきます。

1.要介護認定の申請

デイサービスを含め介護保険サービスを利用するためには、まず要介護認定を受けなければなりません。

以下の書類を揃えて、お住まいの市役所や区役所にある介護保険課や地域包括支援センターに介護認定を受ける申請を行います。

この申請は本人の家族が代理で届け出することも可能です。

<必要な書類>

・65歳以上の第1号被保険者:介護保険被保険者証、医師の意見書

・40歳以上~65歳未満の第2号被保険者:医療保険被保険者証、医師の意見書

※医師の意見書は申請をする自治体が担当医に作成を依頼するため、本人が行う必要はありません。主治医がいない場合は市区町村の指定医による診察が必要となります。

2.認定調査

介護保険サービスを利用するにあたり、市区町村などの調査員が自宅(または老人ホームなど居住している所)へ訪問し、本人の心身の状態を確認します。

3.判定

審査の判定には一次判定と二次判定とがあり、一次判定では全国一律の方法で認定調査の結果や意見書を元にコンピューターで判定を行います。

その後、二次判定では一次判定の結果と特記事項、医師の意見書を基に介護認定審査会においてどれくらいの介護が必要なのかを審査し、最終的な判定が行われます。

4.認定

介護認定審査会による判定を参考に、市区町村で要介護認定を行います。

要介護認定は、非該当、要支援1~2、要介護1~5と、それぞれの段階で細かく分かれています。

結果は郵送で受け取りますが、申請から認定の通知が出るまでおおよそ30日かかります。

また、この認定の有効期間は原則として6ヶ月、更新の申請は原則12ヶ月となっています。

5. ケアプランの作成

要介護認定を受けてデイサービスの利用を希望する場合は、担当のケアマネジャーにケアプランの作成をお願いします。

心身の状態を考慮し本人や家族の話を聞きながら作成していきますので、介護サービスに望むことや目標など、希望や苦手なことがある場合にはしっかりと伝えましょう。

なお、要支援1~2の方の場合はケアプランではなく、地域包括支援センターにて介護予防サービス計画書を作成してもらいます。

6.デイサービスの利用開始

上記で作成したプランに基づき、利用したい事業所を選定します。

事業所を選ぶ時の大きなポイントとして、事業所と契約をする前に必ず見学や1日体験を申し込み、候補となっている施設に直接行って食事の内容、職員やスタッフ、他の利用者の雰囲気、対応、設備、周辺の環境などをチェックし、本人がどう感じるか確認してから決めることをおすすめします。

心配な点や疑問があったら質問し、事前に解消しておくことが大切です。

幾つかを比較し費用などの確認も行い、ケアマネジャーにも相談をしながら1つを選び、利用を開始する契約を取り交わして実際に利用をスタートさせると安心です。

デイサービスで提供される主な介護サービスの内容

それではデイサービスの基本情報として概要の説明と、どのようなサービスが提供されているのかを紹介します。

デイサービスは通所介護、デイとも呼ばれる介護施設で基本的に日中の時間を過ごす場所です。

暮らしている家から事業所へ通い日常生活に必要な動作の支援を受けたり、個々の身体の状況に合わせ理学療法士や作業療法士による機能訓練を受けたり、レクリエーションへの参加を通して、利用者の孤立感の解消や心のケア、認知症の予防、認知・心身機能の維持、改善、そして介護を行っている家族の負担を軽減させサポートするといった目的で提供される介護支援事業です。

利用にかかる料金は介護保険が適用され、自分で負担するのは利用額の1割(収入の多い人は2~3割)となっています。食費や日用品を使った場合は実費が請求されますのでその点は注意しましょう。

<デイサービスで提供される主なサービス>

・事業所の車による送迎

・入浴、食事、トイレ等の生活に必要な動作の介助、介護

・機能訓練、リハビリ

・口腔機能向上サービス

・レクリエーション(脳トレ、ゲーム、体操、簡単な運動、季節のイベントなど)

デイサービス以外の介護保険サービス

介護保険サービスにはデイサービスの他にも種類があり、在宅したまま受けられるもの、通うもの、入居するもの等さまざまです。これらについても利用条件となる年齢はデイサービスと同様です。

認知症の方向けのグループホームや介護付きの有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、居宅介護支援など、サービスによって提供される内容や対象となる介護度、運営している事業所によって特徴も異なります。

人気のある施設は常に定員の数がいっぱいで、利用や入居まで長く待たなければならないケースもありますので、希望する場合はケアマネジャー等に情報を聞きながら探すとよいかと思います。

要介護5の人はデイサービスに週何回利用できるのか

「家族が要介護5と認定されたけど、要介護5とは具体的にどんな状態なの?」

「要介護5の人はデイサービスに週何回通えるの?」

要介護認定の中で最も介護度の高い要介護5とは一体どのような状態なのか、また、どのような介護サービスを利用することができるのかといった質問を耳にします。

そこで今回の記事では、要介護5とは?デイサービスや介護サービスを利用した場合の内容は?といった疑問について解説します。

ぜひ最後までご覧いただき、皆様に役立ちますと幸いです。

要介護5の認定基準と状態

要介護5とは、介護認定において最も重度な(介護が必要な)状態にあることを示します。

具体的には、食事やお風呂、トイレなどの日常生活の他に、掃除などの家事についても介助が必要で、寝返り、立ち上がること、歩行も1人で行うことは困難です。中には寝たきりの状況にいる方もいます。

要介護5は脳卒中や認知症が原因となっているケースが多く見られ、意思の疎通が難しくなったり理解力の低下や徘徊のリスクも懸念され注意が必要です。

要介護5が受けられる介護サービス

介護サービスには自宅に専門のスタッフが訪問してくれるもの、施設に通うもの、入居するもの等さまざまなタイプのサービスがあり、それぞれ利用できる条件が異なる場合があります。

それでは要介護5の認定を受けた方が受けることができる介護サービスは、どのような種類のものなのでしょうか。以下に一覧でご紹介します。

<要介護5で受けることが可能な介護サービス>

・訪問介護

・訪問看護

・訪問リハビリ

・訪問入浴

・定期巡回、随時対応型訪問介護看護

・夜間対応型訪問介護

・通所介護(デイサービス)

・通所リハビリ(デイケア)

・療養通所介護

・認知症対応型通所介護

・地域密着型通所介護

・短期入所生活介護(ショートステイ)

・短期入所療養介護

・特別養護老人ホーム(特養)

・特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)

・介護老人保健施設(老健)

・介護療養型医療施設

・介護医療院

・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

・地域密着型特定施設入居者生活介護

・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

・小規模多機能型居宅介護

・看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

・福祉用具貸与

・特定福祉用具販売

以上のように、要介護5の方を対象とした介護サービスは非常に多くあります。

要介護5はデイサービスに週何回通えるの?

要介護認定を受けられた方を対象に人気の「デイサービス」は、在宅しながら事業所の送迎で日中の時間に介護施設に通い、食事や入浴などの介助の他に、レクリエーションへの参加や機能訓練などのサービス提供を受けることが出来る介護保険サービスです。

デイサービスは高齢者が可能な限り自立した生活が送れるよう、本人の身体だけでなく認知機能の向上、精神面のケア、介護している家族の休養も目的に含まれています。

(要支援1、2の方の場合は「介護予防・日常生活支援操業事業」という制度により、定められた利用限度額の範囲内でデイサービスを利用することが可能となっています。)

「週何回利用することが可能なのか?」という点ですが、これは判定された要介護度によっても異なり、要介護5の方の場合はほぼ毎日利用することが可能です。

ただし、デイサービスの利用にかかる費用は1回あたりの利用料で計算されますので、利用する回数が多ければ多い程、その分の費用がかかることになります。

要介護に認定されると利用料の自己負担分は支給限度額の1割となりますが、月額の料金の目安を確認し、毎月の支払いが可能かどうか家族や担当のケアマネジャーとよく相談をした上で利用回数を決めることをおすすめします。

要介護5の区分支給限度額

上記で説明したように、介護度に応じて介護保険で受けることができる上限金額が決まっており、それを「区分支給限度額」と呼んでいます。

要介護5の支給限度額は約36万2千円。この金額は5段階ある要介護の中で最も高い額となっています。

そしてこの限度額のうちの1割(所得が高い方の場合は2~3割)を利用者が自己負担することになります。つまり、要介護5の方の場合は約3万6千円程度の自己負担になるということですね。この上限額を超えた分は全額自己負担で請求されますので、高額にならないよう注意しましょう。

また、限度額は地域によっても多少違いますので、こちらの詳細な情報もお住まいの自治体の窓口、または担当のケアマネージャーに確認して下さい。

介護認定を受けるには?

それではデイサービス等の介護サービスを利用する際に必要となる介護認定を受ける基本的な流れについても簡単にご紹介します。

1.お住まいの市区町村の窓口、または地域包括支援センターに要介護認定の申請を行う

2.調査員による訪問調査を受ける

3.主治医による意見書の作成を依頼する

4.介護認定審査会による判定、結果の通知

5.結果を受け取り、地域包括支援センターまたは居宅介護支援事業所へ連絡

6.ケアプランの作成

7.利用する事業所と契約し利用開始

大まかな流れは以上のような形になりますが、申請方法や必要な提出物など詳細については居住する各自治体でご確認下さい。

また、デイサービス等の事業者を探す際には、契約する前に必ず見学や1日体験を利用して実際に施設をチェックすることが大切です。可能であれば複数の施設を見て検討していただくと安心です。