デイサービス利用者の脱走で事故!?脱走した場合の対応や注意点は?脱走防止の対策はあるの?

デイサービス(通所介護)や老人ホーム等、介護施設で時々聞かれる「利用者の脱走」。家族にとっても非常に心配となる問題です。そこでこの記事では、実際に介護の現場で起こっている脱走の原因や介護施設でとるべき対応や注意点、脱走防止の対策についてご紹介します。

利用者が介護施設から脱走する原因とは?

脱走を防止するためにも、まずはどんな理由から利用者の方は脱走してしまうのかを考えていきましょう。

認知症患者の方の徘徊行動

最も多いケースが認知症の方の徘徊によるものです。自宅ではなく馴染みのない場所(この場合はデイサービスや老人ホームなどの介護施設)では強い不安や違和感、居心地の悪さを感じ、安心できる場所(自宅や子供の頃に過ごした学校、公園等)に戻ろうとする気持ちから起こる行動だと言われています。

そして認知症の方の脱走は思わぬ事故や事件に巻き込まれる可能性が高い為、特に注意が必要です。

実際に交通事故や行方不明による死亡事故は発生しており、遺族からの訴訟で施設側の責任として賠償命令がくだった事例もあります。

職員は「少し目を離してしまった。」という油断が、利用者の命に関わる可能性があることを常に心に留めておく必要があります。

また、捜索中に発見できた場合も静止しようとすればするほど力づくで何としてでもその場から出ていこうとしてしまう為、無理に押さえつけずに”一緒に行きますよ”という体で一緒に歩き、ある程度落ち着いてきたら施設に戻るよう誘導することが大切です。

利用拒否の気持ちがある

認知症の方でなくても、デイサービスや介護施設の利用を嫌がる高齢者の方もいます。

しかし介護環境や家族の事情によりどうしても施設を利用しなければならないこともあり、そういった場合に外へ脱走してしまうケースが起こりやすいです。

利用を嫌がる理由にも様々あり、馴染みのない場所に行くことへの不安、自宅にいたい、施設での人間関係がうまくいかない、他人に介護されることの嫌悪や申し訳なさ等多岐に渡ります。

そういった利用者の方の気持ちを無視して無理に滞在させることで、「早く帰りたい、ここから離れたい。」という気持ちが強くなり脱走という行動に繋がってしまいます。

利用者の方が「帰りたい」と呟いていたり、そのような素振りをしている場合には、いつも以上に注意して目を離さないよう見守ることが大切です。

介護施設から脱走者が出た時の対応方法は?

それでは実際に脱走者が出てしまった時にとるべき対応とはどのようなものがあるのでしょうか?

まずは捜索と関係者への連絡を

全職員に脱走を知らせ、施設内と施設外の捜索にすぐにうつります。他の利用者に対応する職員ももちろん残す必要がありますから、事前に脱走時のマニュアルや人員配置はしっかり決めておきましょう。

また、職員の数が足りていない場合は休日中の職員や地域の方々などに迅速に捜索の協力を仰ぐことも重要です。

警察へ通報する

突然のことでどうしたら良いのか分からない、大事にしたくないといった気持ちや、責任問題を回避する為に通報が遅れるケースもあります。

しかし職員での捜索で見つけることが出来なかった場合は事故や事件に巻き込まれる可能性が高まるため速やかに警察へ通報する必要性があります。

施設の環境や職員の数などでも変わってきますが、どの段階になったら警察へ通報するのかといったことも事前にしっかりマニュアル化しておきましょう。

介護施設からの脱走を防止する対策とは?

脱走を防ぐためにできることはなんでしょうか?今すぐできる基本的な対策をご紹介します。

施設の出入口のセキュリティ

当然ながら施設のすべての出入口を確認し、セキュリティを強化することが必要です。人が抜けられる大きさの窓があれば、格子を立てる等の対策も重要です。

ただし完全に施錠をするような形をとってしまうとまるで施設の中で監禁のようになってしまい、利用者の方の自由な行動が妨げられ、精神的にも不安を煽ってしまいます。

そのため、職員がしっかり利用者を見守れる体制作りや、出入口にセンサーを取り付けるなどの対策を行うことが大切です。

近隣地域との協力関係

地域の皆さん、特に近隣住人やお店の方々と両行な関係を作っておくことも対策として非常に重要です。

脱走者が出た際、職員だけでは捜索の手が足りない場合が多く、地域の方々の協力が得られることで早く見つけられる可能性はぐんと高まります。

普段から地域と気持ちよく交流できるようなイベントなどを企画するのも良いでしょう。

精神的ケア

認知症の方や利用拒否の利用者の方がどのような不安を感じているのかを知り、どうしたら不安を和らげられるのかを検討し実施することは、脱走防止に繋がるだけでなく気持ちよく介護施設を利用できるようになるという効果も期待できます。

ご家族とも相談しながら利用時間を短くしたり、利用者が楽しめるような企画を行ったり、状況に応じて利用者に何か役割を作ることで施設での居場所を作り、有意義な時間に感じてもらえる場合もあります。

デイサービスや老人ホームではどのような行事やレクを行うの?その目的や効果と合わせて解説します。

デイサービス等の介護の施設では年間を通して季節の行事やレクリエーションが行われています。これらは単なる楽しいサービスというだけではなく、利用者の体の機能を向上させる等の目的があるようです。この記事では、具体的にどのような目的や効果があるのか代表的なものを紹介します。

デイサービスや老人ホームの行事、レクリエーションの種類

デイサービスや老人ホーム等の介護の現場では、季節に応じた行事やレクリエーションが実施されています。

それでは実際にどのような行事やレクのイベントが日々行われているのでしょうか?一般的に多くの施設で実施されている人気のイベントをご紹介していきます。

これからデイサービスを探すという方は、情報を集める際にぜひどのような行事が行われているのかも合わせて探されることをおすすめします。

施設や地域によって違いはあるので、行事はみんな楽しんで運営されているか、外出するイベントはあるのか、どのような流れでレクの時間を過ごすのか、雰囲気はどうか?等、心配な場合は相談してみてくださいね。

デイサービスの年間行事(春)

・ひな祭り

・お花見

・端午の節句

・春のお散歩

デイサービスの年間行事(夏)

・流しそうめん

・七夕短冊作り

・夏祭り

・花火

デイサービスの年間行事(秋)

・敬老会

・お月見

・お彼岸

・運動会

・紅葉を見るお散歩

デイサービスの年間行事(冬)

・クリスマス会

・施設内の歌合戦

・お正月のしめ縄作り

・書き初め

・節分

・バレンタイン

レクリエーション

季節による行事の他にも、デイサービスや老人ホームでは日常的にレクリエーションが実施されています。

定番のレクリエーションの内容は、大きく分けて以下の5つに分けられます。

・体操やボールを使った運動、お手玉等の”身体を動かすレク”

・オセロやなぞなぞ、しりとりやクロスワードパズル等を使った”頭を使うレク”

・折り紙や塗り絵、手芸、書道等の”指先を使うレク”

・合唱や輪唱、簡単な打楽器の演奏等の”音楽のレク”

・近隣の幼稚園の園児や小中学校の児童、犬や猫等の動物と触れ合う”交流のレク”

利用する高齢者の皆さんが飽きずに楽しめるよう、それぞれの施設で趣向凝らしたさまざまなレクを企画、実施しています。

行事、レクリエーションを行う目的と効果

このように多くの行事やレクが行われており、利用者の方が楽しんで参加されています。

それではこれらの行事やレクリエーションはどのような目的で行われ、そしてどのような効果が期待できるのでしょうか?

季節を感じるため

日本には四季があり、その季節にしか見れないこと、できないこと、そしてその季節だからこそ楽しめること、感じられることがあります。

日本人は、季節を感じることで記憶や思い出を心に残し、時が過ぎること、成長することを感じながら生きてきました。

季節の行事をデイや老人ホームのスタッフ、利用者達と楽しみ過ごすことで、慌ただしい生活や外に出ず人と接しない生活では得られない心の豊かさや時間を感じ、またその季節が巡ってきた時に

「ああ、またこの季節がきたな。昨年の今頃は、こんなことをしていたな。」

という思い出が蘇ったり、若かりし頃の自分や家族、友人を思い出すきっかけとなり、その人の人生を豊かにする大きな要素となるのです。

コミュニケーションを図るため

体力が衰えることで気力も弱まると、外へ出ることや人と交流することが億劫となっていきます。

すると家へ引きこもりがちになり、より体力が減少したり、うつ病を引き起こしたり、認知症の原因の一つとなったりもします。

デイサービスや老人ホームでの行事やレクリエーションへ参加することは、人との交流、つながりによって楽しさや安心を感じてもらい、活動する気力高めるという大切な目的もあります。

他者とコミュニケーションを図ることは、生きる上で重要なポイントなのです。

リハビリ効果を得るため

指先を使って工作を行ったり頭や体を使ったゲームを取り入れることで、楽しみながら身体や脳の機能を向上させたり、元気を維持するためのリハビリ効果を得ることも行事やレクの大きな目的となります。

なかなか家では行う機会がないでしょうから、参加する利用者の皆さんも久しぶりの工作やゲームに夢中になって楽しむ方が多いようです。

もちろん、集中力や考える力も高める効果もあります。

脳の活性のため

春のお花見、夏の眩しい日差し、秋の紅葉、冬の澄んだ空気等、その季節にしか見られない美しい風景を見ること感じること、人と何かを作りあげたり行うことで心が感動することというのは、脳の刺激し活性させる素晴らしい充実した体験となります。

認知症の方も含め、このような脳の刺激により精神的な安定や心の病気の予防といった観点でも大きな効果を期待できます。

自信をつけるため

行事を行う前には、事前に行事で飾る装飾品を作ったり、みんなで食べるおやつを作ったり、ゲームで使う小物を作ったりと、職員だけでなく利用者の方も能力に合わせて可能な範囲で役割を担って一緒に準備をすることがあります。

「こういう風にしたら良いんじゃないか?」と一緒に方法を考えたり、提案したりすることもあるかも知れません。

このように”任されること””必要とされること”というのは、歳を重ねるごとに失ってしまいがちな自尊心を取り戻し、自分に自信を持つきっかけになります。

「期待に応えたい!」と意欲も高まりますし、できた時には達成感も得られ、心の健康に大きく影響するはずです。

介護不要の元気な人でもデイサービスに行けるの?デイサービスで元気になるサービスとは?

デイサービス(通所介護)は元気な人でも行けるのでしょうか?デイサービスには介護認定が必要です。条件となる介護度や、デイサービスに通うことで元気になる理由、提供される様々なサービスについて解説します。

デイサービス(通所介護)の利用条件とは?

「1日家に引きこもりがちで元気がなくなってきた。」あるいは「元気だからこそ他の人と交流したい!」

等といった理由から、心配した家族や、自分からデイサービスに興味を持つ高齢者の方も少なくありません。

しかし、デイサービスは福祉センターや老人会等とは異なり”介護保険サービス”の施設であるため、誰でも自由に利用できる施設ではありません。

利用するには”利用条件”が設けられています。

基本的には要支援1~要介護5までの認定が必要で、その後、担当するケアマネジャー(介護支援専門員)からケアプランと呼ばれる計画を作成してもらい、ケアマネジャーからデイサービスの事業所に申し込みを行って、最終的に契約が完了するとようやく利用を開始できることになります。

要支援、要介護認定を受けるには、お住まいの地域にある介護保険課に申請をしましょう。

食事や入浴など、日常的な生活での介助が必要のないもっとも軽度な要支援1の方でも、生活機能の維持や向上を目的としてデイサービスに通所することは可能ですので、自分の現在の状態を知るためにも認定を受けることはおすすめです。

デイサービスへの抵抗感

「元気だけれどデイサービスに行きたい」という方とは逆に、「デイサービスに行きたくない」という人もいらっしゃいます。

例えば認知症の方ですと、大人数が集まる場所に行ったり、人と接することを拒む場合が多い傾向にあります。

また、介護や介助、支援を家族以外の人、施設の職員、スタッフに受けることに抵抗感を持つ人もいらっしゃいます。

体操やレクリエーション、他の人と交流するのが苦手、という場合もあるでしょう。

後ほどご紹介しますが、現在デイサービスでは施設によって様々なサービスの提供や取り組みが行われています。

最初は抵抗感があったけれど、実際にデイサービスを利用するようになってからリハビリ等の自立支援により身体の機能があがってできることが増えて自信がついたり、様々な人との交流によって笑顔が増え、心身の健康や症状悪化の予防にも効果があらわれたりする方も多いのです。

というわけで、次にデイサービスに行ったら元気になった人達の具体的な理由をご紹介します。

デイサービスに行ったら元気になった?

自分に合った施設に通うことで元気を取り戻した高齢者が少なくありません。

家族には逆に気を使ってしまうという方も多いですので、デイサービスの専門の介護スタッフなら安心してお願いや相談がしやすく、食事や入浴といった生活の中で大切な時間に満足できるようになるのはとても大きいことです。

また、スタッフは勿論、他の利用者とのおしゃべりや交流というのは、自宅に引きこもっていては得られない時間です。

機能訓練などのリハビリテーションも理解ある優しいスタッフと一緒なら楽しみながら頑張れたり、レクリエーションを通して利用者の皆さんと楽しく充実した時間を過ごすことも自分の元気の源となるでしょう。

そして利用者本人だけではなく、介護をする側の家族も心身の負担が減って元気になるという効果もあります。

介護疲れの予防のためにも、デイサービスに通所することは重要かも知れません。

もちろん、利用者の状態によってデイサービスの効果というのは大きく違うものだと思います。

デイサービスに通うことで逆に元気がなくなってきている等、心身への負担になっている場合もありますので、そういう時は様子を見ながらお休みしてみることも必要です。

元気になれるデイサービスの様々な取り組み

先にあげたデイサービスに抵抗感を持ちやすい認知症の方に向けた少人数での介護サービスや、温泉に入浴できる施設、料理や陶芸、麻雀やカラオケなどの利用者の趣味や好みで選べる特徴あるプログラムが用意された施設等、幅広い種類のデイサービスがあります。

”デイサービスは介護を受けるところ、レクリエーションも面白くないものばかり。”といったイメージを持っている方も多いと思いますが、最近はこのように高齢者の方が楽しく通えるよう趣向を凝らしたサービスを提供し運営している事業所も増えています。

「どこでも同じ。どこでも良い。」ではなく、せっかく行くのなら通える地域で楽しそうな取り組みを行っているデイサービスであれば、より元気になれそうな希望が持てそうですよね。

そしてこのようなサービス内容だけではなく、そこで働く職員、スタッフ、利用者の雰囲気というのも通う上で大変重要な要素になります。

デイサービスを探す時は、知識を持ったケアマネージャーが紹介してくれる施設以外にも、ホームページや事業所のパンフレット資料等で情報を集めてみて、気になる施設があったら見学や無料体験等を利用してみてスタッフの対応や施設の雰囲気を事前に感じてみることをおすすめします。

介護施設とは?公的、民間の事業別で施設の特徴や支援内容等をご紹介

介護施設には様々な種類があります。公的、民間の事業もあり介護度等も細かく分かれているので、どれがどのような施設なのか分かりにくいものです。ここでは代表的な介護施設の種類とそれぞれの特徴や支援について紹介します。

介護施設とは何か

私たちがよく見聞きする「老人ホーム」という言葉ですが、実際には高齢者を対象とした介護施設には様々な種類があります。

介護施設を探す時、インターネットのサイトで検索するとあまりにたくさんの情報が出てきて驚かれる方もいらっしゃいます。

主に介護保険施設である公的施設と、民間の事業で運営される有料老人ホームに分けられますが、そこにもいくつか種類分けされ、それぞれに入居する条件や介護サービスの内容、特徴に違いがあります。

また、”介護”施設と言うものの、自立支援を推進していたり、自立状態の方を対象としている施設もあります。

一見分かりにくいこれらの違いや特徴について、代表的な介護施設を例に一覧をご紹介していきます。

必要なより詳しい情報については各事業所の代表電話番号に問い合わせをしたり、資料を請求したり、地域の福祉の職員等に相談をしてみて下さい。

対応する施設を紹介、案内してもらえる機会があればぜひ利用してみましょう。

 

介護施設の種類(公的施設)

公的に運営されている所謂”介護保険施設”の特徴として一番にあげられるのは、民間の施設と比べて費用が安いという点です。

国、地方自治体、社会福祉法人等によって運営されており、国の補助金で設立されているためです。

 

特別養護老人ホーム

対象:介護の必要な高齢者

介護度:要介護3~要介護5

認知症の受け入れ:可

看取り:施設による

費用:月額費用は6~15万円前後(初期費用不要)

身体介護(入浴、食事、排泄等の介助)や日常の生活支援(洗濯、清掃等)、機能訓練やリハビリ等の健康管理、そしてレクリエーションなどの介護サービスを受けながら暮らす施設です。

注意したい点は、人気が高く待機者が非常に多いため一般的に入居まで数か月~数年待ちになることがほとんどです。

入所は申し込み順ではなく、家族の状況や環境なども含めて考慮され緊急の度合いが高い方が優先となります。

また、夜間に看護師がいる義務がないため、夜間の医療ケアが必要な方は入居不可となる場合があります。

 

介護老人保健施設(老健)

対象:介護の必要な高齢者 ※自立支援を目的とした短期の医療施設

介護度:要介護1~要介護5

認知症の受け入れ:可

看取り:施設による

費用:月額費用は4人部屋で10万円前後、個室や2人部屋は特別室料が加算(初期費用不要)

病院を退院後すぐに自宅での生活が難しい高齢者の方を対象としており、医師、看護師、理学療法士などによるリハビリや栄養管理、食事、入浴などの支援を受けながら在宅復帰を目指す施設です。

そのため、入居期間は原則3~6か月。3か月ごとに状態をみて入居期間や退去の判定が実施されます。

 

介護療養型医療施設

対象:医学的管理が必要な高齢者

介護度:要介護1~要介護5

認知症の受け入れ:可

看取り:可

費用:月額費用は4人部屋で10~20万円前後、個室は特別室料が加算(初期費用不要)

入浴、食事、排泄などの身体介護の他に、医師や看護師による医療的管理や理学療法士などによるリハビリテーション等、本格的な医療ケアが提供されています。

療養がメインなので、レクリエーションや生活支援といったサービスは少なめです。

医療機関として入居者100人に対して医師が3人配置されるため、医療的なサポートが充実していることが特徴です。

 

軽費老人ホーム(ケアハウス)

対象:60歳以上で自宅での自立生活に不安があり家族の援助を受けられない方

介護度:自立~要介護3程度

認知症の受け入れ:軽度可

看取り:不可

費用:低料金

身の回りのことを自分ですることができるものの、自立した生活を送る不安があるという人が、比較的低価格で入居することができる施設です。かつては、収入が少なく家族との生活が困難な60歳以上を対象としたa型、自炊できる健康状態でありながら家庭事情により自宅で生活をすることができない60歳以上を対象としたb型、高齢のため独立した生活を送ることが不安で家族の援助を受けることができない60歳以上が入居できるケアハウスの3タイプに別れていましたが、2008年以降はケアハウスに統一されています。

 

介護施設の種類(民間施設)

民間の事業者や医療法人によって運営されている施設です。施設や事業所によって幅広いサービスが提供されているのが特徴で、その内容や費用も様々です。ご自身が受けたいと思うサービスに合わせて選ぶことができます。

介護付き有料老人ホーム

対象:施設によって様々

介護度:自立~要介護5

認知症の受け入れ:可

看取り:施設による

費用:施設による

職員の勤務体制や設備、人員数など様々な基準を満たし各都道府県から指定をされている高齢者向け居住施設です。スタッフが24時間体制で常駐しているのがポイントで、身体介護や生活援助、健康相談やリハビリ、レクリエーション等、施設によって提供されるサービス内容の幅が広く費用も様々です。

入居条件も様々で、要介護認定を受けた高齢者以外にも特定疾病等にかかっている40歳以上の方でも可能な場合があります。

 

住宅型有料老人ホーム

対象:施設によって様々

介護度:自立~要介護5

認知症の受け入れ:軽度可

看取り:施設による

費用:施設による

自立~要介護まで幅広い方が受け入れ対象となっている場合が多く、サービス内容は生活支援サービス、医療機関と提携での健康管理がメインとなります。

特定施設入居者介護の指定を受けていないので、介護が必要になると訪問介護や通所介護等の外部の居宅サービス事業者と個別に契約を結び介護サービスを受ける必要があります。

 

グループホーム

対象:認知症と診断された高齢者

介護度:要支援2~要介護5

認知症の受け入れ:可

看取り:不可

費用:施設による。保証金が必要な場合もある。

5〜9人の認知症患者を1グループとする少人数で、専門の職員による介護サービスや機能訓練を受けながら共同生活を送る施設です。

それぞれの状態に応じて料理や掃除などの家事などの役割分担もあります。

家庭的な雰囲気のある環境であるのが特徴で、これにより精神的な安定や認知症の進行を遅らせたり症状を緩和させる目的があります。

注意点としては、症状の悪化により医療ケアや介護の負担が大きくなると退去しなければならなくなる場合があります。

 

サービス付き高齢者住宅

対象:60歳以上の方

介護度:自立~要介護3程度

認知症の受け入れ:軽度可

看取り:不可

費用:条件により様々。初期費用あり。月額費用は5~25万円程

バリアフリー構造の賃貸住宅で、一人暮らしや夫婦での暮らしで不安がある方から比較的軽介護度の方におすすめです。

施設によりますが、特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設であれば、介護が必要になった時にスタッフから介護や生活支援のサポートを受けることができます。

多くの場合、重介護の場合の対応も相談可能です。

 

健康型有料老人ホーム

対象:自立状態の高齢者

介護度:自立のみ

認知症の受け入れ:不可

看取り:不可

費用:初期費用は数千万、月額費用は15~50万円程

健康型という名前通り、自立状態の高齢者の方が対象の食事サービス付き施設になります。

スポーツジム等の健康維持を目的とした設備があり、バリアフリー構造でバスやキッチンもついています。

自立のみなので要介護となった際には退去の必要がありますが、介護可能な施設が近くにあるケースも多いです。

 

「できることは自分でやろう。」デイサービス(通所介護)の目的と役割とは?様々なサービスの種類とその特徴なども解説します。

ますます高齢化社会が進む日本。高齢者の自宅への引きこもりや、在宅介護での介護疲れによる家族の負担など、様々な問題を抱えています。高齢者の自立が大きな課題である今、注目されているのが介護保険サービスである通所介護、通称「デイサービス」です。この記事ではデイサービスの役割や種類、それぞれでできることについて解説します。

デイサービス(通所介護)の目的と基本的な役割

デイサービス(通所介護)とは厚生労働省によると、「利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的として実施する。」と書かれています。

具体的には食事や入浴といった日常生活における必要な支援や、生活機能を向上させるための機能訓練や口腔機能向上サービス、レクリエーションなどの高齢者同士の交流やグループ活動などを”日帰り”で提供し、利用者の自宅から施設までの送迎も行われます。

いわゆるQOL(クオリティオブライフ)の向上を目指す高齢者向けのサービスとなっており、施設には介護職員のほかに看護師、理学療法士、生活相談員、機能訓練指導員などのスタッフがいます。

基本的には国が介護保険を利用して要介護の方を支援、サポートが行われますが、各自治体によって要介護認定を持たない高齢者や要支援者に対しても介護予防を目的としてデイサービスが取り組まれています。

ただし、介護度によって料金が変わったり要介護者でしか受けられないサービスがあったり施設や事業所によって送迎可能な範囲も違います。

施設の規模なども様々ですので、利用を検討している場合には、お住まいの市区町村や地域、エリアの施設にサービス内容や費用などの情報を確認し、説明を受けたり資料をもらいましょう。

デイサービスの必要性

自宅で引きこもりがちになってしまう高齢者の方は、気力を奪われてしまったり耐えがたい孤立感を抱えてしまいます。このような周囲が気づきにくい社会的孤立である状況は深刻な問題です。

デイサービスでは職員や他の利用者といった他者と交流する機会が生まれることによってふたたび社会との繋がりを感じ、新たな環境から得られる刺激、そして楽しみや喜び、希望という感情は生きる力にも変わる大きな糧となるでしょう。

レクリエーションでは、例としてカラオケや麻雀等を楽しんだり、パソコンを教えてもらえる等様々なプログラムを用意した施設も増えており、新たな趣味を見つけることもできるかも知れません。

デイサービスで受ける自立支援により、できないと思っていたことがどうしたらできるようになるのかといった方法を知り、自分でできることも増えます。これは本人の自信にも変わりますし、生活の中で目標を持つきっかけにもなるでしょう。

また、家族にはあまり話せないような不安や悩みを相談する機会が得られるということも重要な点です。

一方で、外出をして自宅から離れデイサービスに通われている時間というのは、介護者の方の蓄積された身体的、精神的負担やストレスを軽減したりリフレッシュするためにも非常に大切な時間となります。

一人では車の運転ができず外に出ることができないという人にとっても、デイサービスは家への送迎つきですので安心です。

これだけではありませんが、以上のことから介護する側される側、双方にとってデイサービスで得られるメリットは大きく、良好な関係性の維持や自宅で過ごす時間を有意義なものへと変える効果も期待できます。

デイサービスの種類

一般的なデイサービスでは、上記であげたサービス内容で9時~17時までの1日型(7時間~8時間)が基本となっています。老人ホームなどのような入居をするものではありません。

しかし最近はこのような基本サービスのほかにも、施設によって様々な趣向を凝らしたサービスが用意されているところが増えています。

その中でもよくあるサービスをいくつかご紹介しますので、選び方の参考になればうれしいです。

利用可能範囲の施設ではどのようなサービスが行われているのか確認してみてくださいね。不安な場合はまずは見学や短時間の体験を利用して1日の流れや雰囲気などを見てみると良いでしょう。

認知症対応型デイサービス

認知症の方は感情が昂ってしまったり、大人数の中で時間を過ごすことが苦手だったりしてデイサービスに通所することが嫌だと感じる方が少なくありません。

そこで認知症の方を対象としているのが認知症対応型デイサービスです。

主なサービス内容は一般的なものと変わりませんが、定員が少なめに設定されているので介護職員からより手厚くサポートを受けることができます。

リハビリ特化型(機能訓練型)デイサービス

体力に不安を感じている方や健康のためにトレーニングしたい方、病院で十分にリハビリが受けらないと感じている方におすすめしたいのがリハビリ特化型のデイサービスです。

ここではプールやマシントレーニング、体操やエクササイズなどを短時間行ったり、理学療法士や作業療法士などの機能訓練士による専門的な運動療法やリハビリテーションが行われます。

基本的には入浴や食事といったサービスはなく機能訓練に特化しており、目安として3時間~5時間ほどの半日型デイサービスとなります。

短時間型(半日型)デイサービス

「長時間はいや…。短時間だけ利用したい。」という方や「食事の介助はいらない。お風呂だけサポートが欲しい」など、午前や午後の3~4時間程利用したいという方に向けたサービスです。

半日型デイサービスという名前でリハビリ特化型(機能訓練型)デイサービスと同じように、リハビリなどの機能訓練を行う施設もあります。

昼食は出ない場合が多いです。施設によって取り組み内容は様々ですので、事前に利用予定の施設に問い合わせすることをおすすめします。

お泊り(宿泊)デイサービス

日帰りでのサービスが基本となるデイサービスですが、お泊り(宿泊)サービスを行っている施設もあります。

日中に通常の1日型デイサービスを利用し、そのまま利用者が宿泊できるサービスとなります。

同居している家族が用事があって夜間不在となり一人で過ごすことが不安であったり、介護者の疲労軽減などのために利用されます。

ただし、日中のデイサービスは介護保険で利用可能ですが宿泊は介護保険の対象外となっており、自費での利用となるためご注意ください。

金額は施設によっても変わりますが、一般的には一泊5,000円前後の場合が多いようです。

療養型デイサービス

難病やガン末期患者の方など、重度要介護者を対象とした医療的ケアのあるデイサービスです。

看護師によるサポートを受けることができるため、デイサービスに通うことをあきらめていた方にも安心して利用していただくことが可能です。

朝から夕方まで1日型のサービス時間となります。