生活保護でもデイサービスを利用できる?利用する場合の自己負担額についても解説します

デイサービスを利用したいけれど、生活保護を受給していても通えるの?」

生活保護を受けていても介護保険サービスを利用することができるのか、利用する場合は負担額はいくら請求されるのか、と心配や不安を抱えている高齢者の方もいらっしゃると思います。

超高齢化社会である現在の日本では様々な状況の高齢者が暮らしており、介護サービスを必要としている生活保護受給者の方ももちろんいらっしゃるでしょう。

そこで今回の記事では、生活保護の受給者でもデイサービスや介護サービスを利用することは可能か、介護保険料はどれくらいなのか等、生活保護に関連する情報について解説いたします。

ぜひ最後までご覧いただき、参考にしていただければ幸いです。

生活保護制度について

まずは生活保護の制度と目的について簡単に説明します。

生活保護とは、さまざまな理由により経済的に生活することが難しい、お金に困窮している方に対し、最低限の健康で文化的な生活が送れるよう支援を行っている国の制度です。

支給される生活費は程度によって変わり、生活保護法に定められています。

生活保護で扶助されるものは、主に「生活扶助・住宅扶助・教育扶助・医療扶助・介護扶助・生業扶助・出産扶助・葬祭扶助」の8種類となっており、この他に災害等をによって生じた修繕費などに対しても扶助を受けることが可能です。

ちなみに生活扶助には「食料費・被服費・燃料費・水道料・家具什器費」などの一般生活費が含まれます。

日本の高齢者の生活保護事情

日本の生活保護の現状として厚生労働省が記載しているデータを見てみると、2022年時点で生活保護を受けている高齢者は全体の世帯の内55.8%を占めており、半分を超える割合となっています。

その理由として、年金が支給される年齢の引き上げや、給付の基準が低下していることは大きいでしょう。かつての日本とは異なり、年金だけで生活をすることが難しい現実を表しています。

そのため再就職をしようと探してみても、高齢であることで就労の機会は減り、収入を得たくても働くことができないというやむを得ない事情を抱えてしまいます。

生活保護受給者はデイサービスを利用できるのか?

それでは本題である「生活保護を受けていてもデイサービスなどの介護サービスを利用することは可能なのか?」ですが、答えは「利用可能」です。

一般的に40歳以上の方は介護保険料を納める義務があり、それにより介護サービスを受けることが出来るため生活保護の受給は問題になりません。

その介護保険料については生活保護の中の「生活扶助」から賄われており、介護保険サービスを受けた際にかかる自己負担額については「介護扶助」から賄われます。

※利用する介護サービスの内容によっては、自己負担額の一部を利用者ご自身で支払う必要があるケースもあります。

生活保護受給者の自己負担額について

介護サービスを利用した時の自己負担額は基本的に1割(所得が高い場合は1~3割)ですが、生活保護受給者で支払いが困難な場合には「介護扶助」によって賄われます。

しかしその場合、利用できるサービスは市区町村の生活保護課によって設けられた要件を元に必要と認められた介護保険サービスに限定されるので、その点は注意しましょう。

希望するサービスをすべて自己負担なしに利用できる訳ではなく、デイサービスの利用を希望した際にケアマネージャーにより作成されたケアプランの内容の分の自己負担額が免除される仕組みです。

生活保護受給者の年齢別自己負担額の違い

介護サービス費や介護保険料は、年齢と生活保護の受給有無、地域に応じ異なります。

生活保護を受けている65歳以上であれば、介護保険は「生活扶助」から納付され、「介護扶助」で自己負担分の1割が賄われます。

また、生活保護を受けている40~64歳の方は「みなし2号」となり、「介護扶助」にて全額が賄われます。40歳~64歳で生活保護を受給すると国民健康保険から抜けることになり、被保険者ではなくなります。そして実際に病気やケガなどで治療が発生した時には医療保険ではなく「医療扶助」から全額賄ってもらえるのです。

このように、生活保護を受けている方は自分で介護保険料を支払わなくても介護サービスを受けることが出来るのです。

生活保護受給者がデイサービスを利用する方法

デイサービス(通所介護)は、要支援、要介護認定を受けた65歳以上の高齢者が、在宅しながら施設の送迎を利用して日中日帰りで施設に通い、施設の職員から食事や入浴などの日常生活に必要なサポートや、レクリエーションの実施、機能訓練やリハビリなどを通して認知症の予防として認知機能の維持、向上や、自立した生活を送れるよう介護予防を受けられるサービスです。

利用時間や方針、提供されるサービスの内容は事業所ごとに異なるので、利用の申請をする前に確認や見学を行うようにしましょう。

生活保護受給者のデイサービス利用料金

デイサービスの利用料は、要介護度と利用時間によって適用が区分されており、相場として1割の自己負担の場合は1日あたり1,500円前後の金額となっています。

生活保護受給者の場合はこの費用が生活扶助から賄われるわけです。

生活保護で入居できる介護施設

生活保護を受給していてもデイサービスの利用は可能であるとお伝えしましたが、それでは老人ホームのように入居するタイプの介護施設はどうなのでしょうか。

答えとしては、「条件によって入居することは可能」です。

生活保護でも入居できる老人ホームは、主に「特別養護老人ホーム(特養)」と「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」と呼ばれる施設です。

それぞれの特徴を紹介します。

特別養護老人ホーム(特養)

特養は各自治体や社会福祉法人が運営している公的施設となっており、介護度が高い方や生活困窮者を対象としています。

費用が安く非常に人気が高いので、多くの場合入居を希望しても待機となるケースがほとんどでしょう。そのため、希望する場合は早めに申し込みの手続きをすることがおすすめです。

有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

有料老人ホームやサ高住は民間企業が運営する施設で、特養と比較して費用が高くなります。しかしその分、サービス内容や設備が充実していることが特徴です。

費用が高いとなると生活保護では入居できないのではと思われがちですが、家賃や食費、医療費、雑費などについてはそれぞれ生活保護費の中から賄える場合が多いのです。

ただし生活保護者の受け入れ数に限りがある施設が多いので、空きがあるのか確認する必要があります。

いずれにせよ入居を希望するなら費用や本人の健康面の状態の確認、各種手続き等がありますので、担当のケアマネジャーやケースワーカーに相談をしてから入所を決定するようにして下さい。

まとめ

上記のように、生活保護を受けていてもデイサービスの利用や介護施設への入居は可能ですが、利用内容や受入数には限度がありますのでこれらのサービスの利用を希望する際にはケアマネジャーやケースワーカーに相談し検討するようにして下さい。

また、利用可能な施設を探す際や申し込みの流れなどについても同じく担当の窓口で確認し、サポートを受けましょう。

おそらくご自身や家族の老後の心配をされている方は多いかと思います。今は大丈夫でも、この先どうなるか誰も分かりません。

もし、将来自分も生活保護を受給しなければならない状況になった時には、生活保護費で介護サービスを利用できることを知っておくと心強いのではないでしょうか。

生活保護を受けていることでそのようなサービスを受けることに躊躇しやすく、相談しずらいという声もありますが、必要な制度として行われているわけですから是非活用して少しでも健康に生活を送れるようにしましょう。

デイサービスの苦情はどこに相談すれば良い?注意することは?

デイサービス等の介護施設を利用している中で、不満を感じることは多かれ少なかれあるかと思います。普段お世話になっていることで言い出しにくく、どこに相談したら良いかも分からず我慢されている方もいるのではないでしょうか。

しかし1人で抱えているとそのまま不満が大きくなり、やがて通所をやめてしまう場合も考えられます。健康のために受ける介護サービスでそのような状況になってしまっては元も子もありません。

そこで今回の記事では、デイサービスで感じる不満や苦情の相談先を探す際の選び方をサポートするために、相談先の種類やそれぞれの特徴について解説します。

どうぞ最後までご覧いただき、皆様が気持ち良く介護サービスを利用するための参考になれば幸いです。

デイサービスの苦情はどこに相談すれば良いか

デイサービス等の介護施設に対する苦情の主な相談先を紹介します。それぞれの特徴を説明しますので、状況に合わせてご自身が相談しやすいと感じる場所にぜひご相談されてみて下さい。

利用しているデイサービス等の事業所またはケアマネジャー

苦情の内容にもよりますが、話せるようであればまずは利用されている事業所の生活相談員や職員・スタッフ、施設長、経営者に相談してみましょう。とはいえ、知っている人だからこそ直接言いにくいと感じたり、今後も利用を続けることを考えると躊躇してしまうかも知れませんね。担当のケアマネジャーに相談いただくことがおすすめです。

ケアマネジャーは利用者と事業者の間で中立な立場での支援を行っています。介護保険サービスや制度、施設の情報についても詳しいですので、施設やサービスに関連する苦情や要望などの相談先として適しています。

第三者機関

利用しているデイサービスの事業所やケアマネジャーに苦情を伝えても改善されない、話し合うことが難しいという場合、第三者機関を利用しましょう。

第三者機関とは、介護サービス事業所が健全に運営を行うために利用者からの苦情や意見を聞いたり、話し合いをする中で利用者が抱えている不満を見つけ解決する役割を担っています。

個人情報保護として相談内容の秘密は守られますから、安心して相談することが可能です。

デイサービスや介護サービスを契約する時に交わした契約書と重要事項説明書の中に苦情担当窓口が記載されているはずです。その窓口が第三者機関となりますので連絡をしてみて下さい。

国民健康保険団体連合会(国保連)

第三者機関に相談したにも関わらず解決に至らなかった場合、国民健康保険団体連合会(国保連)に相談するという方法もあります。

国民健康保険団体連合会は介護サービスの質を向上させるために、事業所に対して文書や現地での調査、助言、指導を行い、内容を依頼者と市区町村に報告する役割があります。

苦情の内容が深刻で取扱いが難しいケースや、事業所と利用者の居住地の自治体が異なる場合でも相談を受け付けてくれますので、そのような場合には是非一度電話をしてみましょう。

地域包括支援センター

地域包括支援センターは高齢者や介護サービスを受ける方にとって身近な相談窓口かと思いますが、ここでも介護サービスに関する苦情の相談をすることが可能です。

相談者からの話を聞いた上で事業者にも確認を行い適切な対応や案内をしてくれる他、状況に応じて希望があれば国保連などの機関に苦情を申し立てるサポートもしてもらえます。

運営適正委員会

デイサービスなどの介護サービス事業所に対する苦情は、基本的に各自治体や国保連で対応を行いますが、”訪問介護、通所介護、短期入所生活介護、認知症対応型共同生活介護、指定介護老人福祉施設のサービス”であれば、各都道府県ごとの社会福祉協議会に設置されている「運営適正委員会」にも苦情を相談することが出来ます。

法律や医療に関する専門知識を持った委員が担当し、解決するための対策を考え対応してくれるため、心強いかと思います。

デイサービスや介護サービスに不満を感じた時にすべきこと

デイサービスなどの介護サービスに不満を感じた時、どこに相談すべきかを紹介してきましたが、実際に苦情を伝える際にすべきことや注意点についても以下に具体的に紹介いたします。

どうしたいのか本人の気持ちを確認しましょう

どこかに苦情を申し立てる前に、デイサービスの利用者本人が抱いている不満がどの程度のものなのか、どうしたいのか、気持ちをしっかりと聞いてあげて確認することが大切です。

もしかしたら家族や誰かに愚痴を聞いてもらえれすればすっきりする程度かも知れませんし、逆に他人からすれば些細なことであっても、本人にとっては重大で深刻に感じているものかも知れません。

また感情的になっている場合は、気持ちを落ち着かせて少し冷静になってからもう一度話を聞き、一緒に対応を考えていくようにしましょう。

苦情は早めに伝えましょう

苦情の内容はもしかしたら本人だけでなく、実は他の利用者も感じている事かも知れません。

苦情を言うことに抵抗を感じる方は多いですが、誰も何も言わなければ状況が変わることは難しいですし、事業所にとっても利用者にとっても良いことではありません。

事業所がより良いサービス提供をするためにも、利用者が苦情を伝えることは悪いことではなくむしろ必要なことだと言えます。

環境や体制を改善し安心してサービスを受けるためにも、なるべく事態を放置せず早めに伝えることが大切です。

利用する施設を変えることも検討しましょう

苦情を伝え相談をしても改善されない、解決されないといった場合には、ケアマネジャーに相談をし、思い切って事業所を変更することも視野に入れましょう。

老人ホームなどに入居している場合には簡単に変更することは難しいでしょうから、上記で紹介した第三者機関や国保連に相談をしてみて下さい。

問題が大きくなり関係がこじれ、解決するためにかける労力や時間がもったいない場合には転居することも1つの方法です。

デイサービスの料金は全額自己負担?介護保険の適用は?要支援や認定なしの方についても解説します

デイサービス(通所介護)は介護保険サービスの一つですが、利用を考える時、実際に支払う自己負担額はどれくらいかかるのか不安になるかと思います。

そこで今回の記事では、デイサービスにかかる自己負担額は何割?要支援や要介護認定なしの方は全額自己負担で利用可能?等、よくある疑問に対して解説します。どうぞ最後までご覧下さい。

デイサービスは介護認定を受ければ1~3割の自己負担で利用できる

デイサービスは介護保険サービスを代表するサービスの一つで、送迎を利用して日帰りで通所し、食事や入浴、排せつといった日常生活の中で必要な動作の介助、機能の維持、向上を目指した機能訓練やレクリエーション等を受けます。

「介護保険制度」とは社会全体で介護を支援する仕組みであり、介護が必要だと認定された高齢者とその家族の生活をサポートし、費用の介護費の負担を軽減するため介護にかかる金額の内の一部を支給する制度で、利用者の所得の合計を段階に応じて1割~3割の割合に分けて負担します。支給額には限度がそれぞれ設定されていますが、介護認定を受け介護保険の給付の対象と認められた方は、デイサービスでかかる費用についても全額自己負担する必要はなく、上限を超えなければ安価で利用することが可能です。(ただし、食費や施設で使用した日用品などについては別で全額自己負担として実費がかかりますので注意しましょう。)

ちなみにデイサービスを介護保険制度が利用できるのは、要介護1~5の認定を受けた65歳以上の人になります。65歳未満の場合でも、40歳以上で特定の病気が原因で支援や介護が必要になった場合は対象となり介護保険も適用されます。

デイサービスに限らず介護保険サービスを受けるには要介護の申請の手続きを行い、要支援または要介護と認定される必要があります。

デイサービスは介護認定なしの方が全額自己負担しても利用不可

上記で説明した通り、デイサービスを利用するには要介護1~5の認定を受けた医療のケアの必要がない高齢者を原則として条件としています。そのため、介護認定を受けていない方や認定の結果「認定なし」となった方が利用することはできず、また介護保険を利用せず全額自己負担で料金を払うからと言ってデイサービスを利用することも基本的にできません。

厚生労働省からも「介護保険施設については、介護保険法上、要介護者に対してサービスを提供することを目的とする施設とされており、同施設に対し要介護者以外の者を全額自己負担により入院・入所させることについては、施設の目的外の利用となるものであり認められない。」とされているのです。

しかし、事業所によっては全額自己負担で受け入れをしているというデイサービスも、数は少ないものの実際にあるようです。どうしても利用したいという場合にはそのような施設がお近くにないか探すことをおすすめしますが、その場合は1日あたり9,000円~13,000円程が目安となり、概ね約1万円を超えの高額な費用がかかるため注意しましょう。

要支援は介護予防を目的としたデイサービスが利用できる

デイサービスに入所するには要介護認定を受けることが必要だと紹介しましたが、それでは認定の結果が要支援だった場合はどうでしょうか。

要支援1、要支援2の認定を受けた方の場合は、「地域包括支援センター」の窓口でケアプランを作成してもらい、介護予防や認知症の予防を目的としたデイサービスを利用することが可能です。

デイサービスの利用料というのは地域ごとに介護度と利用する時間に応じて設定されているため、要介護の認定者に比べて要支援の方の負担額はやや高くなりますが、それでも民間のサービスを利用するよりはだいぶ安い料金で利用することが出来ます。

介護保険外サービスの種類と特徴

デイサービスの利用条件を満たしていなかったり、介護保険サービスでは物足りないといった方に向け、介護保険外のサービスというものもあります。

介護保険外サービスとは、自治体や地域の事業者、NPO法人、ボランティア等の運営によりデイサービスや訪問介護等の介護保険では適用できない部分を補う介護サービスで、内容としては家事代行や外出支援等、個人の都合や趣味のものに対するさまざまなサービスが存在しています。

介護保険と違い、これらのサービスを利用するには全額自己負担であることがデメリットではありますが、で利用しなくてはならないのが欠点ですが、内容にはよりますがデイサービスを介護認定なしで1日利用するよりは1回あたりの料金は安くなる傾向にあります。

介護保険では頼めない旅行や趣味の付き添いをお願いできたり、デイサービスを利用しなくても他の人とレクリエーションや趣味を楽しめることが出来るので、要介護認定のない高齢者の方には活用するのがおすすめのサービスになります。

介護保険外サービスを探す場合には利用者の身体の状態に合わせ、サイトで情報を検索したり自治体や地域包括センター等の窓口で相談してみると良いでしょう。

デイサービス(通所介護)の入浴介助の流れやメリットは?「入浴特化型」ってなに?

デイサービスで提供される介護保険サービスには、事業所の車で送迎してもらいながら食事や排せつ等の日常生活に必要な介助や、機能訓練、レクリエーションといった健康の維持、向上、改善、介護予防のためのリハビリのようなサービスがあります。

その中には、高齢になると動作が難しいと感じることが多くなる「入浴」のサポートもあり、デイサービスにおける重要な介護サービスの一つとなっています。

そこで今回の記事では、デイサービスでの「入浴」について、介助を行う目的や入浴の流れ、入浴のメリット、更には入浴特化型と呼ばれるデイサービスについても解説します。どうぞ最後までご覧ください。

デイサービスの入浴介助の目的

デイサービスにおける入浴の介助とは、自分1人で入浴をすることが難しい利用者に対し、安全に入浴が行えるようにサポートするものです。

機能や意欲の低下により、お風呂に入ることが嫌い、面倒くさいと感じる高齢者の方は少なくなく、転倒などの危険もあります。しかし、汗をかいたまま放置してしまうと臭いなど衛生面でトラブルを招いたり、感染症などのリスクを引き起こす可能性があります。

そこで利用者の体を清潔に保つために、デイサービスでは入浴介助が行われます。

しかし全てを介助するのではなく、「本人が行うことが出来ない動作を支援する」といったスタンスが取られ、個別に身体の機能や動作の程度に応じ介助は行われます。これは高齢者の方が可能な限り自立した生活が送れるようにするための対応です。

デイサービスの入浴の内容と流れ

デイサービスの入浴は、前後の健康状態のチェックや声かけなどを行い、利用者が安全に入浴ができるよう注意しながら実施されます。

以下、デイサービスの施設で行われる主な入浴の流れを紹介します。

1.入浴前の健康チェック

デイサービスでの入浴を開始する前には、必ず利用者の健康状態のチェックを行います。

施設の看護師が体温、血圧、脈拍、顔色、体調などを確認し、問題がなければ入浴が可能です。体調が悪い時は無理に入浴することはやめて、代わりに足浴や清拭を行うことをおすすめします。

2.浴室の気温を調整する

特に冬場の寒い時期における入浴では、脱衣所と浴室の急な温度差によるヒートショックが懸念されます。

そこで入浴前に介護スタッフや職員がシャワーのお湯や浴室暖房などを利用して浴室内を温めたり、ヒーター等で脱衣所を温め、温度差を少なくするよう配慮します。

3.体を洗う

介護スタッフがシャワーの温度を確認して利用者さんに適温であるか確かめたら、体や髪を洗います。

その後、浴槽に入りますが、体への負担が大きくならないようお湯の温度は38~40度と低めに設定し徐々に慣れてもらいます。また、心臓に負荷がかからないよう半身浴が基本となります。

入浴中もスタッフは利用者から目を離さず、声かけや様子を見守りながら体調に変化がないかどうか観察を続けます。

4.入浴後のサポート

入浴が終わったら、湯冷めしないようバスタオルですぐに体を拭き、血圧お変動でめまいを起こさないよう椅子に座ったままゆっくり着衣をサポートします。また、水分補給のためのお茶や水の摂取も促します。

爪が伸びている場合は、このタイミングで爪切りのサポートが行われることもあります。

デイサービスで入浴するメリットは?

デイサービスで入浴する場合、体調次第では断られてしまう等のデメリットはありますが、それ以上にメリットがたくさんあります。下記、主なものを紹介していきましょう。

入浴を介助してもらえる

先述したように、1人での入浴が困難であったり不安を抱える利用者に対し、デイサービスでは安全に気持ち良く入浴できるよう介助を行います。

特に車椅子や寝たきり等の方は自宅の一般的な浴室の設備では安全に入浴することは非常に困難かと思いますが、デイサービスは介護施設ですから浴室や脱衣所には手すりがついていたり、事業所によっては座ったまま、あるいは寝たまま入浴ができるようチェアー浴やリフト浴、ストレッチャー浴といった特別な仕様の浴槽が設けられていることもポイントです。

施設によって入浴の設備が異なりますので、事前に必ず確認して下さい。

体調のチェックができる

「入浴の流れ」の中でも記載しましたが、デイサービスでは入浴の前後に必ず看護師による体調のチェックが行われます。

デイサービスでは医療ケアは行えませんが、検温や脈拍、血圧などの健康状態が確認でき、介護福祉士も把握してくれるため安心して通所できる安心感と、入浴と同時に健康管理を行えるというメリットもあります。

家族の負担の軽減

入浴の介助はかなりの力が必要で肉体的にも精神的にも負担が大きく、日頃介護を行っている家族などの介護者は非常に大変な思いをされています。

そこでデイサービスに定期的に通い入浴を済ませてくることで、介護者にとっても負担が軽減され、自由に休養してもらうことができるというメリットがあります。

また、家族にとっても介護の資格を持った専門のプロにお願いできる環境ということで、安心して任せることが出来るでしょう。

デイサービスには「入浴特化型」施設がある

デイサービスを利用するには条件があり、介護認定で要介護1~5の認定を受けた高齢者の方を対象に、1日を通して過ごし、さまざまな介護サービスを受けることが出来る事業となっています。

しかし長い時間過ごすと疲れてしまったり、料金的に1日の利用が難しい方、入浴のみを希望する方もいらっしゃいます。

そんな方に向けおすすめなのが、「半日型」「入浴特化型」と呼ばれる種類のデイサービス施設です。

半日型とは、午前か午後の半日をつかって入浴やレクリエーション、機能訓練等を行い、食事はつきません。

そして入浴特化型はその名の通り入浴サービスのみを提供するデイサービスで、レクリエーションや機能訓練などの必要がない、もしくは人と交流することが苦手、入浴だけして短時間で帰りたいという方におすすめの施設となっています。

デイサービスをお探しの際は、申し込み方法やサービスの概要、費用などについて、お住まいの地域の窓口や担当のケアマネジャー、または各施設に問合せ、ご相談下さい。

デイサービスの食事にはどのような役割や特徴がある?

高齢になるとともに機能や食欲の低下により、食事の量が減ったり栄養バランスが偏りやすくなる傾向にあります。

しかし食事は健康な生活を送るためにとても重要なもの。

デイサービス(通所介護)では、利用者の方の健康を維持するために楽しく美味しく食事ができるようさまざまな工夫を行っています。

そこで今回の記事では、デイサービスにおける食事の役割や高齢者に対する食への取り組みについて解説します。是非最後までご覧ください。

デイサービスの主な食事の役割と目的

デイサービスは基本的に日中の時間を施設で過ごします。そのため、食事は昼食とおやつが提供されます。

この食事はただ用意されている訳ではなく、デイサービスの利用者である高齢者の皆さんが、食事の楽しさを感じ、安心して食べることができるように考えられています。

デイサービスの事業として重要なこの食事について、具体的に主な役割や目的を以下、紹介します。

栄養バランスのよい食事

デイサービスに通う高齢者の中には、「歯が悪くなり硬いものが食べにくい、食べることが面倒」と感じ、結果、食べやすいものだけを食べていることで栄養が偏ってしまっている方が少なくありません。

そこでデイサービスでは、日頃不足している栄養の補給や健康を支えるために、バランスが整ったメニューを提供しています。

食への欲求を引き起こす

デイサービスの食事には、食欲が低下している高齢者の方に「食べたい」と感じてもらうこと、という大きな役割もあります。

また、食べたいという欲求が出てくるようになると施設の外でも積極的に食事をとるようになり、更に自分で食べる「自立」にもつながります。

そのためには、栄養バランスだけを意識して考えるのではなく、「美味しそう」と感じてもらえるような見た目(盛り付け)、彩り、味などの工夫を凝らした食事を提供するよう、デイサービスでは心がけています。

食事の時間を楽しく過ごす

デイサービスでの食事は身体をサポートすることだけでなく、心の面、つまり「食事は楽しい時間」だと感じてもらうことも重要な役割の一つです。

特に普段1人暮らしをされている高齢者の方にとっては、食事も1人でとることで孤独な気持ちを感じたり、食事を楽しいと思えない、あるいは食事を適当に済ませてしまう等といったケースが少なくありません。

デイサービスでは、他の利用者の方たちや職員、スタッフと会話やコミュニケーションをとりながら食事をすることが出来るので、楽しい時間だと感じてもらえるはずです。

また、楽しく食べることでより美味しく感じることができたり、食欲が刺激されてしっかりと栄養素を摂取できるという効果も期待できます。

デイサービスの食事の内容、特徴

デイサービスで提供される食事の内容とは、どのようなものなのでしょうか。上記で紹介した役割を果たすために工夫されている主な特徴をご紹介します。

個々に合わせた食事形態

デイサービスの利用者の皆さんは、それぞれ食材の食べやすさが異なります。せっかく栄養バランスを取り綺麗に盛り付けた料理であっても、利用者の方が食べにくければ意味がありません。

そこで、管理栄養士など専門の知識を持つスタッフが本人やその家族とお話し、食事に関する要望のヒアリングや問題点の見極めを行い、個々に合った形態の食事を提供するようにしています。

具体的には食材の大きさや柔らかさの調整になりますが、誤嚥の予防のためにも食べやすい状態で提供することは食事を美味しく楽しむために重要なポイントだと考えます。

食事のサポート

デイサービスの利用者の方の中には、咀嚼力や嚥下機能が弱くなり、1人ではうまく食べられないという方もいらっしゃいます。

そこで形態の調整の他に、食事の際のサポートもデイサービスでの大切な介護サービスの一つとなっており、安全に食事ができるよう配慮しています。

具体的には食べやすいよう食べる時の姿勢を調整したり、補助具の使用や介助を行います。

季節の食材やイベントを取り入れる

デイサービスの食事では、季節の食材や地域の特産物などを取り入れたメニューを提供されることが多くあります。

また、お正月やクリスマス、ひな祭りといった行事に合わせた献立やレクリエーションを実施する施設も多いです。

旬の食材は体にも良く、利用者の方に四季を感じてもらうことで会話がはずみ、より食事が楽しいと感じられるきっかけにもなります。

デイサービスはおやつもひと工夫

デイサービスでは、昼食以外に午後のおやつも提供されます。

おやつの時間は利用者の方にとって楽しみの一つでもあり、皆さん他の利用者と一緒にゆっくり会話をしながら楽しまれています。

また、おやつの内容も栄養バランスが考えられ、野菜やおから等のヘルシーな材料を使って作られたおやつがよく提供されています。

デイサービスは入所する前に食事の内容をチェックして選びましょう

どこのデイサービスを利用するか決める前に、必ず本人とご家族で見学や一日体験を申し込みましょう。

というのもデイの事業所によって食事の内容は異なるため、どのような食事が提供されているのかを前もって知ることはデイサービスの利用に際し非常に重要となるからです。

見学や体験で施設に訪問すると、月間の献立表を見せてもらうことができます。そこでどのようなメニューが出されるのかをイメージしたり、その日の食事とおやつをいただけるので、実際の味付けやサポートの方法を質問したり確認することが可能です。

また、塩分や糖分、食材の硬さなどについて特別な配慮が必要な場合には、事前に相談しておくことで入所前に施設側も準備しておくことが出来るためおすすめです。

デイサービスでリハビリは受けられるのか?機能訓練との違いを解説

リハビリと言うとデイサービスではなくデイケアで受けるもの、というイメージがあるかと思いますが、デイサービスでは受けられないの?デイサービスで提供される機能訓練とは何が違うの?といった質問がよくあります。

そこで今回の記事では、デイサービスの利用を検討しながらリハビリテーションを希望されている方に向け、デイサービスでのリハビリや機能訓練とのそれぞれの違いについて紹介します。
最後までご覧いただき、介護サービスをお探しの方に役立ちますと幸いです。

デイサービスはリハビリではなく機能訓練が実施される

デイサービスとは通所介護と呼ばれる介護保険サービスで、要介護の認定を受けた高齢者の方が、日中、事業所の送迎を受けて在宅しながら施設へ通所し、食事や入浴、排せつの介助や介護の支援、そして機能訓練やレクリエーションを通して可能な限り自宅で自立した生活を送れるような自立支援、身体機能や認知機能の向上、改善、回復、維持を目的とした介護サービスが提供されます。また、日頃介護を行う家族の方の負担を軽減するための目的もあります。

さて、ここで言う「機能訓練」とは、日常生活で必要な動作の改善や維持を目指すもので、介護士や看護師など、特にリハビリの専門家や資格を持たない人でも指導を行える運動訓練です。

施設によってはこの機能訓練をリハビリと呼んでいる所もありますが、厳密には機能訓練とリハビリは異なり、デイサービスではリハビリではなく機能訓練が行われます。

リハビリと機能訓練の違い

リハビリと機能訓練は、どちらも身体の機能の改善、向上、維持を目的としているものですが、リハビリは医師による診察で専門的な訓練を行う必要があると判断され、専用のマシンを使用したりしながら理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリの専門職のスタッフ、職員が医師の指示に基づいたプログラムのメニュー行います。

一方で機能訓練は上記で説明したように指導を行う人がリハビリ専門の資格や職種でなくても問題はありませんが、「機能訓練指導員」と呼ばれる指定された資格を持った専門員が人員として配置され、ケアマネジャーによって作成された介護サービス計画書(ケアプラン)に沿って体操やストレッチなど簡単なトレーニングが中心となる活動を指導しサポートします。

機能訓練指導員とは

機能訓練指導員に指定される資格の一覧は以下となります。この中で最低でも1つ以上の資格を持っていることが条件とされています。

・看護師

・准看護師

・理学療法士(PT)

・作業療法士(OT)

・言語聴覚士(ST)

・柔道整復師

・あんまマッサージ指圧師

・鍼灸師(鍼灸師以外の機能訓練指導員が在籍する施設で半年以上の実務経験が必要)

デイサービスで行われる機能訓練の主な内容

デイサービスでの機能訓練では、利用者の状態や「歩けるようになりたい」「認知症の予防をしたい」といった希望に合わせケアプランを作成し、歩行訓練や関節可動域訓練、計算問題、見当識訓練の他に、誤嚥予防などのための口腔体操やマッサージ、ラジオ体操等が主に行われます。

また、クイズやゲームを用いた脳トレ等、機能訓練を兼ねたレクリエーションでも実施されます。

これらは集団で行う訓練と、一人ひとりの状態対応した個別の訓練とがあります。

リハビリに特化したデイサービスがある

基本的にデイサービスでは機能訓練だけではなく、介護士や介護福祉士など介護スタッフによる生活に必要な介助や介護も中心に行われますが、機能訓練指導員が中心となって機能訓練に絞ってサービスを提供する「リハビリ特化型デイサービス」という施設も存在しています。

リハビリ特化型デイサービスでは、通常のデイサービスで行われる食事や入浴といったサービスは実施せず、1回あたり3~4時間の短時間のサービスとしている場合が多く、午前と午後の2部制がとられています。

そのため、利用する時間の長いデイサービスと比べて料金の負担も安くなりますが、リハビリ専用の設備が充実しており、理学療法士や作業療法士といったリハビリの専門の知識を持ったスタッフが常駐していることも大きな特徴です。

デイケアと違って医師の指示がなくても利用することが可能なので、生活介護やデイケアほどの医療ケアは必要ではなく、要介護度が低く、介護予防や運動不足による体力や筋力の低下を自分で感じ、リハビリに取り組みたいと考えている方におすすめです。

まとめ

いかがでしたか?

デイサービスで行われるリハビリは「機能訓練」と呼ばれ、デイケアや病院で行われるようなリハビリとは目的や内容などにおいて意外と異なる点が多いことが分かりました。

また、より機能訓練に特化した「リハビリ特化型デイサービス」という施設もあり、費用の負担も安く利用者の状態や希望に合わせて受けられる介護サービスもあります。

サービスの概要や利用、申し込みの流れ等の詳細な情報については、各施設やお住まいの地域の窓口、担当のケアマネジャーに確認、相談いただき、安心して少しでも元気に健康な生活を維持できるよう一緒に取り組んでいきましょう。

デイケアとデイサービスの違いは何?特徴や選び方を紹介

デイケアとデイサービスの違い

デイケア(通所リハビリテーション)とデイサービス(通所介護)はどちらも介護サービスとして介護が必要な高齢者やその家族を支援や取り組みを行うものですが、名前が似ていることから混同されたり、二つのサービスの違いが分からないという声が少なくありません。

実はデイケアとデイサービスにはそれぞれ異なる特徴があり、利用できる条件や目的、料金等も違います。

そこで今回の記事では、デイケアとデイサービスの違いについて解説します。介護施設や介護サービスを探す際、役立ちますと幸いです。

デイケアとデイサービスの利用条件の違い

デイケアとデイサービスの利用をするには、それぞれ要件となる基準が設定されており、デイケアは要介護認定において要支援1~要介護5までの認定を受けた人で、更に医師により専門的なリハビリが必要と判断された人のみが利用することが可能なサービスです。
一方、デイサービスは基本的に要介護1~5の方が対象で医療的ケアの必要がない高齢者の方を対象としています。

デイケアとデイサービスの利用目的の違い

デイケアの目的はリハビリテーションの他、身体機能や認知機能の維持、改善、回復を目指し、医療的ケアも行われます。

デイサービスは利用者ができるだけ自宅で自立した生活を送れるように、日常生活に必要な介助や介護を行い、サポートすることを目的としてサービスが提供されます。

デイケアとデイサービスのサービス内容の違い

デイケアのサービス内容はリハビリが中心となり、口腔機能の向上のリハビリや器具を用いたリハビリ、専門家による運動機能の向上のためのリハビリを行う他、食事や栄養指導も行われ、主に病院や医療機関、介護老人保健施設などで実施されます。そのため、緊急時の対応などの体制が整っていますが、デイサービスと比べると施設の数が少ない傾向にあります。

一方デイサービスは食事や入浴、排泄の介助、身体機能向上や体力アップのための機能訓練や、認知症の予防等、人との交流によって得られる効果を目的としたレクリエーションといった介護を中心としたサービスが提供されます。

デイケアでデイサービス、両方とも日中の時間帯に利用し、在宅したまま事業所の車で送迎のサービスを受けることが出来ます。

リハビリテーションと機能訓練の違い

デイケアで行われるリハビリテーションとデイサービスで行われる機能訓練の違いは何?という質問も多いため、以下でご紹介します。

リハビリとは医師の診察、リハビリに関する専門職による計画に沿って心身の機能の回復や日常生活における自立のために実施される運動療法になり、理学療法、作業療法、言語聴覚療法の3つの分野が定められています。

機能訓練は個別や集団で行われ、身体機能や介護予防という目的はリハビリと同様ですが、医師などは介さず介護士や看護師といった特別なリハビリの資格を持っていない人でも行える体操や簡単な運動が中心になります。

デイケアとデイサービスの人員体制の違い

デイケアとデイサービスには配置されている職員やスタッフの人員の体制にも違いがあります。

デイケアは充実した医療ケアも含まれるため、介護士の他に看護師、そしてリハビリの専門である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、そして医師が常駐しているのがポイントです。

デイサービスは介護士や介護福祉士、看護師の他、生活指導員(生活相談員)や機能訓練指導員が配置され、利用する本人だけでなく家族の介護に関する悩みを相談することも可能です。

デイケアとデイサービスの料金の違い

デイケアとデイサービスにかかる費用ですが、2つを比較するとデイケアは高額になります。

どちらも介護保険の等級と利用時間、地域ごとに金額が異なりますが、一般的にデイケアの方が1回の料金につき200円ほど高い傾向にあります。

月や年単位に換算すると負担する金額の差が大きくなりますから、介護度が低く医療ケアが必要でない場合は負担を軽減するためにもデイサービスを利用することをおすすめします。

デイケアとデイサービスの選び方

デイケアとデイサービスの最も大きな違いとして「医療ケアの有無」があります。そのため、病院を退院して間もなく自宅での生活が不安な方、重い疾患や後遺症、呼吸器などの病気をお持ちの方、骨折や関節症などで通院をされている状態の方は、手厚い医療ケアがメリットであるデイケアを選ぶと良いでしょう。

ただし、デメリットとしては先述した通りデイケアは施設の数が少なく人気のため、利用を希望される場合は早めに検討することをおすすめします。

デイサービスは、加齢による体力や身体機能の低下を感じていたり、他の人とのコミュニケーションを望む方、認知症のある方におすすめです。

尚、デイケアとデイサービスは利用する中でサービスを変更することが可能です。状態に合わせて移行しましょう。また、変更する前に実際に事業所を見学し、どの程度の介護や訓練、ケアが行われているかをしっかりと確認することが重要です。

また、二つのサービスと同時に併用することも可能です。この場合は二つの条件を満たす要介護1~5の方のみとなりますが、介護保険を利用しなければ要支援の方でも介護予防サービスとして併用が可能な場合がありますので、ケアマネジャーに相談してみて下さい。

まとめ

以上のように、デイケアとデイサービスには多くの点で違いがあることがお分かりいただけたかと思います。

簡単にまとめると”医療ケアが必要な人向けのデイケア、介護がメインのデイサービス”と覚えていただくと、どちらのサービスを利用するか迷われた時に選択しやすくなるかと思います。

デイケアとデイサービスの違いを知り、事業の内容や知識を持って高齢者、そしてご家族の皆様が安心して健康に生活を送ることができるよう、これらの介護サービスをぜひ活用してみて下さい。
サービスの概要や利用の申し込みの流れなど、詳細についてはお住まいの市区町村の窓口や担当のケアマネジャーにご確認下さい。

この他に、デイサービスやデイケア、介護に関連した情報をコラムにて掲載しておりますので、合わせてチェックいただき皆様の参考になれば幸いです。

デイサービスは介護保険が適用される?介護保険サービスについて解説

介護保険が適用されるサービスとは

介護保険サービスとは、要介護認定により要介護1~5または要支援1~2の認定を受けた65歳以上の高齢者と、40歳から64歳までの特定疾患の患者が1割の自己負担で受けられる介護サービスのことを言います。

(収入の多い人の場合、2割~3割の負担となる場合があります。)

介護保険サービスにはさまざまな種類があり、大きく分けて居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスという3つに分類されます。

居宅サービス

居宅サービスは名前の通り、居宅で暮らしながら介護サービスの提供を受けることが可能です。

居宅サービスには、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅に訪問し、掃除や買い物等の生活支援や、食事や排せつ、入浴等の介助(介護)、健康管理や衛生管理指導等の看護、リハビリといった内容のサービスを提供します。

提供されるサービスによって、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーションと呼ばれています。

通所サービス

通所サービスは日帰りで自宅から通いながら日中を施設で過ごし、日常生活に必要な介護や介助、機能訓練、リハビリ、レクリエーション、食事等が提供されるサービスでデイサービス(通所介護)とデイケア(通所リハビリテーション)があります。スタッフや職員による施設の車で送迎が付いており、基本は介護福祉士が同乗しますので通行手段のない方や移動が困難な方でも利用することが出来ます。

短期入所サービス

短期入所サービスはショートステイと呼ばれ、施設で一定期間宿泊しながら必要な介護や看護などを提供してもらう介護サービスです。

家族の方が不在の時や休養が必要な際に利用されるケースが多いです。

また、短期入所療養介護と言って診療所や病院などで医師や看護師、理学療法士、作業療法士等の資格を持った専門職の方による医療ケアも提供されるものもあります。

複合型サービス

訪問、通所、泊りを組み合わせて利用できるサービスとして小規模多機能型居宅介護というものがあります。

利用者や家族の状況に合わせて必要なサービスを選択できるため非常に便利です。

また、小規模多機能型居宅介護と訪問看護を組み合わせた複合型サービスというものもあり、要介護度が高かったり医療的ケアを必要としている人におすすめのサービスです。

施設等で生活しながら受けられる介護保険サービス

以下のように施設へ入居するタイプの介護保険サービスというのもあります。入居条件についてはそれぞれの施設により違います。

・特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

・介護老人保健施設(老健)

・介護療養型医療施設

・介護医療員

地域密着型サービス

2005年に新たに設置された制度で、介護が必要となっても住み慣れた地域で暮らし続けられるよう支援するために、事業所のある市区町村にお住まいの要介護者、要支援者を対象としてサービス提供されます。

こちらも様々な種類がありますが、主に小規模多機能居宅介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)、地域密着型通所介護、夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護があります。

生活環境を整える介護保険サービス

高齢者の方の自立した生活を目指すために、福祉用具のレンタルや購入費を支給したり、住宅の回収が必要な場合に回収費を支給するサービスがあります。

・福祉用具貸与

・特定福祉用具貸与

・居宅介護住宅改修

デイサービスの利用料金は?

介護保険サービスの一つであるデイサービスですが、実際にかかる自己負担額の目安は1回の利用につき1,000円~2,000円未満となっています。

デイサービスでは介護保険が適用されるサービスと適用されないサービスがあり、その合計額が自己負担額として請求されます。

多くの施設の場合、ひと月ごとに料金を合算して請求書を送付しています。

介護保険が適用されるサービス

利用料:デイサービスの施設に滞在する、送迎、レクリエーション等。利用者の介護度と利用時間によって必要な単位が定められています。地域によって多少異なりますが、1単位=約10円で設定されています。

サービス加算:施設によって異なりますが、特定の条件や個別機能訓練や栄養改善、入浴介助といったサービスを受ける際の人員体制に対して追加で請求される料金です。

介護保険が適用されないサービス

食費:多くのデイサービスでは昼食とおやつが提供され、各事業者が自由に値段を設定しています。通常は500円~1,000円の場合が多いようですが、こちらは介護保険が適用されず実費が請求されます。

日用品:施設で用意している歯ブラシやおむつといった日用品を使用した場合、実費が必要となります。数百円程度ですが、自分で自宅から持ち込むことでその分の費用は抑えられます。

介護保険サービス利用者への居宅介護支援

ご紹介したようなこれらの介護保険サービスの利用者に対し、厚生労働省で定められた介護に関連する専門の知識を持つケアマネジャーが利用者となる本人が自立した生活を送ることができるようにといった目的でサポートを行うサービスを居宅介護支援と言います。

(なお、居宅介護支援は要介護1~5の判定を受けた方に向けたサービスで、要支援1~2の方は地域包括支援センターが窓口となり介護予防支援を受けることが可能です。)

支援の流れとしては、調査を行い要介護認定を受けた後、担当のケアマネジャーが選定され、本人と家族の希望や心身の状態、困っていること等を相談しながら介護サービスの一覧表、ケアプランと呼ばれる計画表の作成が行い、そこで必要な介護サービスや身体や認知の機能の維持・向上のためのプログラムが決まったら、どの介護施設と契約をするかを比較検討しながら選び、介護保険サービスの実施を開始します。

適切な介護サービスが受けられるよう居宅介護支援を是非ご利用ください。

まとめ

今回の記事では、介護保険を使って行われているサービスの情報やその特徴、申請や方法について簡単に紹介しました。

適切な介護保険サービスを受けることは身体的、精神的にメリットが大きく、人との交流による孤立や不安の解消や介護の予防の他に家族の負担軽減にもつながり、高齢化社会の日本において重要な事業の一つです。

しかし種類が多く地域によっても異なる部分もあり理解が難しいため、気になるサービスや不明な点があれば自治体の窓口や専門家に確認し、説明を受けて自分に必要なサポートを受けるようにしましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。皆様の参考になれば幸いです。

デイサービスで体操が行われる目的は?効果や基本の体操もご紹介

デイサービスを含めた介護施設では、さまざまなレクリエーションが実施されています。その中で体操を取り入れたレクを行っている施設は多く、利用者からも人気が高いようです。

そこで今回の記事では、デイサービスで体操を行う目的やその効果について解説します。

レクリエーションを企画において役立ちますと幸いです。

デイサービスでなぜ体操を行うの?

高齢になると体力や筋肉の力が低下し思うように身体を動かすことが出来なくなり、慢性的な運動不足に陥りやすい傾向にあります。また、それにより脳の刺激が減って認知機能も低下し認知症を引き起こす要因にもなりえます。

とは言え高齢者が激しい運動を行うとケガや転倒の恐れもあり問題となりますので、もっともおすすめな運動として「体操」を介護の現場で取り入れる事業所が多いのです。

効果を得るには続けることが大切ですが、体操は体への負担が少ないため高齢者の方でも継続しやすく、気軽に取り組んでもらえるという特徴があります。

デイサービスの体操で得られる効果は?

身体機能の維持・向上

デイサービスで体操を実施することで得られる最も大きな効果は、身体を動かすことで筋力がつき、体力アップや身体機能の低下を防止することでしょう。

スタッフや職員が見守る中でサポートを受けながら安全に運動することができるので安心ですし、無理のない範囲で継続して行えることも効果を得られやすいポイントです。

精神的な安定

外出の機会が減って自宅に閉じこもり孤立しがちな高齢者の方にとっては、デイサービスに通って他の利用者の人たちとコミュニケーションを取りながら体操を行えるため孤独感が解消されますし、体を動かすことでストレス発散の効果も期待できます。

また、精神的な安定は認知症を予防する上でも重要だと考えられています。

QOL(生活の質)の向上

デイサービスでの体操は個別での機能訓練やリハビリの役割を果たすこともあり、肩や腕、腰、膝、首などの広がって日常生活で必要な動作がとりやすくなるというメリットもあります。

するとより自立して快適に生活を送れるようになり、介護予防にもつながります。

介護負担の軽減

体操を行う本人だけでなく、介護や介助を対応している家族にとってもメリットもあります。

利用者が体操によって身体の機能の向上や精神面の安定が図れることで、介護への負担が軽減し家族の方の心と体、そして時間にも余裕が生まれるのです。

デイサービスで行われている基本の体操の流れ

それではデイサービスで高齢者向けによく行われている体操の基本的な内容を具体的に紹介します。上から順番に部位別で行いますが、基本的に立ったままでも椅子に座ったままでも行える簡単な動きですのでぜひレクリエーションの最初の取り組みに加えていただければと思います。

姿勢を整え、ゆっくり深呼吸を行いながら始めてください。

手首・足首の体操

両手を軽く握ってくるくるとまわし、足首も伸ばしたりつま先を床につけたままゆっくりと回すことで血行が良くなり柔軟性を高め、歩行の際の負担が軽減されたり転倒の予防にも効果があります。

難しければ両手を前に出してぶらぶらと揺らしたり、グーパーの動きを繰り返してストレッチする方法もおすすめです。

首・肩の体操

首をゆっくりとまわし、時計回りと反時計回り両方行ったら次は肩をゆっくり上げ下げします。

すると首や肩まわりの血行が促進し、つらいコリに効果があります。

胸の体操

両手を胸の前で合わせ手のひらに力を込めて押しあいます。こうすることで大胸筋という胸の筋肉を鍛えることができます。次に背中側で腕を組み、胸を大きく後ろに反らす運動を行いましょう。

このような体幹のストレッチは、肩甲骨や背中の筋肉をほぐし肩こりの解消に効果があります。日頃猫背の姿勢になりやすい方にも姿勢の改善としておすすめの体操です。

足の体操

椅子に座った状態のまま片方の足を前に伸ばし、つま先を上にあげて更に足指をグーパーします。ふくらはぎが伸び、足首やつま先の筋肉を鍛えると歩く時に力が入りやすくなり転倒予防にもなります。

足がつならないようゆっくりと様子を見ながら行うように注意してください。

腰の体操

椅子に座った状態でお腹にタオルやクッション等を置きます。そのまま前屈みの姿勢になったら次に腰に手を当てて後ろに身体を反らします。

腰が伸びるのを意識しながらゆっくり行いましょう。また、少しでも痛みがある場合は腰痛が悪化してしまいますので中止し、決して無理しない範囲で行ってください。

デイサービスでおすすめのその他の体操メニュー

上記で紹介した基本の体操以外にも、参加する人の能力や介護度に応じたトレーニングを組み合わせて提供することもおすすめです。

ボールを使った体操

直径15cm程のビニール製のボールを用意し、椅子に座った状態で両手に持ち、手のひら全体でゆっくりとボールを潰すように10秒程力を入れていきます。これを何回か繰り返します。

次に太ももの間にボールをはさんで、ゆっくりと足を閉じていくように10秒ほど力を入れます。こちらも何回か繰り返しましょう。

ボールを使うことで上半身も下半身も動かし、同時にお腹に力を入れることで腹筋も一緒に鍛えることが可能なのでおすすめです。

音楽を使った体操

高齢者の方に人気のある歌や音楽の情報を事前にヒアリングし、体操を行う際にCDやDVD、動画サイトで流しながら音楽に合わせてストレッチや体操を行うと、より楽しみながら取り組むことが出来ます。歌いながら体を動かすのも元気が出そうでおすすめです。

まとめ

デイサービスで行われている体操は、高齢者の方が心身の健康を維持・向上するための大きな効果が期待でき、国からも推奨されています。

全国の自治体が考案した体操動画を紹介するサービスが以下の厚生労働省が運営するサイトで公開されていますのでチェックしてみてはいかがでしょうか。

ご当地体操マップ

要支援向けの介護予防サービスとは?利用できるデイサービスについても解説します

要介護認定の高齢者が受けられるサービスや介護施設の利用については知っている方が多いかと思いますが、要支援の方を対象としたサービスについてはご存知でしょうか?

今回の記事では、要支援の認定をされた方が受けられる各種サービスについて解説してまいります。

健康を維持し、できる限り身体や認知の機能を低下させないようご覧いただいた方の参考になれば幸いです。

デイサービスは要介護の高齢者が対象

デイサービスは基本的に、要介護認定で要介護度1~5の認定を受けた65歳以上の高齢者を対象に、日常生活に必要な介護や介助などの介護保険サービスを提供する施設です。

それでは要支援1または要支援2の方には何かメリットがあるかと言うと、2015年の介護保険改正により高齢者の介護予防のために総合的に支援を行う「介護予防・日常生活支援総合事業」が創設され、主に既存の介護予防のための訪問介護事業や通所介護事業者がみなし指定事業者として利用可能となり、また全国の各市区町村において様々なサービスを利用することが可能となりました。

要支援の高齢者が受けられる介護予防サービスの種類

要支援の高齢者が受けられる介護予防サービスにはいくつかの種類があり、それぞれのサービスについてまとめた主なものを以下に紹介します。

介護予防サービス

要支援認定1~2の高齢者がサービスの対象で、もともと住み慣れた地域や環境で自立した生活を継続していけるよう支援するサービスです。可能な限り自分の力で行うことが前提となり、自宅(在宅)での生活支援が中心となります。

事前に地域包括支援センター等から紹介されたケアマネジャーに相談しながらケアプランを作成し、そのプランに沿ったプログラムを実行していきます。

デイサービスに日帰りで通う「介護予防通所介護」の他に、理学療法や作業療法に特化した「介護予防通所リハビリテーション」、利用者の居宅に訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問し、食事、入浴、排せつの介助を行ったり、掃除、洗濯、調理等の家事を行い、QOLの向上に関連するアドバイスを行う「介護予防訪問介護」があります。

地域密着型介護予防サービス

介護予防サービスと同様に、対象は要支援認定1~2の高齢者で、住み慣れた地域や環境の中で自立した生活を継続していけるよう支援するサービスです。

しかし自治体によってはこのサービスを行われていなかったり、提供される内容が市区町村により異なります。

実施している場合、このサービスを利用できるのはその地域に暮らす住民のみを対象としていることが特徴です。

大きく分けて「介護予防小規模多機能型居宅介護」と「介護予防認知症対応型サービス」の2つがあります。

介護予防通所介護の目的

介護予防は、65歳以上の高齢者が「要介護状態になることを極力遅らせること」または「要介護状態になるのを未然に防ぐこと」、そして「すでに介護が必要な場合は、状態が悪化しないよう努め、改善を図ること」を目的としています。

介護予防通所介護は、通常のデイサービスと同様に日中の時間、施設の車の送迎で通いながら食事や入浴、排せつなど日常生活に必要な支援を受ける他、機能訓練や体操、リハビリ、レクリエーションを行って心身の機能の維持、向上をケアします。

あくまで”予防”を目的としたサービスですので基本は要支援1~2の高齢者が対象ですが、すでに要介護状態であっても、要介護1など比較的介護度が低い状態のうちに介護予防を行うことで、状態の悪化を防いだり、遅らせたりできる可能性が高いと判定された場合には、これ等の介護予防サービスを受けられる場合があります。

総合事業サービスの利用方法と費用

まずはお住まいの市町村の窓口(地域包括支援センター)にて、要介護認定や希望するサービスについての相談を行います。

基本のチェックリストを受けた後、必要に応じて介護認定の申請を行い、結果として要支援1~2と判断されたら介護予防サービスや地域密着型介護予防サービスの利用が可能となりますので、希望の事業所を本人や家族と情報を集め見学をし比較・検討しながら探したり、担当のケアマネジャーに相談し探す際のサポートをしてもらう事もおすすめです。

料金については要支援の方は介護保険制度の中の予防給付の対象となり、対象となるサービスを受けた場合の自己負担額は1割となります。

予防給付の対象サービス一覧

・訪問看護

・訪問リハビリテーション

・訪問入浴

・居宅療養管理指導

・通所リハビリテーション(デイケア)

・短期入所生活介護(ショートステイ)

・短期入所療養介護

・特定施設入居者生活介護

・福祉用具貸与

・特定福祉用具販売

・認知症対応型通所介護

・小規模多機能型居宅介護

・認知症対応型共同生活介護(グループホーム・要支援2のみ)

・住宅改修

介護予防・日常生活支援総合事業に関する手続き方法や条件など詳細な概要については、厚生労働省のサイトから出されている下記のページを合わせてご確認ください。

総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)