老人デイサービスセンターとは?

老人デイサービスセンターの概要

老人デイサービスセンターとは、65歳以上の高齢者で、身体上または精神上の障害により日常生活を営むことに支障がある方を対象に、食事や入浴、排泄の補助や機能訓練、介護方法の指導などを提供する施設です。

日々の健康チェックや日常生活動作訓練(ADL)、レクリエーション、生活指導などのサービスも提供し、介護予防を目的とした自立支援としての役割も担っています。

多くの施設は主に市区町村や社会福祉法人が主体となって設置しています。

また、自宅から施設までを事業所の車の送迎を使って朝から夕方頃までの時間に日帰りで通うため、通所介護とも呼ばれます。

また、デイサービスの中には認知症の方を対象とした認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)という施設もあり、サービスの内容は一般的なデイサービスと同じですが、認知症に関して深い知識と理解のある職員やスタッフが配置されているという特徴があります。

老人デイサービス事業との違い

老人デイサービスセンターと老人デイサービス事業は名前が似ているため混同されやすいですが、老人デイサービスセンターは基本的に独立した施設として位置付けられており、一方で老人デイサービス事業は養護老人ホームや特別養護老人ホーム等の施設に併設されて行われ、使用する設備もデイサービス専用のものではなく施設のものを共有して使います。

老人デイサービスセンターを利用するには

老人デイサービスセンターは介護保険を使ったサービスであり、高齢者であれば誰でも利用できるものではありません。

老人デイサービスセンターを利用するには、

1.要介護認定を受けている

2.事業所の送迎の範囲内に自宅がある

3.医療行為を必要としない

以上の3つの条件を満たしている必要があります。

なお、要介護認定を受けて要介護ではなく要支援の認定を受けた場合は「介護予防通所介護」を利用することが可能ですので、希望される場合は地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに確認、相談をして下さい。

老人デイサービスセンター以外の老人福祉施設

老人デイサービスセンターの他にも老人向けの福祉施設はいくつかあり、利用の目的や条件はそれぞれ違いいます。

以下にその種類と簡単な概要を紹介します。

・養護老人ホーム

身体面や精神面はもちろん、経済的な理由を含めて自宅で生活することが困難な方が入所でき、日常生活で必要な支援を受けることが出来ます。

 

・特別養護老人ホーム

特養とも呼ばれるこの施設は地方自治体や社会福祉法人が運営する公的な施設で入居するタイプの施設です。

対象となるのは65歳以上で要介護3~5の認定を受けている人。

特徴としては低料金で利用できるため人気が高く、その分入居待ちの状態となっている施設が多いです。

 

・軽費老人ホーム

こちらは60歳以上が対象となっており、無料あるいは低料金で利用できる施設です。

提供されるサービスの内容によって、A型、B型、C型(ケアハウス)に分けられています。

 

・老人短期入所施設

デイサービスと同じような内容のサービスを短期間入所する形で受けられる施設です。

別名「ショートステイ」とも呼ばれています。

 

・老人福祉センター

地域の高齢者の相談などに対応する施設で、健康や教養に関するサービスやレクリエーション等が提供されています。

 

・老人介護支援センター

「在宅介護支援センター」とも呼ばれ、その名の通り在宅で生活している高齢者が介護について相談したり、必要な支援が受けられるよう各機関との架け橋となる役割を担っています。

老人デイサービスセンターを利用する際の注意点

老人デイサービスセンターの条件を満たし希望の事業所と契約して無事に通い始めた後のことですが、介護認定には有効期限があるため利用者の方は更新の手続きを忘れないよう注意してください。

新規の場合は原則6ヶ月。更新した後は12ヶ月が期限となっています。

まとめ

老人デイサービスは要介護認定を受け、介護の必要があると判断された高齢者の人を対象に、生活で必要な支援を提供する介護保険サービス施設の一つです。

完全に介護が必要となってしまう前にデイサービスで身体機能の維持、改善、向上のためのトレーニングやサービスをを受けることは、健康で自立した生活が送るために重要です。

サービスの内容や費用についてはそれぞれの地域や事業所によっても異なりますので、必ず事前に情報を確認して下さいね。

老人のボケ防止にはゲームが効果的!その理由は?

高齢になるにつれて、あるいは家族に高齢者がいる場合、認知症が心配になってきます。

超高齢化社会である日本では、近い将来3人に1人の高齢者が認知症になると言われており、そうなる前に何とか予防したいものですよね。

爆発的に流行した「脳トレ」や「頭の体操」は、子どもたちだけでなく老人たちのボケ防止として今もデイサービスや老人ホーム等の高齢者が利用する施設や集まりで人気です。

そこで今回の記事では、老人のボケ防止にゲームが効果的である理由を解説すると共に、おすすめのゲームや実施のポイントについても紹介します。

ぜひ最後までご覧いただき、認知症の予防の参考にしていただければと思います。

老人のボケ防止にゲームが効果的な理由

認知症予防に効果がある取り組みとしてゲームが推奨されているのには、きちんとした理由があります。

以下に紹介していきましょう。

ゲームで脳が活性化する

ゲームとひと言で言ってもさまざまな内容や種類のものがありますが、共通することは「脳を使う」ということです。

例えばルールの説明を聞いて理解すること。一生懸命に思い出そうとすること。推測すること。相手の発言を聞いて考えること。手指や体を動かすこと等。これ等の作業や動作にはすべて脳が使われます。

難しい話や問題を理解しなければならない場合は疲れてしまい続けられませんが、ゲームであれば楽しみながら思考し、それを継続することで認知機能が鍛えられて認知症の予防へとつながるのです。

人とのコミュニケーションが生まれる

レクリエーションで行われるゲームでは、ほかの利用者や入居者の方も参加しているため、自然とコミュニケーションを取ることになります。

普段自宅にこもりがちだったり、家族以外の人と接することが無い方の場合、孤独や不安を抱えているケースが多く、認知症の症状を発症する引き金になってしまうことがあります。

そんな中、ゲームを通して人と会話したり笑い合ったりすることで気持ちが前向きになったり、孤独感を解消したり、人と接する楽しみを改めて感じられるため、脳によい刺激を与え認知症の予防へとつながります。

ストレス発散になる

ストレスも認知症の要因となる可能性があります。

年齢を重ねるにつれてストレスを発散する方法が分からなかったり、相談できる相手がいなかったりすると、一人でどんどん抱え込み家で塞ぎこんでしまいがち。

対策としてはやはりこまめに発散し心と体のバランスを整えることが大切です。

そこで毎日ではなくてもゲームに参加することで、みんなと楽しい時間を過ごして気持ちが軽くなりストレスが軽減する効果が期待できます。

生きがいが見つかる

認知機能や身体機能の低下とともに、生活における希望や気力をも低下することで認知症を発症しやすい状態に陥ってしまいます。

介護施設や集会などでゲームに挑戦することは自分に自信を得られるきっかけになりますし、同時に次の目標も生まれ同じ目的を持った仲間と会うことが楽しくなるでしょう。

老人のボケ防止におすすめのゲーム6選

無理なく楽しめる高齢者向けの主なゲームについて簡単な概要の説明とともに紹介していきます。

どれも用意が必要な道具が少なく、費用も安いため手軽にできるものばかりです。

連想ゲーム

連想ゲームは高齢者の方でもルールを知っていることが多く、さまざまな問題を提示できるので人気のゲームの1つです。

例えば、「北海道といえば?」という問題なら、大きい、とうもろこし、ラーメン、夜景、熊、ラベンダー等たくさんの答えが出てきますね。

思いついた人から手をあげて答えても良いですし、順番に答えていくというものでも良いです。

出た答えはスタッフがホワイトボードに見やすく書いていくと良いでしょう。

連想ゲームはとにかく「思い出す」という頭を使う行為により脳を活性化させます。

また、テーマに沿った思い出や記憶を思い出し、昔の懐かしい気持ちが蘇ったり他の人と話すきっかけにもなります。

パズルゲーム

ジグソーパズルはルールもなく座って一人で黙々と集中して取り組めるため、例えば他の人と一緒にゲームをやることが嫌だったり、人前で話すのが苦手という方にも行ってもらいやすいものです。

パズルのピースを探すことは色や形、空間の判別や推測を行い脳が活性しますし、パズルをはめる作業は指先を使う細かな作業が伴うため更に効果的。身体能力の向上も期待できます。

難易度は個々の能力や状態に合わせてレベルを変えましょう。

クイズ

大勢で楽しめるゲームで、参加者の趣味や好み、レベルに合わせて正解の条件など自由にテーマや問題を決められるのが良いですよね。

特に人気のクイズゲームは、四字熟語、漢字や数字の穴埋め、都道府県当て、歌の歌詞を当てるゲームです。

思い出した時の達成感は気持ち良く、思わず声をあげてしまうくらい盛り上がることも多いです。また、知らなかった知識の学習にもなります。

風船ゲーム

通常はボールを使うバレーやテニスといったスポーツを、ボールではなく風船に置き換えて行います。ラケットの代わりにうちわや新聞紙を使って下さいね。

ボールと違いゆっくり動きますし、安全に楽しむことが可能なためおすすめです。

また、体を動かす遊びは良い運動になり、日頃の運動不足の解消や機能訓練のトレーニング、リハビリとしての役割も持ち、楽しんで身体機能を向上したり体を鍛えることができますね。

間違い探し

間違い探しは2つのイラストや写真を見比べて異なる部分を探すゲームですが、一方をの情報を記憶しながら探すので集中力や記憶力、観察力、思考力が鍛えられる頭脳に最適なゲームです。

間違い探しの本を購入することが出来ますが、サイトで検索をすると間違い探しのイラストを無料でダウンロードできるサービスが結構出てきますのでチェックして活用すると良いかと思います。

知育玩具を使ったゲーム

知育用の玩具というと子供が遊ぶものというイメージが強いですが、認知症予防として遊べるおもちゃも開発されています。

様々なパターンの平面に描かれた見本を見ながら、立体で同じ形を作る木製の積み木やブロック、ボードゲーム、テーブルゲーム等の商品があります。

難易度が高いものもあり、大人でもついつい夢中になってしまう面白いゲームが多いです。

介護の現場で行う際は、グループに分けてみんなで挑戦するのもおすすめ。

また、幼児から小学生くらいのお孫さんがいらっしゃれば、ぜひ一緒に遊んでみてはいかがでしょうか?誕生日のプレゼントにもおすすめです。

まとめ

以上のように、ゲームは老人のボケ防止に非常に有効で、男性も女性も関係なく出来るので介護の現場や高齢の両親がいる場合など、是非取り入れることをおすすめします。

安心してゲームに参加できるよう丁寧に対応し、気軽に質問ができる関係を作ることも大切です。

この他にも、介護や高齢者の健康、生活に関連した記事をアップしていますので、是非合わせてご覧いただき役立ちますと幸いです。

老人がよく寝るのは認知症の予兆?!高齢者に起こりやすい睡眠障害と対策について解説します

睡眠は健康に大きく影響する大切な時間。

ですが老人になると早朝に覚醒したり夜中に何度も目が覚めたりと寝不足を感じる方も少なくありません。

一方で「うちのおじいちゃん、おばあちゃんは日中もよく寝るから大丈夫。」という場合も、実は注意が必要なケースがあることをご存知ですか?

睡眠に大切なのは時間よりもその質。

今回の記事では、睡眠に不安を感じる本人はもちろんそのご家族、介護を行う方に向け、高齢者の睡眠障害やよく寝る「傾眠傾向」に潜む原因や疾患の可能性、対処法について解説します。

どうぞ最後までご覧いただき、皆様に役立ちますと幸いです。

老人の睡眠障害

人は加齢に伴い睡眠時間が短くなる傾向にあり、起床時間が早くなっていくものです。

下手に長く寝てしまうと体が重く逆に疲れてしまう、という方も多いでしょう。

また、眠りが浅く夜中に何度も目が覚める所謂「中途覚醒」に悩まされる高齢者も少なくありません。

また、一日中ウトウトして眠くなってしまう、話しかけて反応し起きてもまたすぐに眠ってしまうといった特徴のある傾眠傾向という症状が高齢者の方には多く見られます。

傾眠は昏迷、昏睡と段階を踏み進行していく意識障害であり、頭がぼーっとしてしまうことで話の内容や情報が理解できない、正常な判断が出来ないといったことだけでなく、意識のレベルによっては転倒や命に関わる事故などが起こる危険もありしっかりとしたサポートや治療が必要となります。

これらの高齢者の睡眠に関する問題にはいくつかの理由が考えられます。

体内時計の変化

睡眠には体温、ホルモン分泌といった生体機能が関係していますが、加齢とともにこの機能が早い時間にずれていくこと、そして深く眠るノンレム睡眠が減少し浅い眠りのレム睡眠が増加する傾向にあることで早朝覚醒や中途覚醒の頻度が増え、全体的に眠りが浅くなると言われています。

身体的な症状

加齢によってトイレが近くなるため、夜中でも尿意を感じて目が覚めてしまったり、足腰や肩、関節の痛みを抱えている人が寝姿勢の状態が続くことや寝返りを打った時に痛くて起きてしまうこともあります。

また、「むずむず脚症候群」と呼ばれる疾患により、特に夕方から夜間、入眠する時に足に虫が這っているいるような感覚や痒みを感じて寝つけないというケースもあります。

薬の副作用

普段薬を服用している方の場合、その副作用として眠くなりやすくなることがあります。

医師や薬剤師の指示に従い、眠くなりやすい薬を飲む際には外出や運転は避ける方が安心です。

また、眠くなっては困る場合はそのような成分が含まれていない、あるいは少ない薬を処方してもらうよう相談することもおすすめです。

体力、機能の低下

体力や神経伝達機能の低下により、すぐに疲れてしまい日中でも眠くなってしまうということもあります。

しかし急によく寝るようになった場合には他の病気の可能性も疑われるため注意が必要です。

脱水

脱水や栄養不足も傾眠や睡眠障害を引き起こす原因となります。こまめな水分補給を積極的に行いバランスのとれた食事をとることは、健康はもちろん良い睡眠にも重要な要素となります。

ただし、夜中にトイレに起きる回数が多い場合、寝る前に摂取する水分の量は調整しましょう。

認知症

アルツハイマー型認知症を発症すると昼夜逆転し睡眠不足を起こしやすくなります。

夜に眠れない分日中に傾眠を引き起こすため、居眠りしている原因が実は認知症の症状だった、ということも考えられます。

また、認知症による無気力から傾眠傾向になることもあります。

病気

睡眠障害をもたらす病気は認知症の他にもいくつか考えられます。

主に高血圧や低血圧、糖尿病、慢性硬膜下血腫、うつ病、パーキンソン病、場所や状況を問わず異常に眠気が強く突然眠ってしまうナルコレプシーなどがありますので、少しでも様子がおかしい場合は早めに医療機関を受診するようにしましょう。

老人の睡眠障害の対策

不眠、眠りが浅い、日中の眠気が強い、睡眠時間が短い、過眠など睡眠障害を予防・改善するために、効果が期待できる日常生活での対策について紹介します。

生活リズムを整える

まずは基本的な生活リズムを整えることが大切です。

朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる。そこで自然に体を目覚めさせ、日中は散歩などの軽い活動を30分程度は行う。食事や入浴の時間もできるだけ毎日同じ時間にすると体内時計も整いやすくなります。

睡眠環境の改善

使っているお布団を心地よいものにする。枕や敷布団、マットレスを体に合ったものに変える等、睡眠環境を整えることも良い睡眠をとるために大切なことです。

また、就寝前のテレビやスマートフォンの利用、明るい電気などは目や脳の働きに刺激を与え興奮して目が冴えてしまい眠りにくくなるリスクが大きく、そのため寝る2時間前には避けることをおすすめします。

体調管理

睡眠障害の原因で紹介したように病気が原因であることも考えられるため、毎日の血圧測定や体温のチェックで体調を管理することも特に高齢者の方には重要です。

血圧の変化や発熱などは睡眠に関わらず病気になった際の早期発見にもつながります。

まとめ

以上のように老人になると睡眠に関連したトラブルが起こりやすくなります。

寝不足や眠りが浅いことで日中の生活に影響が出たり、よく寝るからといって問題がないわけではなく病気を引き起こしたり前兆となるケースもあるため、日頃から状態を確認することがとても大切です。

睡眠障害への対策のポイントは、起床時間や就寝時間、食事や運動などの生活のリズムと睡眠環境を整えること。

もしこれらに問題があるようなら見直しを検討し、改善を促す等、適切な対応を行いましょう。

老人の浪費癖はなぜ起こる?対策方法は?注意点もあわせて解説

「高齢の親の浪費癖がひどく困っている」

これは高齢者のご家族から相談を寄せられる悩みの1つで、実は高齢者の金銭トラブルは非常に多い事案となっています。

必要のない商品を大量に買ってきてしまったり、必要以上にお金を使ってしまうといったことが増えると心配になってしまいますよね。

お金に関する問題はデリケートであるものの、周囲への被害も大きいため放置するわけにはいきません。

そこで今回の記事では、老人の浪費癖の原因と対策のポイント、注意点について解説してまいります。

どうぞ最後までご覧にいただき、皆様の参考になればと思います。

浪費癖とは

そもそも浪費癖とはどのような状態のことを言うのでしょうか。

一般的にはお金を無駄使いすることを指しますが、時に金銭だけでなく体力や時間、物を無駄に使うことを指す場合もあります。

計画性なくお金を使ってしまう、使ってもいい限度を超えてもお金を使ってしまう人は、浪費癖があると言えます。

老人の浪費癖とは

一般的な浪費癖の原因は「心理的な欲求不満」と言われており、買い物などで自分を満たすことが癖となり、不満を感じる度にお金を使い続けてしまいます。

お金を使って満たされる効果は一時的なものですから、いくらお金があっても足りず衝動買いを繰り返します。

自分が本当は何に悩んでいるのか、何を思っているのかを見ないよう「浪費」という本当の欲求とは違う方法で誤魔化しているため、本人が気付きにくく早期発見できるケースが少ないというのも特徴で、ストレス発散や見栄っ張りな性格によりお金を使うことも、ここに当てはまるでしょう。

一方で老人の浪費癖の場合、こういった原因のほか、主に以下の理由が考えられます。

・昔から浪費癖がある

・会社で働いていた頃、給料があった頃と感覚が変わらずお金を使ってしまう

・認知症を発症している

若い頃から浪費癖があり、高齢になっても変わることなく浪費しているケース。収入や経済状況が変わったにも関わらず、昔の感覚のまま支出してしまうケース。そして認知症の症状により浪費癖になってしまったケースです。

特に認知症の場合、認知機能の低下による記憶障害や判断力の低下で金銭管理や欲求へのコントロールが出来なくなり、貯金や年金、老後のための資金などを使い果たしてしまうことが少なくありません。そしてお金がなくなることで不安が強くなり更にお金に執着してしまうのです。

老人の浪費癖で起こり得る問題

老人の浪費癖はさまざまな問題を引き起こします。

悪徳商法や詐欺被害

高齢者が訪問販売や電話勧誘などの手法を使った悪徳商法や架空請求により被害にあうニュースを皆さんも一度は見たり耳にしたことがあるかと思います。

特に浪費癖がある方の場合簡単にローンの契約や商品の購入をしてしまいやすくなる傾向にあり、家族が知らないうちにトラブルに巻き込まれるケースが多くあります。

被害妄想と執着

認知症の方によく見られる症状の1つに、「お金を盗まれた」と思い込んでしまう妄想があります。

普段介護やお世話をしている家族やヘルパーさんなどが疑われ暴言を吐かれることがよくあり、揉めてしまうことも少なくなく周囲にとってもつらい症状ですよね。

また、必要がない場面でもお金や財布を持っていないと強い不安を感じてしまうということもあります。

家族への負担

心理的な負担だけでなく、実際に借金をしてしまったり、介護や医療で支払いが必要な費用が足りなく払えなくなってしまった場合には家族が立て替えなければならなくなるケースもあります。

その結果、家計がひっ迫し生活に支障をきたす可能性もあるでしょう。

また、家族が立て替えられなくなり、本人が必要な医療や介護保険のサービスを受けられないといった問題も起こります。

老人の浪費癖の対策

それでは、浪費癖の高齢者のお金を管理するための対応方法についてご紹介していきましょう。

外出時に同行する

買い物を1人でしないよう外出する際には同行し、高額な買い物や不要な買い物でお金を使わせないようにします。

その際、本人が気を悪くしないよう「同じ物が家にたくさんあったよ。」「あっちの方が安いよ。」など優しく伝えるようにしましょう。

お金の管理者を決める

次に家族や親族間で話し合いを行い、誰がどこでお金を管理するかを決めておきます。

一人でまとめて財産の管理する以外にも、何人かで割合を決めたり、貯蓄や年金など毎月入ってくるお金、支払い等に分けてそれぞれで管理者を決めるのも良いでしょう。

先述したように、認知症の場合はお金を盗まれたと思い込んだり、お金を誰かに管理されることを嫌がられる可能性も高いのですが、その負担が強い場合には「家族信託・民事信託」と言う信託契約を結び法的に家族(等、信頼できる人)が管理を行えるようになる手法もあります。

日常生活支援事業を活用する

認知症などにより判断能力が低下した人の生活を全面的に支援するための制度として「日常生活支援事業」というものがあります。

生活支援員やホームヘルパーが生活に必要なさまざまなサポートを行ってくれ、その中に日常生活における消費契約も含まれます。

1回あたり1,200円程の費用がかかりますが、家族の同行や管理が難しい時に活用してみるのをおすすめします。

成年後見制度を利用する

認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分な人を守るため、契約や手続きをサポートしてくれる制度です。

子どもたちが全員、実家から離れて暮らしていて父や母の近くで管理することが難しい場合などに利用されますが、利用には注意も必要です。

本人に判断能力があるうちであれば、事前に後見人になる人を決められる「任意後見」が使えますが、既に判断能力が不十分な場合は家庭裁判所によって後見人が選任される「法定後見」が適用されるため、家族以外の弁護士や司法書士等が選ばれる可能性があります。その際は異議申し立てや家族の意向による交代が出来なかったり、後見人に報酬を払う必要がある等いくつかの注意しなければならないこともありますので、利用する前にしっかりと成年後見制度に関連する情報をサイトで検索したり専門家の話を聞くなどして調べてから利用するようにしましょう。

老人の浪費癖でやってはいけないこと

浪費があるからといって無理に財布や通帳を取り上げることはやめましょう。

先述しているように、浪費癖のある高齢者はお金に執着している可能性が高く、お金がないことへの不安やストレスはかなり大きいですし、人からお金を取り上げられることで自尊心が傷つけられ、取り上げた人に対して強い不信感を抱き更に遠ざけようとしてしまい失敗に終わってしまうでしょう。

そのため、本人に分かりやすく丁寧に説明しながら、無理矢理ではなく少しでも納得してもらえる形で管理させてもらえるよう努めましょう。

老人の部屋が臭いのはなぜ?原因と今すぐできる対策を解説

「同居している高齢者の家族の部屋が臭い」「在宅介護で介護特有のにおいが気になる」等、介護を始めたばかりで老人から発せられる独特な匂いに関する悩みや疑問をお持ちの方は少なくありません。

しかし臭いというのは人の尊厳にも関わり指摘しにくい問題です。そのため言われた人は大きなショックを受けるでしょう。

そこで今回の記事では、なぜ老人の部屋が臭いのか、その原因や在宅介護などで直面するさまざまな「ニオイ」の対策や方法について解説していきます。

現在は問題なくても、知っておけばいざという時に困らずに済みますので、どうぞ最後までご覧いただき参考にしていただければと思います。

老人の部屋が臭い原因は何?

高齢者の主なにおいの種類とその特徴について紹介していきます。

加齢臭

年齢を重ねるにつれて出てくる臭いの代表と言えば「加齢臭」です。

中高年特有の臭いで、よく「古本や枯草、古い畳に似たにおい」と表現されることがあります。

加齢によって汗や皮脂が酸化・分解されて出来る「ノネナール」という物質が臭いの原因で、更年期以降はどんどん強くなると言われています。また、ストレスも加齢臭を強くする要因の1つとされています。

口臭

年を取るにつれて唾液の分泌量が減り、口腔内が乾燥しやすくなることで雑菌が繁殖し臭いが発生します。

特に高齢者の場合、食事の時の噛む力や飲み込む力が低下し口の中に食べ物のカスが付着しやすく口臭の原因となったり、虫歯や歯周病があっても歯医者さんになかなか行かず口臭へとつながるケースが多くあります。

口臭は寝ている間にたくさん吐き出されるため、部屋全体に臭いが充満してしまうんですね。

排せつ臭

介護を行っている場合に気になるのは尿や便の排泄臭です。

おむつやポータブルトイレを使用している場合は特に深刻な悩みとなるでしょう。

排泄に関しては高齢者本人が悩んでいる場合が多いため、指摘したりすると深く傷つけてしまう可能性が高い反面、介護者や一緒に暮らす家族にとって大きなストレスとなる場合があるため、配慮が必要な問題となってきます。

すぐ出来るニオイの対策

以上のようにいくつかの原因で高齢者はニオイを発しやすい状況にありますが、仕方ないことだと放置してしまうと本人はもちろん、家族の生活にも支障が出たり生活の質を低下させかねません。

以下はすぐに取り組めるニオイの対処法です。ぜひ臭いにお悩みの場合はお試しください。

部屋はこまめに換気

部屋が臭う場合、やはり定期的に換気することが大切です。

最低でも1日1回は窓を開けて外の綺麗な空気を取り込みましょう。

室内で排泄をしている場合は、排泄の後にその都度少し窓を開けておいたり、冬場など寒くて窓が開けられない場合は空気清浄機や介護・ペット・タバコの臭い対策にも使える脱臭機なら時間や気温を気にせず利用できるためおすすめです。

消臭剤の活用

部屋用の置き型の消臭剤はドラッグストア等でたくさん販売されているため、手軽に購入することが可能です。使い方も気になる場所に置くだけと簡単です。

さまざまな商品がありますが、香りの強い芳香剤は避け、無香料や香りの弱い爽やかなもの、芳香ではなく脱臭のみのタイプを選ぶことがおすすめ。

また、部屋を掃除しても下着やシーツをこまめに取り替えてもなかなか臭いが取れないという相談がありますが、壁やベッド、カーテン等に臭いが付着しとれない可能性があります。

その場合、ファブリック用や空間用の消臭スプレーがおすすめです。

空間用のスプレーは「今すぐ悪臭を消したい!」という時にシューっとスプレーするだけで高い効果を実感できるため、臭いがきつく辛いという時は是非使ってみて下さい。

その際、人のいる方に向けて噴射しないようにすること、本人の前で行うと「臭い」と感じていることがあからさまなため、出来れば本人が在室している以外の時間に行うようにしましょう。

加齢臭向けや介護臭に特化した商品もありますので、臭いの原因によって探してみると良いですよ。

食生活の改善

日常の食事は臭いに大きな影響をもたらします。

例えば加齢臭であれば皮脂の酸化を抑制するために食事を見直すことが有効で、出来るだけ動物性脂肪を控え、ビタミンCやビタミンE、アントシアニンを含んだ食品を積極的に摂ると良いでしょう。

また、肉類やにんにく、香辛料などをたくさん摂りすぎると、口臭だけでなく体臭や排泄臭の原因になることもあります。

好きな食べ物であれば無理に減らすとストレスになってしまうので、「食べ過ぎない。他の食品もバランス良く食べる。」ということを意識してみましょう。

老人はなぜ頑固になるの?原因や対処法をわかりやすく解説します

「老人は頭が頑固な人が多くコミュニケーションが取りずらい」「実家の両親が最近怒りやすくなった」「年を重ねると共に他人の言うことや意見に耳をかさなくなっている気がする。」

高齢になった親や周囲の老人に対し、このように感じることはありませんか?

今まで穏やかで柔軟な性格だったのに急に頑固になってしまい何かあったのか、病気ではないのかと心配や不安に駆られている方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回の記事では、年齢を重ねるごとに頑固になっていく原因やその対策、コミュニケーションのポイントについて解説してまいります。

どうぞ最後までご覧ください。

老人が頑固になるのは「脳の老化」のせいだった!?

歳をとると足腰が弱ったり、目が見えにくくなったり、耳が遠くなったりと身体的な機能の低下が見られますが、判断力や理解力が弱ったり物覚えが悪くなったりと認知機能の機能の低下も現れてきます。

この認知機能の低下、いわゆる脳の老化によって、他人や自分のこと、そして新しい物事を理解することが難しくなり、段々とその思考や行動自体を負担に感じてきてしまうのです。

そうなると、上手くいかないこと、負担の大きいことにエネルギーを費やすことをやめ、自分が既に知っていること、正しいと思っていること以外は取り込まないようにする=頑固者になっていくのです。

特にこの世代の男性や会社で上の立場にいた男性は、過去の自分の立場や人からの見られ方にこだわる人が多く、歳を取って出来なくなってきた自分や人から何かを教えられる立場になったことに強い抵抗を示す方も多いため、より頑固になる傾向が高いようです。

老人が頑固になるのは「認知症」の症状である場合も・・・

老人が頑固になる上記以外の理由として、「認知症」が原因であるケースもあります。

認知症の初期症状には「性格の変化」という特徴がよく見られます。

認知症というと本人は何も分からなくなってしまうと思われがちですが、実際は自分自身の変化に不安や戸惑いを感じる方が非常に多く、忘れてしまうこと、新しい物事が覚えられないことなどを隠したい、受け入れたくないといった思いから周囲には頑固になったと感じられる振る舞いをするようになります。

また、認知症になると感情のコントロールが困難になるため、これまでには見られなかったような態度や暴言等が出てしまうこともあります。

家族や身近な人は、このような違和感や異常を感じたら早めに病院を受診させることが重要です。

頑固になった老人への対処法は?

老化や認知症により頑固になった高齢者とコミュニケーションを取ることは、なかなか難しいものです。

しかしそれで周りが接することをやめてしまっては、ますます頑固さが強く進むことでしょう。

日本は超高齢化社会という問題もあり、高齢者とコミュニケーションを取ることが必要な場面は今後ますます増えていきます。

そこで老人の頑固さが少し和らぐ、落ち着くような、よい方法はあるのでしょうか?以下に紹介していきます。

1.否定しない、感情的にならない

老人が頑固になる理由で説明した通り、なぜ頑固になっているのかは本人が無意識にでも心の中で一番分かっています。

そのため、何度言っても分からなかったり失敗してしまったりしても、周りがそのことを感情的に怒ったり否定することはやめましょう。

たとえ物事が理解できなくなっても意思は消えていませんしプライドもあります。心理的に拒否されると、そこからコミュニケーションを取ることは更に難しくなります。

人生の先輩として敬う気持ちを忘れず、まずは注意などをする前になぜ頑固な態度をとるのかを考え、出来なくなったことを手助けする寄り添う気持ちを持って接すると、それは必ず本人に伝わりますのでこれを続け、すると「この人は私を否定しない。」と感じ、次第に心を開き話を聞いてもらえやすくなる可能性があります。

2.話す時はゆっくりと丁寧に

早口だったり声が小さかったり言葉が足りなかったりすることで、相手が何を言っているのか分からないと感じそれ以上聞く耳を持たなくなってしまうケースもあります。

そのため、話し方や速度、声の大きさ等に注意することも必要です。

なるべくゆっくりと、わかりやすく話すことを意識し、返事を焦らせたりイライラするような態度を出さないように気を付けましょう。

また、座っている方を相手に話をする時は自分もしゃがんだり座ったりして目線を合わせることも大切です。

立ったまま見下ろす形で話されると威圧感を与えたり、見下しているような印象を与えてしまうため、目線の高さを合わせて安心して話せる状態を作りましょう。

3.新しい体験の楽しさを伝える

頑固になった老人の中には、若い頃の成功体験が忘れられずいつまでもそこにこだわっている方が少なくありません。

そしてそれは結果tとして「新しい経験で失敗することへの恐れ」にもつながっている場合もあります。

過去の栄光は過去の栄光として素晴らしい思い出として残し、まだまだ新しい体験の中で発見する楽しみや喜び、成功があることを分かってもらうことで新たな生きがいを見つけられるのです。

新しい人間関係、初めて食べる料理や食材、初めて行く場所などでも良いでしょう。

大きな成功でなくとも、日々の中で新たな「好き」を見つける小さな発見を楽しめるようサポートしてあげましょう。

自分たちで行うことが難しい場合は地域で行われている高齢者サークルへ参加したり、民間の高齢者向けサービスを利用することがおすすめです。

インターネットのサイトや地域包括支援センター等で情報を集めることが出来ます。

老人が暮らす家がゴミ屋敷になる原因と今すぐ出来る対策を解説!

超高齢化社会である日本。2023年の現在も依然としてその傾向は高まっています。

それにより一人暮らしをしている老人や高齢者の夫婦のみで暮らす家庭も増えており、そこにはさまざまな問題や不安が生じています。

その中の1つに「ゴミ屋敷」という問題があることをご存知でしょうか?

ゴミ屋敷については定期的にテレビのニュースやドキュメンタリー番組で取り上げられていますので、目にしたことがある人も多いかと思います。

当事者の年齢や性別はさまざまではありますが、実は高齢者の家がゴミ屋敷になっているという事例は少なくありません。

この記事を読まれている方の中にも、親が暮らす実家や近所に住む老人の家のゴミや不衛生さが気になる、という方がいらっしゃるかと思います。それはなぜなのでしょうか。

そこで今回の記事では、老人の家がゴミ屋敷になってしまう原因、ゴミ屋敷となってしまった場合の対処法、そして予防、防止するための対策について解説してまいります。

ぜひ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。

老人の家がゴミ屋敷になる主な原因5選

両親が暮らす実家に帰省した時に、「昔はとても几帳面で綺麗好きだったのに、年をとるにつれて片付けや掃除がされなくなってきた。」と感じたことはありませんか?

実は高齢者には部屋をゴミ屋敷にしてしまういくつかの要因があるのです。

1.気力や体力の低下

高齢により足腰が弱ったり、目や耳、筋力等の身体的な機能が衰えてきます。

若い頃と比べて掃除や物を整理するといった日常生活の動作や作業がつらくなり、頻度が減っていくこともあります。

また、散らかった部屋を片付けることは若い人でも「えい!」と気合いが必要な場合があるでしょう。しかし加齢によりそのような気力が低下し、なかなか重い腰を上げられず片付けが進まない、というケースも多いです。

2.認知機能の低下

高齢になるにつれて、身体機能だけでなく脳の認知機能も低下していきます。

認知症を発症している場合はもちろんですが、そうでなくても加齢と共に徐々に認知機能は衰えてくるもの。

ゴミをゴミなのかどうか判断出来なくなったり、捨てるべきものなのか判断できず放置してしまったりと、その場で判断して対応するということが難しくなってきます。

ゴミの収集日を忘れてしまったり、ごみの分別が分からない、ゴミ出しのルールが分からない等といった問題も出てくるでしょう。

そして結果的に「気付いたらゴミが溜まって手がつけられなくなっていた。」という状況を招いてしまうのです。

3.セルフネグレクト

「セルフネグレクト」という言葉をご存知でしょうか。

セルフネグレクトとは、「本人自身の基本ニーズ(衛生面、服飾面、食事など)を顧みない行為」、つまり実際に生活している環境や栄養状態、衛生状態が悪化しているにもかかわらず、それを改善しようとしたり周囲に助けを求めたりすることをしない状態のことを言います。

これは上記で説明したように、加齢により体力や気力、認知機能が低下により、自分の生活にとって当たり前に必要な行為(トイレでの排せつ、入浴、食事、通院など)を行わなくなってしまうことで起こることが考えられ、ゴミ屋敷化だけでなく最悪の場合は孤独死につながってしまう危険があるため注意が必要です。

4.精神疾患

認知症やアルツハイマー以外にも、うつ病や統合失調症、アルコール依存症といった疾患や発達障害(ADHD)を持っている場合にも、そうでない人と比べて家がゴミ屋敷化しやすくなります。

5.「もったいない」「捨ててはいけない」という心理

「いつか使うかも知れない」「いつか役に立つかも知れない」「壊れてもいないのに捨ててはいけない」等の考えを持っている高齢者の方は多いですよね。

戦時中や戦後の日本を経験したことも強く影響しているものと思います。

そのため、必要がないのに捨てることが出来ずため込んでしまい、家の中が物で溢れてしまいゴミ屋敷になってしまうケースもあります。

何かを収集する趣味や癖がある場合も注意です。

老人のゴミ屋敷が引き起こす問題

以上のような理由から高齢者の家がゴミ屋敷となってしまった場合、どのような問題や被害が生じてしまうのでしょうか?以下に具体的に紹介していきましょう。

1.病気、ケガ

ゴミ屋敷になると食べ物の生ごみが腐り、ダニやゴキブリなどの害虫やネズミが大量に発生します。これらの生物には病原菌を媒介するものがいる可能性が高く、それにより病気に感染してしまうリスクが高くなります。

特に高齢者は抵抗力や免疫力が低いため、より病気にかかりやすくなるでしょう。

また、カビによってアレルギーや気管支炎を招く場合や、汚れた食器などを使って食中毒の原因となることも考えられます。

物が散乱していることでつまづいて転倒し、ケガをしてしまう場合もあるでしょう。

2.火災

ゴミ屋敷で怖いのは火災の危険があることです。

コンセントにたまった埃によるトラッキング火災や、ネズミが発生し電気コードをかじられるなどして火災の危険性が非常に増えるのです。

また、それらから発火すると周りにあるゴミに燃え移り、あっという間に火の手が広がってしまうこともゴミ屋敷では大いに考えられます。

3.近隣住民とのトラブル

ゴミ屋敷はそこに住んでいる本人だけでなく、近隣住民にも被害が及びます。

上記のような害虫の発生や火災の他に、強い悪臭や周囲に散らばるゴミ等により、近くの住人の生活に支障をきたす場合や、そのエリアの価値や評判が下がるケースも考えられます。

自分たちは気にならないからと思わず、周りにも被害や迷惑をかけていることを認識して少しでも早く解決するよう行動することが重要です。

ゴミ屋敷となってしまった時の対応は?

既にゴミ屋敷となってしまった場合、本人から周囲を頼ったりヘルプを出すことは非常に難しいのが現実です。

そこで子供や家族、周囲の人、各自治体が考える必要があります。

全国の自治体ではゴミ屋敷に関する条例を出しているところが多く、その原因を踏まえて強制的な対応を取らず、まずは「支援」という形で気持ちに寄り添った対応や相談に乗ってもらえます。

自治体によってはゴミ屋敷となった原因によりゴミの処分や不用品の回収にかかる費用の負担を免除してくれるところもありますので、まずは住んでいる町の制度を確認し、利用できそうなサービスを活用することをおすすめします。

また、もし賃貸物件の場合は管理会社や大家さんに相談することも大切です。

トラブルに発展しないよう事情を説明し、必要があれば弁護士や司法書士など法律の専門家のアドバイスを受けることもおすすめです。

他に、ある程度高い費用はかかりますがゴミ屋敷の片付け、清掃を専門とした民間の清掃業者も多くあります。自分たちの手では無理な状態になってしまっている場合には思い切ってプロに依頼してしまうことも検討してみましょう。Webサイト等で情報を集めることが可能です。料金やお客様の声、どんな作業を行うかプランの内容等をチェックするとよいでしょう。

老人の家がゴミ屋敷になる前に!すぐにやるべき対策

「まだゴミ屋敷ではないし、そんなに大袈裟なことにはならないだろう・・・。」と思っている場合でも、日頃から注意しゴミ屋敷化を予防するための対策をとることは非常に大切です。

そのために周りが出来ることを以下に紹介します。

1.こまめに連絡をとる

高齢になると外出が億劫になり、他者との交流も減ってしまいがちです。

すると他人の目を気にしなくなり部屋が汚くなってしまったり、認知機能の低下が進む原因にもなります。

そこで日頃からこまめに電話をしたり、実際に訪問するようにしましょう。

人の目があることを意識させるだけでも効果はありますが、心身の変化や問題にも気付きやすくなるというメリットもありますし、一緒に掃除や片付けを手伝うことでゴミ屋敷を未然に防ぐことも出来ます。

また、家族だけでなく地域と交流する機会を増やすことも大切です。

ゴミ屋敷を予防するだけでなく、人との出会いやコミュニケーションを取ることは心の健康に大きく影響し、気力の回復や新たな生きがいを見つけるといった効果も期待できます。

悩みがある際に気軽に相談できる相手も見つけられるかも知れません。

身近な高齢者サークルや地域のイベントの参加などを促したり、地域の見守りサービスを利用する等の方法で周りとつながることを行ってみる良いでしょう。

2.介護サービスの利用

介護が必要とされる場合は介護サービスを利用することもゴミ屋敷対策になるでしょう。

人によっては上記のような交流が苦手な場合もありますが、介護サービスであれば受け入れやすいかも知れません。

介護スタッフとの交流はもちろん、自宅に訪問してもらうことでゴミ屋敷の予防になりますし、通所介護サービスであれば人との交流や機能訓練を通して身体機能の向上が期待できます。

介護保険サービスを受ける場合は要介護認定を受ける必要がありますので、ケアマネジャーや自治体の窓口、地域包括支援センターに相談して下さい。

3.ゴミの危険性や頼れる人がいることを分かってもらう

ゴミを放置することでどんな危険があるのかを伝え、本人に理解し納得してもらうことも大切です。

たかがゴミだと思われているかも知れませんが、健康やケガのリスク、周囲への被害のリスク等、ここで紹介した内容を優しく丁寧に説明してみましょう。

また、このように心配している存在がいること、頼ってもいい人がいること、手助けしてくれる人がいることも同時に伝え、困ったときに一人でためこみ辛くなる前に相談してもらえる関係作りや相談先、生活支援サービスについて分かっておいてもらうことも高齢者が安心して暮らしていく上でとても必要なことです。

老人が脳トレで得られる効果と実施の注意点は?おすすめの脳トレも紹介

さまざまな世代に人気の脳トレですが、特にデイサービスや老人ホームでのレクリエーションをはじめ、介護施設や高齢者向けのイベントでは2023年の今も積極的に実施されています。

最近では気軽に脳トレできるスマホの無料アプリやゲームも人気ですよね。

そこで今回の記事では、老人が脳トレをするとどのような効果があるのか、そして脳トレを行う時の注意点やおすすめの脳トレ等の情報を中心に解説してまいります。

どうぞ最後までご覧いただき、皆様に役立ちますと幸いです。

老人の脳トレにはどんな効果があるの?

脳トレは男女の性別も関係なく、参加する人の年齢や状態、状況に合わせて難易度を変えることも出来、準備するものも少なく手軽に行いやすいということでデイサービスや介護施設、老人向けのサービスで大変人気なレクの一つとなっています。

しかし人気の理由はそれだけではなく、しっかりとした効果を感じられるということも選ばれる大きなポイントでしょう。

そこで、高齢者が脳トレを行うことで得られる主な効果を説明していきます。

認知症予防として

年齢を重ねるとともに、人はどうしても脳機能や認知機能が低下していきます。

その結果、認知症の発症へとつながっていくケースがあり、高齢者ご本人や家族にとって不安に感じているのではないでしょうか。

脳トレはクイズや計算、なぞなぞ等、頭を使う・脳を鍛えるトレーニングゲームです。

頭を使うと脳に刺激が加わり、脳内の血流が良くなって脳が活性化するため、それが認知機能の低下を防ぐ・向上させる=認知症の予防効果が期待できると言われています。

人とのコミュニケーションが生まれる

脳トレは一人で行えるものもありますが、デイサービス等で他の利用者たちと一緒に行う場合、ゲームを通して質問などの会話をしたり笑い合ったり、コミュニケーションをとる時間にもなります。

そもそも老人になると会社を定年退職するなど外出することや新たな人間関係を作る機会が大幅に減少し、生活の中で他の人と交流する機会がなく家に引きこもりがちになったり、頭や言葉を使わなくなったり、孤独を感じ精神的にうつっぽい症状になる方も少なくありません。

そこで脳トレを通して他者と交流することが増え、人とのつながりを感じ安心したり、日々の楽しみを見つけたりと精神的な充足感が高まる効果が期待できます。

ストレス発散

精神的な不安や心配の他に、体や脳の衰えを感じたり、持病や健康上の問題、家族や人間関係などでストレスを抱えている高齢者は意外と多く、その気持ちを発散できる場所というのはなかなかありません。

そこで脳トレを継続していくことで、集中できる時間、楽しめる時間を日常生活の中で作ることができ、ストレスを溜め込む前にこまめに気分のリフレッシュやストレス発散することが精神的・身体的に健康につながるのです。

老人が脳トレを行う際のコツと注意すること

以上のように脳トレにはたくさんの効果がありますが、介護施設などで高齢者を対象とした脳トレを実施する際、いくつかの点を気を付けないと逆にストレスが溜まってしまったり自信を無くしたり、介護サービスの施設へ通うことも嫌になってしまうといった逆効果になってしまうことがあります。

例えば、一つも当てられない、やり遂げられないような難しい問題ばかりでは達成感も得られませんし自信を失ってしまう可能性があります。

逆に簡単すぎる問題ばかりだと馬鹿にされていると感じ、プライドが傷つく方もいるでしょう。

そのため、参加者の能力や状態を把握し、さまざまな難易度の問題やゲームを用意したり、職員やスタッフの声かけの言葉や態度も気を付けて対応しましょう。

また、脳トレは正解すること、クリアすることが目的ではありません。過程の中で考えることが大切ですので、勝敗をつけるようなゲームや勝敗を強調するような進行は避けた方がよいでしょう。

答えを焦らせるのも禁物です。時間にゆとりを持って進行するよう注意して下さい。

老人におすすめの脳トレ7選

それでは次に、高齢者の方が楽しめる脳トレをいくつかご紹介します。

なぞなぞ

なぞなぞは誰もが知っている、子どもの頃に一度はやったことがある遊びであり、難しいルールもなく頭をいっぱい使うため、脳トレとして非常に人気です。

特に過去の記憶をたどったり、何かを思い出そうとイメージする行為は脳にたくさんの刺激を与え脳が活性化されます。

また、なぞなぞが自分の力で解けた時や分からなくても正解を聞いて「ああ!そうだった!」と納得した時の満足感は気持ちが良く、ストレスの解消にもつながります。

計算問題

計算も頭を非常に使うため、認知症の防止としてよく用いられます。

計算問題の脳トレを行う時は参加者の個人の能力により難易度を変える必要があるということに注意しましょう。

基本は九九や小学校低学年くらいの時に習うような簡単な問題にすると良いでしょう。

「3+〇=15」等、数字の穴埋めも良いですね。

ホワイトボードに書かれた問題を解くよりは、紙とえんぴつを渡し一人ひとり自分でじっくりと解いていくことで自分のペースで進められ、指先を動かすことも出来るためおすすめです。

漢字問題

漢字は得意とする高齢者の方が多い分野なのでおすすめです。

普段はカタカナで書くような魚や鳥、花の漢字の書き方、または読み方のクイズや、四字熟語の穴あき問題などはいかがでしょうか。

記憶力だけでなく想像力も使いながら楽しむことができるでしょう。

歌詞の穴埋めクイズ

高齢者の皆さんが子どもの頃や青春時代に流行った歌の歌詞の穴埋めクイズも盛り上がります。

皆さん歌いながら思い出そうとしますし、正解が発表された後にみんなで歌ってみるのも楽しいですよね。

参加者の方の好きな曲などを事前にリサーチしておくと、コミュニケーションにもなりますし曲選びにも困りません。

クロスワードパズル

クロスワードパズルは雑誌も販売されており、実際に趣味として挑戦している方も多い脳トレです。

同じクロスワードでもテーマはさまざまで、数字を探すだけでなく熟語の連想や文字などの穴埋めの物もありますので、好みのものを選ぶと良いでしょう。すべて解くことで何かの絵が完成するといったものもあります。

最初は簡単なものから始め、慣れてきたら徐々に難易度を上げて挑戦していきましょう。

間違い探し

間違い探しはその名の通り、2つのイラストや写真を見比べて複数の間違いを探すゲームです。

間違い探しの本やインターネットで検索すると無料で利用できる間違い探しのサイトやイラストがたくさん出てきますので、そのような使えるものをうまく活用すると準備も簡単です。

大きく拡大してみんなで当てるという方法もおすすめです。

間違い探しは一つの問題の中にさまざまな難易度の間違いを入れ込むことが出来ますので、幅広い方を対象に実施することが出来ます。

体操

計算やクイズだけでなく、体や手を使った体操や軽い運動も脳トレになります。

例えば親指から小指まで1本ずつ曲げ、次は逆から曲げていく体操や指まわし、後出しじゃんけん(勝つように、負けるように出す)、足踏み等、頭を使いながら簡単に動けるような内容や座ったままできる体操を中心に実施しましょう。

参加者の状態をよく見極め、くれぐれもケガのないよう気を付けて行いましょう。

老人が独り言を言うのはなぜ?認知症の初期症状の可能性も

「最近、高齢の親の独り言が多くなった」「老人がずっと独り言を言っているのはなぜ?」

と感じることはありませんか。

「たかが独り言、特に気にしていない」という方も多いかと思いますが、もしかしたらその独り言、認知症が原因かも知れません。

そこで今回の記事では、認知症の症状としての独り言、その原因や対策、注意したい点について解説いたします。

どうぞ最後までご覧いただき、皆様の参考になれば幸いです。

老人の独り言が認知症の症状と言われる原因

認知症というと、認知機能の低下により食事、人を記憶できず物忘れをよくする、集中力や理解力が低下する、徘徊の他、性格の変化といった症状がテレビ等でも紹介されよく知られているかと思います。

これらの症状はすべての認知症患者に現れるわけではなく、本人の性格や置かれている環境などが影響し人によって症状の種類や度合いには違いがありますが、以前は自分で出来ていたことが出来なくなっていること気付いたり、家族や周囲からの対応によって自尊心やプライドが傷ついたり、強い不安を感じるようになることが少なくありません。

すると結果として認知症の周辺症状の一つである「せん妄」を発症することがあります。

せん妄とは、見当識障害により幻覚や妄想を引き起こされ、支離滅裂な行動をとったり『独り言』が多くなるといった症状があるため、独り言が多くなった=認知症の可能性があると考えられているのです。

認知症の症状としての独り言の特徴

同じ独り言でもただの独り言なのか認知症の症状なのかを判別するために、認知症でよく見られる主な独り言の特徴を以下に紹介しましょう。

見えない人と話している

「あなたは誰?」まるで隣に人がいるかのように見えない相手と話しをしたり笑っている老人を見かけ怖いと感じた経験はありませんか?

このような見えない誰かと会話しているような独り言は、レビー小体型認知症と呼ばれる認知症によく見られる症状です。

レビー小体型認知症とは、異常なたんぱく質が脳の神経細胞に蓄積されることで発症する、アルツハイマー型認知症に次いで二番目に多い認知症です。

認知機能が良い時と悪い時の波がありますが、悪い時には幻視や異常行動、抑うつ症状、手足の震えや筋肉のこわばりといったパーキンソン症状などが出ます。

この中で独り言は幻視の症状が出ることによって引き起こされます。

状況に合わないことを話している

先述したように、認知症の周辺症状として「せん妄」を合併している場合、独り言の内容が今の状況と合っておらず、周りの人にとっては意味のわからないことを言い始めたり、状況を勘違いして興奮したり怒ったりして大きな声を出すことがあります。

一般的な独り言とは明らかに状態が違うため、認知症による独り言であると判断しやすいでしょう。

老人の独り言への対応方法と注意点

以上のことから、「独り言が増えたな」と気になった際は、まずは医療機関を受診することをおすすめします。

適切な薬の処方で症状が随分落ち着くことも少なくありません。

また認知症と診断されたら、独り言の原因となっている理由を考えます。

多くの場合、何かに対して強く不安を抱えていることが原因となっているケースが多いので、どんなことに不安や心配を感じているのか本人に丁寧に聞く、そして本人が言う言葉を否定せずに受け止めることが大切です。

独り言の症状が出ている時の対応としては、部屋を明るくしたり、優しく「大丈夫だよ」と声をかけ手を握ってあげる等をして安心させてあげると良いでしょう。

また、日頃から不安を取り除いてあげられるような環境や状況作りを行い、孤独感や不安感を感じさせないようコミュニケーションを取ることが症状を緩和させるのに効果的です。

とはいえ家で一緒に暮らしながら高齢者の介護をしている家族のみんなにとっては悩みやストレス、疲れが蓄積しやすく気持ちも体も大変でしょう。

そんな時は一人で問題を抱え込まず、自治体の窓口や福祉サービスに悩みを相談をしたり、介護サービスを利用して認知症の専門家に毎日のケアやサポートを受けることも重要です。

思っていることを吐き出し、話を聞いてもらうことで気持ちが前を向けたり、必要な情報を得られるといったことが期待できます。

デイサービスやショートステイ等の施設に通所したり、自宅に訪問介護を呼んだりして、無理せず自分を休ませ、美味しいものを食べたり、お出かけをしたり、体調を整える時間も重要であることを理解して下さいね。

老人が怒りやすいのはなぜ?その理由と対策を解説します

「親が年を取ってから怒りやすくなった」「突然怒りだす老人がいて怖い」など感じたことはありませんか?

おじいちゃんおばあちゃんというと穏やかなイメージがあったり、年を取ると性格がまるくなるという言葉もよく聞かれる一方で、高齢者=怒りやすいという真逆な印象を感じることも少なくありません。

家族の中に怒りやすくなった高齢者がいたり、介護でそのような方と接する機会が多い人にとっては大きな問題に発展したり、誰かに被害が及んだりする可能性もあり不安でしょう。

そこで今回の記事では、老人が怒りやすい理由、そして怒りやすい老人への対策についての情報を解説してまいります。

どうぞ最後までご覧いただき、高齢者の方とのコミュニケーションに役立てていただければと思います。

老人が怒りやすいのはなぜ?

そもそも老人になると本当に怒りやすくなるのでしょうか?

実は答えはノー。

怒りやすい老人というのはそもそも性格的に怒りやすい人であり、年を取ったから怒りっぽくなったというわけではありません。

ではなぜ老人が怒りやすいと感じるのかというと、やはり一般的に高齢者というのは「穏やか・か弱い」といったイメージを持たれています。その中で感情的になり暴言を吐いたり、暴力をふるうような怒りっぽい一部の老人は非常に目立つ存在であり、その様子を見た人にとって強烈に印象に残るからでしょう。

とはいえ、高齢になることで怒りを感じる場面もいくつか考えられます。

以下に代表的なものを説明していきましょう。

周囲から年寄りまたは子どものように扱われる

高齢者に対してたまに小さな子どもに対する口調で会話をする人を見かけます。

本人は良かれと思ってやっている行為でしょうが、高齢者の方の中にはそれを不快だと感じる人がいるのはおかしなことではないでしょう。

自尊心が傷つけられ、結果的に怒りにつながる原因となってしまいます。

高齢者の皆さんは人生の先輩です。もし高齢者に対しそのような対応をしている場合には、「優しく対応したのに老人に急に怒られた!」と相手を非難する前に、言葉遣いや態度に失礼がなかったかどうか、今一度自分の行動を改めて見つめ考えることが必要であり、怒りの予防にもつながります。

聴覚機能の変化によるもの

高齢になると耳が遠くなり少々うるさくしても聞こえないだろう、と思われるかも知れません。

実際に聴覚機能が低下し音が聞こえにくくなってはいきますが、実は高音域の中で一定の域を超えると非常にうるさく感じるようになるのです。

そのため、老人が公共の場で急に静かにしろ!と怒鳴った場合は、このような理由から怒っている可能性が高いでしょう。

同じように、高齢者とまではいかなくても30代、40代と大人になるにつれて、10代の若者が騒ぐ声が耳に響くようになったり、聞いていることが苦痛に感じやすくなったという体験はありませんか?

このように、年を取るにつれて体の機能は変化していくということを理解すると、急に怒る理由がわかってきます。

生活習慣によるもの

怒りっぽさは生活習慣の変化によっても起こります。

高齢になると眠りが浅くなる人が増え、睡眠不足によって脳がきちんと覚醒できていない状態のまま暮らしているケースもあります。

そういった状態ではきちんとした判断や人から言われた内容の理解ができずイライラしてしやすくなってしまいます。

また、食事で栄養が十分にとれていないこと、運動不足といった原因で脳の動きが低下し怒りっぽくなるということも考えられます。

認知症の症状

認知症の初期症状の一つに、「怒りやすくなる」というものがあります。

感情のコントロールが出来なくなる他、認知機能が低下することで状況の理解や把握、判断することが難しくなり、イライラしたり怒りやすくなるといった症状が現れるのです。

また、物忘れや失敗してしまうことで自信を失ったり、周囲から指摘や否定をされることでストレスとなったり、攻撃されていると思い込み更に怒りの感情が沸きやすくなる場合も多くあります。

性格なのか認知症なのかの違いは、やはり元々怒りっぽい人だったのか、それとも急に性格が変わり別人のような感じがするか、といったことである程度判断ができます。

怒りやすい老人とうまくコミュニケーションを取る方法は?

以上のように、老人の怒りにはさまざまな要因が考えられ、単純に「年を取ったから怒りやすくなった」とは言えないことがお分かりになったかと思います。

これらの知識を持っておくと、突然怒ったり怒鳴ったりする老人に遭遇した時に少しは落ち着いて対応できるかと思います。

高齢者に限らずですが、”相手を敬う気持ちを忘れずに接する”ということは、人とコミュニケーションを取る上で最も大切なことです。

「高齢だからわからないだろう」「病気だからわからないだろう」等と決めつけて子ども扱いをしたりするのではなく、年上の方と接する礼儀を忘れないようにして下さい。

耳の聞こえが悪かったり、理解が追いつかない様子を見せている場合には、ゆっくりと丁寧に話すことを心がけるだけでも意思疎通がしやすくなり、相手の気持ちもおさまってくる可能性が高いでしょう。

しかしそれだけでは対応が難しく、何が原因なのかわからなかったり、あなたに危険が及びそうな場合は、自分で何とかしようとせず医療や福祉の窓口へ相談し、専門家の手を借りて適切なケアを受けるようにして下さい。